フェルスタッペンが優勝。サインツJr.との”頂上決戦”制して今季6勝目|F1第9戦カナダGP
F1第9戦カナダGPの決勝レースが行なわれ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がカルロス・サインツJr.(フェラーリ)の猛攻を退け、ポール・トゥ・ウィン。角田裕毅(アルファタウリ)はリタイアとなった。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
F1第9戦カナダGPの決勝レースが行なわれ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝した。
F1の2022年シーズンも気付けば第9戦。カナダ東部ケベック州はモントリオールで、3年ぶりのカナダGPを迎えた。
舞台はノートルダム島の公園の外周路を使用した半常設のジル・ビルヌーブ・サーキットだ。長いストレートを低速コーナーで繋いだコースレイアウトで、DRSゾーンは3ヵ所設置された。
土曜日のセッションはウエットコンディションで行なわれたものの、日曜日は雲ひとつ無い青空がサーキットを覆った。決勝レース前の気温は19度、路面温度は40度と、寒空の下行なわれた予選とは全く異なる状況となった。
ポールポジションはフェルスタッペン。難しい路面状況の予選でカルロス・サインツJr.(フェラーリ)を退けたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が、フロントロウ2番手に並んだ。
トップ10はスタートタイヤにミディアムタイヤを選択。後方ではハードタイヤを履くドライバーもいた。なお、今回はシャルル・ルクレール(フェラーリ)と角田裕毅(アルファタウリ)がパワーユニット(PU)の規定数上限を超えて交換したため、グリッド最後尾からのスタートとなった。
大観衆が見つめる中、全車がグリッドにマシンを並べ、シグナルブラックアウト。全70周の決勝レースの幕が開けると、フェルスタッペンが蹴り出しよく首位でターン1を通過し、2番手アロンソはサインツJr.に迫られるも順位を守った。
ケビン・マグヌッセン(ハース)が4番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)に迫るも抜ききれず、さらにここで接触したことでフロントウイングの右翼端がダメージを受け、その後ピットでの修理を指示するオレンジボール旗が振られた。
フェルスタッペンはアロンソに1秒以上の差をつけて2周目に突入。マシンパフォーマンスに勝るサインツJr.はDRSが使用可能となる3周目にアロンソを抜き去るも、早々にフロントタイヤにグレイニング(ささくれ現象)が発生したため、突き放すことができなかった。
レース8周目、セルジオ・ペレス(レッドブル)にマシントラブルが発生し、スローダウン。ターン10でマシンを停めた。
これによりバーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言される。ピット作業のロスタイムが少なくなることからトップのフェルスタッペン、4番手ハミルトン、後方では角田らもピットイン。ミディアムタイヤからハードタイヤに履き替えた。
レースはサインツJr.を先頭に11周目から再開。3番手でコースに戻ったフェルスタッペンはファステストラップを記録しながら、15周目にはアロンソを抜き去り2番手へ。5.6秒前方のサインツJr.を追った。
ただ20周目にまたもVSC。周冠宇(アルファロメオ)に抜かれたミック・シューマッハー(ハース)のマシンがその瞬間にシャットダウンしてしまい、コース脇に停まったのだ。
このタイミングで、サインツJr.を含め、1回目のVSCでピットに入らなかったドライバーの多くがピットイン。これによりフェルスタッペンは首位に返り咲いた。
アロンソはこのVSCの際にピットに入らず、ステイアウトを選択。しかしコースに復帰したサインツJr.やハミルトンが接近し、次々にオーバーテイクしていった。
そのアロンソも28周目の終わりにピットへ。新品のハードタイヤに履き替えコースに戻ったものの、順位を7番手にまで落としたが、ルクレールのピットインにより6番手となった。
上位勢は4番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)までが膠着状態となっていたものの、1度目のVSCでタイヤを変えていたフェルスタッペンのハードタイヤは限界を迎え、44周目に2度目のピットイン。同じくハミルトンも翌周ピットへ入った。
これにより再びサインツJr.が首位に浮上したが、49周目に角田が2度目のピットアウト直後にターン2でクラッシュしたことで、今回のレース初のセーフティカー(SC)が出動。サインツJr.はピットロスを最小限に抑えて、ハードタイヤに変えた。
これによりフェルスタッペンが首位、サインツJr.が2番手、そこにメルセデス勢とアルピーヌ勢、ルクレール、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が続くというトップ10のオーダーとなった。
マシンの回収と隊列の整理が終わり、レースは55周目から再開。フェルスタッペンは逃げ切りを狙いペースを上げるも、サインツJr.が1秒圏内で食らいついて離れない。サインツJr.は6周フレッシュなタイヤでファステストラップを叩き出しながらフェルスタッペンを追いかけ回し、プレッシャーをかけ続けた。
しかしサインツJr.は全体的なペースで勝るものの、コーナーの立ち上がりの加速が良いフェルスタッペンをDRSを使っても近づけないまま、残り1周に。
ファイナルラップでもフェルスタッペンはサインツJr.を抑え込み、今季6度目のトップチェッカー。これにより2度目のタイトル獲得に向けて、ドライバーズランキングのリードを大きく広げた。
サインツJr.は惜しくも2位で、またもF1初優勝はお預けとなった。ハミルトンが3位で、今季2度目の表彰台を獲得。開幕から苦戦が続いていたこともあり、マシンを降りた彼の顔には笑みが浮かんでいた。
4位にはラッセル。ルクレールはSC再開後にアルピーヌ勢2台を抜き去り5位フィニッシュ。最後列グリッドからここまで順位を上げてみせた。
ルクレールに交わされたアルピーヌ勢に続いて、アルファロメオ勢がダブル入賞。10位にはスタート時に履いたハードタイヤで引っ張り続けたタイヤ戦略が功を奏したランス・ストロール(アストンマーチン)が入り、母国レースで1ポイントを獲得した。
カナダGPが終わり、2週間後の次戦は”F1発祥の地”イギリスGPだ。ここから夏休みまで、怒涛のヨーロッパラウンド4戦。その中で勢力図に動きはあるのか、目の離せない戦いは続く。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | マックス フェルスタッペン | 70 | 1:36'21.757 | 25 | |||
2 | カルロス サインツ Jr. | 70 | 1:36'22.750 | 0.993 | 0.993 | 19 | |
3 | ルイス ハミルトン | 70 | 1:36'28.763 | 7.006 | 6.013 | 15 | |
4 | ジョージ ラッセル | 70 | 1:36'34.070 | 12.313 | 5.307 | 12 | |
5 | シャルル ルクレール | 70 | 1:36'36.925 | 15.168 | 2.855 | 10 | |
6 | エステバン オコン | 70 | 1:36'45.647 | 23.890 | 8.722 | 8 | |
7 | フェルナンド アロンソ | 70 | 1:36'46.702 | 24.945 | 1.055 | 6 | |
8 | バルテリ ボッタス | 70 | 1:36'47.004 | 25.247 | 0.302 | 4 | |
9 | チョウ グアンユー | 70 | 1:36'48.709 | 26.952 | 1.705 | 2 | |
10 | ランス ストロール | 70 | 1:36'59.979 | 38.222 | 11.270 | 1 | |
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