角田裕毅への10秒ペナルティ裁定は妥当だったのか? 当事者ベアマンは言葉を濁す「正直分からない」
オリバー・ベアマンは、F1イギリスGPで自身と接触した角田裕毅に対する10秒ペナルティの裁定は妥当か尋ねられると、ハッキリと明言することを避けた。
写真:: Zak Mauger / LAT Images via Getty Images
ハースのオリバー・ベアマンは、F1イギリスGPを11位でフィニッシュ。雨絡みとなった今回のレースで彼は、2度に渡ってアクシデントに絡んだ。一度は角田裕毅(レッドブル)と、そしてもう一度はチームメイトのエステバン・オコンとだ。
ベアマンと角田の接触はレース中盤、2度目のセーフティカーランからリスタートした直後に起こった。13番手を争っていたふたりは、ターン6のブルックランズに並んで進入した際に接触。ベアマンがアウト側からオーバーテイクを仕掛け、コーナーのエイペックス(頂点)で前に出たところで角田の右フロントとベアマンの左リヤがぶつかった。
これによりベアマンのマシンは一回転。ポジションを落としたが、ランオフからコースに復帰してレースを続行することができた。このインシデントは審議にかけられた結果、角田に10秒のタイムペナルティとペナルティポイント1点を科すという裁定が下った。
FIAの公式文書によると、ベアマンがコーナーのエイペックスで明らかに角田の前に出ており、なおかつマシンが制御下にあったことからコーナーに進入する正当な権利を有していたこと、そして角田のわずかなスナップオーバーステアが接触に繋がったことを鑑みて裁定を下したとのこと。コースコンディションの難しさを考慮して、ペナルティポイントは1点にとどめたと説明されている。
ベアマンは当時の状況について、短く説明した。
「とてもグリップが低くて、みんなあちこちでぶつかっているような状況だった。残念だよ」
また角田は、ペナルティ自体は妥当としながらも10秒のタイム加算という量刑の重さに不満を感じているようだった。この接触はレーシングインシデントだったのか? それとも10秒のペナルティは妥当と考えるか? そう尋ねられたベアマンは、言葉を濁して明言を避けた。
「そうだね、ああやって大幅にタイムを失うのは厳しいことだけど……正直分からないよ」
そしてベアマンはスリックタイヤを履いたレース終盤にも、同じくブルックランズでチームメイトのオコンと絡んだ。今後はベアマンがイン側からオーバーテイクを仕掛けるシチュエーションだったが、この時もエイペックス付近で接触。2台がシンクロするようにスピンする同士討ちとなったが、この件はお咎めなしとなっている。
ペナルティが出されなかった理由について、裁定文にはこう記されている。
「スチュワードは、カーナンバー31(オコン)、カーナンバー87(ベアマン)、チーム代表からの聴取を行い、位置情報/マーシャリングシステムのデータ、映像、車載カメラの映像を確認した」
「路面が濡れたダンプコンディションにおいて、カーナンバー87(ベアマン)はターン6でイン側からカーナンバー31(オコン)を追い抜こうと試み、その際に接触した」
「両者はヒアリングの場で、濡れた路面をスリックタイヤで走るという状況がこのインシデントに大きく影響したと説明していた。彼らによれば、乾いたラインを確保しようと争っていたが、そのラインはクルマ1台分の幅しかなく、その中で両車が接触してコース外にスピンしたという。彼らはこのインシデントについて、どちらか一方に全責任があるわけではない、いわゆるレーシングインシデントという見解を示した」
「ドライバーガイドラインに基づけば、カーナンバー87(ベアマン)は、コーナーのエイペックスで正当な(レコードラインの)主張権があったように見受けられたが、スチュワードは当時の路面状況、グリップの程度、両車の位置関係や動きといった要素を総合的に考慮した」
「これらの要素から、この接触は、一方のドライバーに主たる責任があるというよりも、困難な状況下で両者の動きが収束したことによって生じたと判断される。カーナンバー31(オコン)が接触を避けるために明確に広いラインを取ることが、現実的に可能だったとは言いがたい」
「したがってスチュワードは、両者の見解通り不運なレース中のアクシデントであったと判断し、追加措置は取らないこととした」
ベアマンはこのチームメイト同士の接触について尋ねられると、「かなりギリギリの局面だった。チームと見直す必要がある」とコメント。集団が接近している中、濡れたイン側のラインに入ってしまったのは、仕掛けにいったというよりは咄嗟の動きだったのではとの指摘には「まさにその通りだ」と返した。
「とてもゴチャゴチャしていたんだ」
「もちろん、僕のタイヤは温まっていた。他のみんなはタイヤが冷えていた中、僕の方がグリップがあったという面もあったけど、とにかくゴチャゴチャだった」
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