ハースF1、今季マシンは理想の方向性に。小松代表「予想通りの動きをしてくれる」……さらなる躍進の鍵はトヨタと開発の新シミュレータ?
ハースの小松礼雄代表は、チームの2026年マシンがドライバーにとって挙動が予測可能なマシンに仕上がっており、これはチームが目指してきた方向性であると語った。
Esteban Ocon, Haas F1 Team
写真:: Andy Hone/ LAT Images via Getty Images
開幕戦から好調で、中団勢で存在感を見せているハースF1チーム。小松礼雄代表が、今季のマシンVF-26と今後の開発に向けた鍵を語った。
F1が新規則となった今季、ハースはオリバー・ベアマンが開幕戦オーストラリアGPで7位、第2戦中国GPで5位を獲得。この活躍もあって、日本GPを終えた時点でコンストラクターズランキング4番手につけている。現状ではレッドブルをも上回っている状況だ。
小松代表はVF-26の強みについて、挙動の一貫性を挙げた。これはチームが以前から目指してきたものであり、その方向性に沿ったマシンができたことで、パフォーマンスの土台ができたという感触があるようだ。
「クルマに変なことが起きないんですよ。低速・中速・高速で予想通りの動きをしてくれます。突然フロント(のダウンフォース)が抜けるとか、『低速ではこうだけど、高速ではこうで……』といったバランスの問題もないです。少なくともドライバーが限界まで攻めやすいクルマだと思います」
「これは以前から目指してきたことでした。レギュレーションは大きく変わりましたが、ドライバビリティの面でどういう特性が必要なのかは変わりませんから。これまでの積み重ねで、この特性にできることがわかったので、この後は底上げ。全体的にグリップを増やしていくことです。言うのは簡単で、すごく難しいのですが、方向性を示せたのはよかったですね」
今季のF1は車両自体のパフォーマンスを上げることに加え、エネルギーマネジメントを最適化することもより重要になる。新規則下のパワーユニットは電動パワーが占める割合が高く、1周の間にどのようにして電気エネルギーを回生し、どう使うかが鍵と言える。
これについて小松代表は、チームがどのようにコミュニケーションを取るかが大事になってくると語る。
写真: Simon Galloway / LAT Images via Getty Images
「どれだけシミュレーションをしていても、実際に走り出すと想像しなかった問題が出てくるんですよね。それにどれだけ早く対処できるかです」
「ドライバー、エンジニア間のコミュニケーションができていないといけません。そこはレースの基本ですよね。そこの重要性は高いと思います」
シミュレーションでは予測できなかったことに対処するためにも、コミュニケーションは重要……そう語った小松代表だが、現在はそもそも事前のシミュレーションを最大限行ないづらい環境にある。というのも、ハースはマラネロにあるフェラーリのシミュレータを使っているからだ。
「マラネロのシミュレータはいつでも使えるわけじゃないので、準備に使える時間が少ないです。使うにはコストもかかりますし。イギリスのエンジニアをイタリアへ送り込む必要にあるし、色々負荷があります」と小松代表。
「はっきりいって、毎回怖いですよ。やりたいことがいっぱいあるのに、少ないシミュレータセッションで新しいサーキットでレースに臨むのはすごく怖いです。重要なのは、その中で何が起こりうるか仮定をして想像しておくことですね。それでも全く想像していない問題が起こるくらいですから」
そんなハースにとってさらなる飛躍の鍵となりそうなのが、提携するTOYOTA GAZOO Racingと共同で導入を進める自前のシミュレータだ。小松代表によると、これが実際に稼働できる状態になるのは今年の夏以降になりそうとのこと。ただ、この新シミュレータが2027年マシンの開発に活用できるかどうかなどは、実際に今季のマシンに活用してみてその精度やコリレーション(実走状況との相関性)を確認してから見極めることになりそうだ。
「今トヨタと一緒にバンブリーの工場にシミュレータを入れている途中です。実際に使えるのは夏以降だと思います。自前のシミュレータが使えるようになれば、オペレーションの精度はもっと上げられると思います」
「夏にシミュレータが入った時にすぐに使えるよう、パラレル(同時並行)で作業を進めていますが、その精度は実際にやってみないと分かりません。最初に取り組むのは今年のレース前の準備、レース後のコリレーションの部分になります。その中でどのくらいの精度かが分かってくるので、それでようやく来年の開発に使えるのかが分かってくると思います」
またシミュレータだけでなく風洞もトヨタと共同開発する計画はあるのかと問うと、現状はないと小松代表は言う。「マラネロの風洞を使っていることにネガティブなものは何もありません。素晴らしい風洞を共有して使えているのはすごい環境です」とのことだ。
「皆さん何をやるのか何をやるのかと聞かれますが、そういうところに(トヨタとの)パートナーシップの目標や目的があるわけじゃないですし、形にこだわっているのではありません。章男さん(トヨタの豊田章男会長)が言っているのは、人を育てましょうということ。ハースF1チームをトヨタと一緒に強くするために何をしないといけないか……そこから逆算するんです」
では人材育成という点で、トヨタの技術者たちがレースウィークでF1チームのオペレーションを学べる機会はあるのかと尋ねると、小松代表は「ある段階でそこに行き着かないといけない」としながらも、現状はその段階に達していないと語った。
「その場をちゃんと整えることは簡単ではありません。ちゃんとした形でやらないと、無駄やノイズが生まれたり、足の引っ張り合いになりかねないですから」
「そういう意味で、TPC(旧車テスト)は最高の場だと思うんですよね。そこで『どうやったら効率よくできるのか』を考えて、そのやり方が見えた時に初めてレースの現場で実践できると思います」
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