ホンダF1、高効率&軽量化の新型ESを武器に終盤戦へ。ホンダ田辺TD「開発を大幅に前倒して、間に合わせることが出来た」
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、F1第15戦ロシアGPを前に、シーズン後半戦から投入した新型のエナジーストアについて説明した。
Sergio Perez, Red Bull Racing RB16B
Charles Coates / Motorsport Images
F1の2021年シーズンはサマーブレイク明けの3連戦を終え、次の舞台はソチ・オートドロームで開催されるロシアGPだ。今季残りのカレンダーもまだ流動的な部分があるが、現在の予定では残り8レース。いよいよシーズンも終盤に差し掛かってきたと言える。
レッドブル・ホンダは、マックス・フェルスタッペンがベルギーGPとオランダGPを連勝。イタリアGPではライバルであるルイス・ハミルトン(メルセデス)と接触し、ロシアGPでは3グリッド降格ペナルティを受けるが、タイトル争いを5ポイントリードしている状態だ。
「後半戦の幕開けとなった3連戦を終え、今週はロシア・ソチでのレースに挑みます」
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、そうプレスリリースにコメントした。
「3連戦ではさまざまなことが起こりましたが、レッドブル・レーシング・ホンダのフェルスタッペン選手が3戦2勝でドライバーズチャンピオンシップのリードを奪い返し、チャンピオンシップを戦う上でポジティブな結果となりました」
ソチのレイアウトはアクセル全開区間が長く、パワーユニット(PU)の出力やエネルギー管理が非常に重要となってくるコースだ。それだけに田辺テクニカルディレクターは、パフォーマンスを最大限発揮できるよう念入りに準備をしていくと意気込んだ。
「今回のレースの舞台となるソチ・オートドロームは、2014年の冬季五輪メイン会場の敷地を利用し、一部に公道を取り入れたストリートコースになります。全長6km弱と、1周の距離が長く、2本の長いストレートと、多くの90度コーナーが配されていることが特徴です」
「PUにとっては、コーナーからの立ち上がり加速とストレートでの速さに加え、低速コーナー脱出時のドライバビリティが重要になります。事前シミュレーションを行ない、準備をした上で、さらにそれぞれのセッションを走る中で、エネルギーマネージメントやドライバビリティーの最適化を進めていきます」
「ここ数戦、ホンダPUを搭載する4台が揃っていい形でレースができていないので、今回は4人のドライバーが持てるパフォーマンスを十分に発揮して、よいレースができることを願っています。また、ここからシーズン終盤に入っていくにあたり、我々のパフォーマンスを最大限発揮するとともにミスなくレースを戦えるよう、念入りに準備を進めていきます」
ホンダはシーズン後半戦から、新しい仕様のエナジーストアを導入している。回生したエネルギーを蓄え、放出するエナジーストアは、エネルギー管理という点で非常に重要なコンポーネントである。
田辺テクニカルディレクターはこの新しいエナジーストアについて、軽量化されていると共に、高効率化に成功していると説明。オールホンダ態勢で開発を進めたことで、導入が実現したと明かした。
「現在、厳しいチャンピオンシップを戦う中で、ホンダはシーズン後半戦から、新型のエナジーストアを投入しました」
「高効率化と軽量化を実現した新型のエナジーストアは、フェルスタッペン選手がベルギーGP、(セルジオ)ペレス選手がオランダGP、(ピエール)ガスリー選手がイタリアGPの決勝から使用を開始しています。これによってPUパフォーマンスの向上を果たし、ユニットの軽量化による車体パフォーマンスの向上にも貢献しています」
「新型の開発には数年を要し、当初は2022年シーズンに投入予定でしたが、参戦終了の決定に伴い、開発計画を大幅に前倒して、今シーズンの後半戦に間に合わせることができました」
「開発を担当したHRD-UKのメンバーの尽力に加え、ホンダ社内にある先進技術研究所や、量産車向けバッテリーの開発部門といった仲間の支援がなければ、性能アップを果たしたエナジーストアの開発、またこのタイミングでの投入は成しえなかったと考えています。彼らの努力に対して感謝の言葉を贈りたいと思います」
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