超高速になるフォーミュラEの次期マシンGEN4。パフォーマンス重視と効率重視の2レース制に? 「でもその2戦に”価値の差”はつけない」
FIAは次世代マシンであるGen4が導入されるフォーミュラEシーズン13のレギュレーションを最終決定する段階に近づいている。
Porsche Gen4
写真:: Porsche
フォーミュラEは、第4世代マシン『Gen4』の導入に向けてレースフォーマットの見直しを進めており、来季に向けて「パフォーマンス」と「効率性」を重視したレースフォーマットが検討されている。
フォーミュラEの現行レギュレーションは多くの接近戦を生み出すことに成功しており、集団走行型のレースはGen3時代を象徴する特徴となっている。
しかしシーズン13(2026-27年)に導入されるGen4マシンは、より高速かつ高性能化される予定であり、それによってシリーズの性格そのものが変化すると予想されている。このため、フォーミュラEとFIAはレースフォーマットそのものを見直そうとしている。
選手権側は、新型マシンの真のスピードと性能をアピールしたい考えだ。Gen4マシンは800馬力以上を発生し、現在のF2マシンよりも速いラップタイムを記録できる能力を持つ。
一方で、エネルギーマネジメントはフォーミュラEのアイデンティティの中核でもあり、今後もパワートレインの効率は重要要素として維持される。
このふたつの哲学をどう両立させるかが、2026-27シーズンに向けた最大の議論のひとつとなっている。
現在のフォーマットでは、ダブルヘッダーの週末における2レースの違いは比較的小さい。土曜と日曜に行なわれるレースの差は、ピットブーストの有無やアタックモードの使用回数の違い程度に限られている。
しかしGen4では、ダブルヘッダーのレースの性格が大きく分かれる可能性がある。片方は純粋な速さを重視し、もう片方はエネルギーマネジメント重視になるかもしれない。
レース距離変更の可能性について尋ねられたFIAのフォーミュラE責任者パブロ・マルティノは、Motorsport.comに次のように語った。
「それは現在議論中のテーマだ。Gen4は様々なレースシナリオの可能性を開く」
「ドライバーは、与えられたエネルギーでチェッカーを受けるため、レース中一定割合でアクセルオフをしなければならない。つまり、レース全体のある割合では全開走行ができないということだ」
「当然、レース距離を短縮して同じエネルギー量を割り当てれば、その割合は大きく下がる。それは、ほぼ全開でチェッカーまで走る、より伝統的なレースの形になる。Gen4では、その値を調整できるのだ」
「今回の議論の一部は、マシンの性能をアピールする要素と、フォーミュラEの創設以来のDNAである効率性をアピールする要素を、いかに融合させるかという点にある」
「我々は様々な理由から、レース距離が日によって異なったり、大幅に異なったりすることにも前向きだ。第一に、観客が、エネルギー管理をあまり意識せずに、純粋なレース環境下でマシンがいかに速いかを実感できるようになるからだ」
「そして第二に、初日と2日目ではマシンのセットアップもドライバーの戦略も全く異なるものとなり、全く異なるレースが展開される可能性があるからだ」
Pablo Martino, FIA head of Formula E
Photo by: FIA
FIAは、レース時間の短縮に向けて前向きな姿勢を示しているものの、F1や他のシリーズに導入されているような”スプリントレース”を採用するつもりはないという。
「スプリントレースとフィーチャーレースという形式ではなく、パフォーマンス重視と効率性を重視したレースにしたいと考えている」
マルティーノはそう説明する。
「レースはレースであり、勝者は勝者だ。周回数や走行距離に関係なく、勝者は勝者という形にしたいのだ」
「結局のところ、レーシングドライバーに同じ条件、同じ舞台で戦わせることが重要だと考えている。あるレースの重要性を、他のレースと比べて低くするようなことに価値を見出していないのだ。だからこそ、もしそういう方向で進としても、スプリントレースとかメインレースといった名称は使いたくない」
■ ダメージの影響は大きくなる?
Norman Nato, Andretti Global, Porsche 99X Electric Gen3, Edoardo Mortara, Mahindra Racing, Mahindra M9Electro, as Sam Bird, NEOM McLaren Formula E Team, e-4ORCE 04, enters the Attack Zone
Photo by: Andrew Ferraro / Motorsport Images
フォーミュラEのマシンは、特にGEN2時代から比較的ダメージに強く、ドライバーはボディワークに負ったダメージを深刻に考えることなく、アグレッシブにレースを戦うことができた。
しかしGEN4マシンは空力性能がより重視されるため、わずかなダメージがパフォーマンスに大きな影響を与えてしまう可能性がある。そのことが、フォーミュラEのコース上でのバトルをどう変革するかは、現時点ではまだ未知数と言える。
「次世代のフォーミュラEで最も大きな変化は、ドライバーがマシンへのダメージにこれまで以上に注意を払う必要があるという点だろう」
マルティーノはそう説明する。
「これまでのフォーミュラEでは、他のシリーズに比べてマシンの空力性能はそれほど重要視されていなかった。そのため、パーツが緩んだり、破損したりすることが、パフォーマンスに大きな影響を及ぼすことはなかったんだ」
「しかしGEN4ではそうはいかない。一部のドライバーのドライビングスタイルは、多少変化するかもしれない。しかしながら、レースのスタイルそのものが変わるわけではないんだ」
「効率性を重視したレース展開は今後も続いていくだろう。そしてもちろん、全開走行のレースではなく、ドライバーがチェッカーフラッグを目指し、エネルギーをコントロールする必要があるレースになる」
「フォーミュラEのDNAの一部は、最終ラップまで白熱した接戦が繰り広げられるということだ。それが今後も続くことを期待している」
アタックモードとピットブーストは、今後もフォーミュラEの戦略の中心的な部分になるという。そんな中FIAは、ダブルヘッダーのレースとなった場合には、片方のレースだけではなく、両方のレースで急速充電を義務化することも検討している。
「現在議論されているのは、より『パフォーマンス重視』のレース、つまりアクセルを緩める頻度を少なくし、走行距離を短くしたレースにした場合、そのレースでピットブーストを使うかどうかということだけだ。それが唯一の問題だ」
「しかし我々が知っているレース、つまり40〜45分のレースでは、ドライバーが持っているエネルギーを全て活用するため、エネルギーをうまくマネジメントしてチェッカーを目指す必要がある。そういうレースに、ピットブーストを導入する」
チーム、FIA、そしてフォーミュラEオペレーションズ(FEO)は先月、ポール・リカールでGEN4マシンが初披露された数日後に会合を開いた。
これを受けてFIAは、今後数週間以内に来シーズンのスポーティング・レギュレーションを最終決定する予定。そしてその後、6月23日に行なわれる世界モータースポーツ評議会の承認を受けることになる。
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