これまでやってきた開発、無駄にはならない? お手製ダンパーで実績残したダンディライアン吉田監督、今季から共通部品化も「他より知見が多いと思っている」
スーパーフォーミュラでは今季から、ダンパーが共通パーツとなった。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは自社製ダンパーの開発を通して実績を残してきたチームだが、吉田則光監督はこれまでの知見が今季も活かされていると感じている。
2024年シーズンも様々なトピックが満載のスーパーフォーミュラ。こと技術面においては、車体の姿勢変化を制御するダンパーが、今季からオーリンズ製の共通パーツになったことが大きな変化と言える。
車体がワンメイクとなっているスーパーフォーミュラにおいて、数少ない開発可能なパーツだったダンパーは、車両のパフォーマンスを司どる重要なパーツだという声が口々に聞こえてきていた。そのダンパーが共通化されることによって、2024年シーズンは勢力図に変化があるのではないか……そんな意見もある。
しかしながら、2月21日、22日に鈴鹿サーキットで行なわれた開幕前テストでは、TEAM MUGENやDOCOMO TEAM DANDELION RACINGなど、昨年のトップチームが好タイムをマークした。特にダンディライアンの牧野任祐は、ウエットコンディションの初日午前・午後、そしてドライコンディションの2日目午前でトップタイムをマークするなど、際立った好調ぶりを見せている。
ダンディライアンは、“ダンパー開発の雄”と言って差し支えないチームだ。同チームではこれまで、ベテランエンジニアの吉田則光氏を中心にしてダンパーの内製が行なわれていたほど、ダンパー開発には力を入れていた。
だからこそ、ダンパーの共通パーツ化はダンディライアンにとってマイナスに働くのではないかと見る向きもあったが、テストでは好調。牧野も初めて共通ダンパーを使った昨年末の鈴鹿テストの際から「思ったよりもそこに対応できている」感触があったといい、今回のテスト初日を終えた際も、あまり大きなフィーリングの違いは感じていないと話していた。
6号車の太田格之進のトラックエンジニアを務める傍ら、チーム監督も兼任する吉田氏はテスト前日の会見に登場。そこで、昨年まで力を入れてきたダンパー開発が共通化された今季にも活かされているかを問うと、吉田監督はこう答えた。
チーム監督とエンジニアを兼務する吉田氏(左から2番目)
Photo by: Masahide Kamio
「昨年まではダンパーを(コーナーダンパー2本とサードダンパーを前後で)計6本使うことができていましたが、我々は全て自社製のダンパーを使っていました」
「ですから、もしかすると他のチームよりはダンパーに関して色々な知見が多いのかなと思っています。コントロール(標準化)になっても、他のチームが踏み込んでいない領域のセットアップができると思っていますから、そこは強みだと思っています」
また吉田監督は、ダンディライアンがダンパーを内製していた経緯について、次のように説明していた。
「元々、ベースとなる物はありました。しかし、このダンパーの良い部分と、このダンパーの良い部分と、このダンパーの良い部分……それをミックスできれば良いなと」
「これがダンパーメーカーですと、パテント(特許)など色々と引っかかってしまい、(他メーカーの良い部分が)良いと思っていても使えないと思います。ただ我々はダンパーメーカーではないので、自分たちだけで作って使う部分には特許に引っ掛かりません。そういう意味では、良いダンパーの良い部分を色々とミックスして、一番良いであろうダンパーを作ることができていました」
チーム謹製のダンパーを使うことは許されなくなってしまったが、“知見”として蓄積されたものたちはダンディライアンをさらに強くするかもしれない。
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