TGM Grand Prix、松下信治の後任としてダニール・クビアトと交渉していたと明かす。ビザの問題がネックに?
TGM Grand Prixの池田和広代表は、チーム離脱となった松下信治の後任として交渉していた外国人ドライバーが、ダニール・クビアトであったことを明かした。
#63 Lamborghini Iron Lynx Lamborghini SC63: Daniil Kvyat
写真:: Alexander Trienitz
スーパーフォーミュラ後半戦から55号車のドライバーを交代したTGM Grand Prix。松下信治の後任として交渉していたドライバーが、ダニール・クビアトであったことが明らかとなった。
TGM Grand Prixは今季の55号車のドライバーに関して、開幕前から外国人ドライバーと交渉を続けてきた。ただ参戦資金を持ち込む必要があるということもあり、交渉は簡単にはまとまらず。結局、チームは序盤3戦分の予算を確保して松下信治を起用するという形で開幕を迎えた。
その松下は第3戦SUGOをもってシートを失う形に。7月の第4戦富士以降のドライバーについても、これまでスーパーフォーミュラの参戦経験がない外国人ドライバーと交渉していることが池田和広代表によって明かされていたが、結局その話もまとまらず、第4戦以降は大津弘樹が起用されることになった。
池田代表は8月のもてぎ戦の際にmotorsport.comに対し、交渉していたのは元F1ドライバーのクビアトであったことを認めた。曰く、交渉のネックとなったのはビザの問題だったという。
「ビザの関係で、日本のチームが雇うことができない状況でした」と語る池田代表。クビアトはビザを取得して日本に入国することはできるものの、チームが直接報酬を支払うことはできない状況だという。
「ですから、彼にはスポンサーと話をしてほしいと伝えたのですが、ちょっとハードルが上がってしまったという形です」
池田代表はそう語った。
昨年motorsport.comが伝えたように、クビアトはスーパーフォーミュラへの参戦を熱望しており、昨年もNAKAJIMA RACINGから冬の鈴鹿テストに参加することを模索していたが、実現には至らなかった。
その後クビアトはスーパーフォーミュラ車両のSF23を使ってアブダビで行なわれる『A2RL』という自律走行レースのテストドライバーとなり、SF23を体験した(搭載エンジンなどは異なる)。
また池田代表は、後半戦のドライバーとして大津を起用した理由について、チームのベースパフォーマンスを昨年の水準に戻したいという思いがあったからだと語った。
Hiroki Otsu, TGM Grand Prix
写真: Masahide Kamio
TGMは昨年、大湯都史樹がポールポジション2回と表彰台1回を活躍するなど躍動したが、今季は経験豊富な松下をもってしても8位入賞がベストリザルトとなっていた。そこで白羽の矢が立ったのが、昨年大湯の代役として富士戦に出場した大津。チームは彼のフィードバックレベルの高さを評価しているようだ。
「我々はセットアップで行き詰まっている感があるので、昨年中盤の状態に戻すべく、大津選手を起用することにしました」と池田代表は言う。
「彼はマシンのフィーリングを熟知しているので、彼の経験を活かしたいと思いました。それに、ドライバーを変え続けるというのは、ファンにとっても選手権にとっても良いことではないという思いもありました」
【追記】その後クビアトはmotorsport.comの取材に応え、ビザが契約の大きな障壁となったことを否定。「適切な労働契約が結ばれれば、日本で働くことを妨げるものはない。僕が交渉していたチームでスーパーフォーミュラ参戦ができなかったのは、チームとスポンサーとの交渉がうまくいかなかったことに関係している。個人的にはスーパーフォーミュラでレースしたいという気持ちは変わらないし、さらなる交渉には前向きだ」とコメントした。
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