モータースポーツを支える企業

株式会社スリーボンド【第2回】

モータースポーツを支える企業であるThreeBond、その真髄に迫る特集。今回はその第2回。

モータースポーツを支える企業<p>株式会社スリーボンド【第2回】

 スポーツには様々な種類がある。ここでいう種類とは種目のことではなく、領域のことだ。例えば観るスポーツ、参加するスポーツ。また、プロスポーツ、アマチュアスポーツ、子供のスポーツ、高齢者スポーツ、男性スポーツ、女性スポーツ……区分けをすると無数に分けられるのではないかと思われる。もう少し踏み込めば、道具を使うスポーツ、身体ひとつで戦うスポーツという区分けもある。

 道具を使うスポーツでも、内容はふたつに分かれる。ひとつは道具を武器(?)としてつかうもの、他のひとつは人間の力を増幅させるために使うもの。しかし、かつては武器であった防具も、現代のスポーツではそのまま武器として使うことは出来ない。武道で使う道具の多くがそれで、剣道、弓道、アーチェリー……と言ったものがある。スポーツ選手の力を増幅させる道具(必ずしも増幅させなくても良いのだが)は、数え切れないほどの種類がある。自転車、自動車、モーターバイク、飛行機、馬(道具とは言えないが)、ボート、カヤック、ヨット、スキー、ボブスレー……。そして、これらのカテゴリーに属さないが、道具があって初めてそのスポーツが成立するモノとして、野球、テニス、ゴルフ、バドミントン、サッカー、ラグビー、体操(鉄棒や平均台)、ハードル、高跳びの棒、砲丸投げ、やり投げ(これはもとは武器?)、円盤投げ……といった競技がある。最後に身体ひとつで挑むスポーツとして、相撲、レスリング、空手、柔道などが挙げられる。

 こうして見ていくと、実に多くのスポーツが存在するが、もちろんそれらいずれも主役は人間である。スポーツによる争い(競争)の結果はそれを行なう人間が享受し、使用された道具に賞が与えられるスポーツは少ない。しかし、道具によって結果が異なるスポーツはある。自動車レースや自転車レース、カヌー、スキーなどがそれで、それらはいずれも人間が乗って操る。そこには操る人間の力量と道具の性能が大きく結果を左右することになり、選手は自己の体調や精神力以外にも道具としての乗り物の性能向上に細心の注意を払う。

 その典型が自動車を使ったモータースポーツだろう。モータースポーツの興味ある点は、それを操るドライバー(人間)が主役だが、彼らが操る自動車も同様の扱いをされることだ。つまり、自動車も主役なのだ。レースを制したドライバーに賞が与えられるのは他のスポーツと同様だが、彼らが操った自動車にも(と言うよりその自動車を作った製造元に)賞が与えられる。マニュファクチャラー(製造者)とかコンストラクター(同)の賞がそれで、これはモータースポーツが人間と機械(自動車)というふたつの主役を擁する結果と言える。

八王子市南大沢に本社を構えるThreeBond

八王子市南大沢に本社を構えるThreeBond

 ThreeBondがモータースポーツに参戦するチームやドライバーを支援し始めたのは1970年代。振り返ると50年もの歴史があるが、2000年代になって自社でエンジンを開発してF3レースに参戦した時期がある。既存の自動車メーカーのエンジンを使用していたが成績は鳴かず飛ばず。そこで、日産自動車の量産車用SR20 DEエンジンをベースに自社でF3エンジンを開発してマニュファクチャラーの仲間に入ったのだ。それは、ThreeBondにとっては当たり前のことだった。創業者が自動車から道路に落ちた一滴のオイルを見て、「この様な漏れを防ぐことが出来れば資源の節約になり、日本経済の復興にも大いに貢献することが出来るだろう」という思いから、独自に液状ガスケットを開発した考えに通ずるところがあった。ないものは自分達の手で作ればいい。

 こう書けばThreeBondがいとも簡単にF3エンジンを作ったように思われるが、ことはそう簡単ではない。東名エンジン、梅田チューニングショップといったレースエンジン開発の老舗の力を借りて製造した。そして、そのエンジンが実力を発揮するようになるまでには時間もかかり、初優勝までには3年半の時間が必要だった。しかし、ThreeBondの強みは継続。スポーツの成績には必ず浮き沈みがあるが、ThreeBondが自前のエンジンで挑んだF3レースでも、20年もの挑戦の歴史を刻む中で確実に成績を残し、2011年にはチームタイトルを獲得している。そもそもレース関係の仕事をする会社でもないThreeBond。資金の掛かるエンジン開発には社内から反対する声も出たが、継続することによって理解は得られた。そこには、支援するドライバーに成長してもらいたいという気持ちに加え、モータースポーツのもう一方の主役である自動車技術(ここではそのエンジンだが)への愛があった。道具を使うスポーツへの深い理解だ。

 とはいえ、ThreeBondは営利企業。様々なスポーツ活動への支援は、ビジネス発展を支える活動でなくてはならない。そもそもThreeBondのビジネスはクライアントが自動車を初めとする技術関連企業が多く、いわゆる“B to B“というスタイル。しかし、時代は変わり社名告知などもビジネスの助けになることから、プロゴルファーの支援等も有効なビジネスツールとして機能することと捉えている。

 この考えでいくと、モータースポーツはThreeBondにとればまさしくスポーツを使ってのマーケティング・ツールとしては申し分ない。F3、その後のスーパーGTへの参戦などを経て、モータースポーツの持つ力を確認出来た。その延長線上にある現在の活動は、モータースポーツがスポーツ選手(ドライバー)と彼/彼女の使う道具(クルマ)の持つ才能と性能というストイックな領域からより社会的な広がりを持つスポーツへと広がる可能性を持つことを確認したものだ。その具体策として、レースの際にホスピタリティ活動を充実させ、ThreeBondの本業であるビジネス関係者を招待して“B to B”の広がりを期待する。

 ThreeBond営業本部・宣伝企画部長の足立守はこう結ぶ。

「モータースポーツはドライバーとクルマが主役のスポーツですが、それを応援する観客、支援する周辺の企業や個人も含めて全体で盛り上がるイベントです。スポーツとしてはドライバーやクルマに最大限の敬意を払うべきですが、彼らを応援する側も一緒に盛り上がりイベントを楽しむ。それが本来のモータースポーツの姿だと思います。私たちは活動を通してモータースポーツが一般社会に認められるように頑張って行きたいと思います」(第3回に続く)

 
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