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2022スーパーGT、気になるニューマシンを大胆分析!:変更は“顔”だけにあらず。細部にこだわりが見えるType SベースのNSX-GT

2022年スーパーGTに登場する注目のニューマシンを大胆分析。今回はホンダが投入する新モデルのNSX-GTだ。

#100 STANLEY NSX-GT

写真:: Masahide Kamio

 スーパーGTでは車両の開発コストを抑えるために、2020年から22年までの3年間をひとつのクールとして空力開発を凍結していたのだが、日産が新型Zを投入することになり、これに合わせてトヨタのGR SupraとホンダのNSX-GTに対しても、空力開発が許されることになった、とはNISSAN Z GT500の紹介記事でも触れたとおりだけれど、その恩恵を最も上手く活かしたのがホンダだと、情報通のパドック雀は喧しい。

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 曰く、22年シーズンの投入はできないけれど23年に向けて先行開発していたエアロを、1年前倒しで実戦投入することができたのだから、と。ただしそれは不正をしていた訳ではないから、とやかく言われることではないだろう。

 それにしても顔つきが変わったType Sをベースにしているとは言うものの、サイドビューの下半分までが微妙に変えられているのには驚かされた。もっともこの部分が、現行規定での大きなキモになるといわれているのだから、それも当然だろう。そしてもうひとつ付け加えるなら、このサイドラインから下に関して、昨年モデルと新型で最も大きく変わっているのはトヨタのGR Supraだったりするから、(新型Zの投入を理由に)レギュレーション変更の“言い出しっぺ”となった日産と、それに乗じ(て先行開発案件を投入し)たホンダを、寛容に受け入れながらも、実はやるべきことはきっちりやっている強かなトヨタ。3社の、このオフの立ち居振る舞いは、それだけ考えても充分に楽しめた気がする。ということでそろそろ本題、新型となったHonda NSX-GTに触れていこう。

 ロードゴーイングモデルのNSX Type Sが登場した際の惹句では「Type Sとしての空力や冷却性能など、機能的進化を実現する新デザインとしました」とし、具体的にエクステリアに関しては「今までのワイド&ローなスタイリングをより際立たせるアグレッシブな造形」とした上で、「前後バンパーは新デザインを採用し、エアロダイナミクス性能の大幅な向上を追求。空力と冷却を高次元で両立させるトータル・エアフロー・マネジメントのさらなる向上を目指し、デザイナーとレース経験のある技術者が最先端のシミュレーションや風洞実験、走行試験を何度も重ねて作り上げました」としている。

 そう、まさにレース経験のある技術者が、NSX Type Sの開発に関わっていることを表明していたのだ。それを予備知識として頭の片隅に置きながら、新型のNSX-GTを見ていくと、ノーズ先端が低く前方に伸びていることと、ラジエターグリルが拡がった……グリルの“下唇”が取り去られて左右幅一杯のアンダーインテークと、整流版で分けられただけで、事実上一体化されたことが目立つ印象だ。

#8 ARTA NSX-GT
#8 ARTA NSX-GT

 またボンネット上面の左右に2対の排気ダクトが設けられているのは昨年モデルと同様だが、新型ではその中央にNACA式のインテークダクトが新設されているのが目についた。おそらくは室内へのフレッシュエアーの導入だろうが、昨年モデルまではフロントから導いていたものを、エンジンルーム内の整流を進めるために、こうしたスタイルになったのだろう。結果的に冷却性能はずいぶんと向上したのではないか。

 当然、エンジンの出力も引き上げられているはずだ。また細かいところでは、ラジエターやインタークーラーを通ったクーリングエアの排気ダクトには全長10cm程度のセッティングパーツが取り付けられているのも、流石! と唸らされたポイント。基本的にエンジンは冷やしてやる方がパワーは出るはず。ただし冷却性能を高めていくと、空力面でデメリットも大きくなる。そのために、コンディションに応じて冷却性能をコントロールすることは、レーシングカーのセットアップでは一般的だ。寒い時のレースではラジエターのダクト(インテーク)をガムテープで塞ぐ処置はよく見られるが、そこまでもセッティングの範疇に考えて、特にクーリングエアを排出するダクトをコンディションに応じて塞ぐのは、重箱の隅を針で突くような、と形容されるレーシングカーのセットアップでは、その効果は見逃せないものとなっているはずだ。

#17 Astemo NSX-GT

#17 Astemo NSX-GT

Photo by: Masahide Kamio

 2月に鈴鹿で行なわれたホンダのサンクスデーや、3月にやはり鈴鹿で行なわれた鈴鹿サーキットのファン感謝デー、そして今回、岡山国際サーキットで行われたスーパーGT公式テストなど、比較的寒いコンディションではクーリングエアの排気ダクトを狭くして空力の効果を高めていたが、おそらくは5月の連休に富士で行なわれる第2戦か5月末に鈴鹿で行なわれる第3戦辺りからは、コンディションによっては排気ダクトを全開にして冷却性能を高めるのではないか。そんな気がした岡山公式テストのNSX-GTだった。

 さて、ここまでオフのテスト状況を振り返ってみると、富士では、特にストレートのトップスピードではNISSAN Z GT500が圧倒的な速さを見せつけ、鈴鹿では走り始めからZが速かったが、終わってみるとHonda NSX-GTがトップタイムをマーク。そして今回の岡山公式テストでは2日間を通じてTOYOTA GR Supra GT500が2日間ともにデイベストタイムをマークしているが、ホンダ系のドライバーからは「まだ伸びしろはある」との想いが聞こえてきている。

 そういえば昨シーズン終了後にホンダのスーパーGTプロジェクトを統括する佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダー(LPL)は、22年シーズンに向けては「予選ではより速く、決勝ではより強く」と応えてくれたが、今から思えば当時はすでに、新型NSX-GTの開発が佳境を迎えていたはず。後は懸案だった富士でのトップスピード。今月末(26日・土曜~27日・日曜)に富士スピードウェイで行なわれる第2回目となる公式テストで、NSX-GTがトップスピードでどこまでZに迫ることができるのか、が判明するはずだ。だから今シーズンのGT500バトルの趨勢を占ううえで、富士の公式テストは必見に値する。いやぁ、ホントに楽しみになってきた。

 
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