”WRCの未来”は電気か水素、それとも……? 技術を試すデモンストレーション・クラスを設置か
WRC(世界ラリー選手権)は、マニュファクチャラーやチームが開発や実験をするための新たしいデモンストレーション・クラスの設立を検討している。
写真:: Toyota Racing
世界ラリー選手権(WRC)は現在、2025年以降のRally1レギュレーションおよび、長期的なレギュレーションを策定している最中であり、その中でもマシンの動力は大きなトピックになっている。
WRCは昨年、マシンをハイブリッド化するRally1レギュレーションを導入。合わせてFIA世界選手権として初めて、100%持続可能な燃料を使用している。
このレギュレーションは2024年まで継続される。また2025年以降のレギュレーションでは、ハイブリッドシステムで使う電気エネルギーの量が増やされる予定だ。
一方で、自動車産業が将来の方向性を評価し続けている中で、電気自動車や水素、合成燃料などラリーのベースとなるような可能性のあるすべての選択肢が議論されている。
昨年、FIAはラリーのピラミッドにRally5eというカテゴリーを追加した。市販EV車両をラリーカーに改造することが可能となり、将来的にWRCへの参加を希望しているメーカーのひとつであるオペルは、すでにCorsa-e Rallyという完全電気自動車のラリーカーを開発している。
また、トヨタも試験開発中の水素エンジンを搭載したGRヤリスをラリー・ベルギーで走らせ、取り組みをアピールしている。
Toyota Yaris H2
Photo by: Toyota Racing
WRCは、5月に開催されるラリーポルトガルで、将来のビジョンの詳細を発表する予定であり、これにはチャンピオンシップ内で代替動力を開発するための新しいプラットフォームが含まれる可能性がある。
現段階では、このクラスとその立ち上げに関する詳細な情報は限られているが、ル・マン24時間レースのガレージ56と同様のコンセプトが採用される可能性がある。
ガレージ56は2012年のル・マン24時間レースからからスタートしたプロジェクトであり、革新的技術を持つ車両を、正式順位とは無関係ながらル・マンを走らせようというアイデアだ。
WRCイベントディレクターのサイモン・ラーキンは次のように語った。
「2025年以降の新しい技術的な進化や、WRCの中で実験的な推進システムを可能にするデモンストレーションクラスについて、ポルトガルのころにもっと明らかにされるだろう」
このデモンストレーションクラスのニュースは、モンテカルロでのWRC開幕戦で開催されたWRCの第1回イノベーションフォーラムに続くものだ。このイベントは、自動車業界とラリー界の著名人が一堂に会し、持続可能なモビリティについて議論する場となった。
ゲストスピーカーの一人、パトリス・ラッティ(元ルノー・スポールのマネージング・ディレクター)は、将来的にいくつかの道が開けると信じている。
「モータースポーツは、常に未来のテクノロジーを開発する上で大きな役割を担ってきたが、今はこれまで以上に重要になっている」
「FIAの戦略でもあるように、選手権によって異なる技術を採用することが非常に重要なのだ」
「WRCには、ハイブリッドや持続可能燃料がある。これらの燃料や技術がどのような性能を発揮するのか、実際の条件下で確認することができる。全体として、これは素晴らしい戦略だと思う」
「未来のテクノロジーが何であるかは誰にもわからない。私は、いくつかの技術が必要になることに賭けるよ」
FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムは、ラリー車両の将来的な動力について、決断を急ぐべきではないと考えている。
「ラリーに関して結論を飛躍させ、感情的になってはいけないと思う」
「もし間違いを犯せば、それが深刻なものになるからだ。そうなると、Uターンして正しいコースに戻るのは簡単ではないと思う」
「とてもダイナミックなスポーツだから速く、しかし正確に行動しなければならないんだ」
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments