YOUはどうして初心者マークを? 一部の外国人WRCラリー選手が掲示……“おふざけ”ではなく義務
WRCラリージャパンで注目を集めた、初心者マークを掲示したシュコダ・ファビア。ドライバーのブルーノ・ブラシアには、日本の法令に則って初心者マークを掲示する必要があった。
写真:: Motorsport.com / Japan
11月10日(木)より開催されている世界ラリー選手権(WRC)の日本戦、ラリージャパン。日本でのWRC開催は12年ぶりということもあり大いに注目されているが、トヨタらが参戦する最高峰WRC1のひとつ下のクラス、WRC2でファンの視線を集める1台がある。それがトクスポーツ WRT2の25号車シュコダ・ファビア EVOだ。
25号車はボリビア人ドライバーのブルーノ・ブラシアがドライブするマシンだが、このマシンには初心者マークが貼られている。ご存知の通り、初心者マークは日本の道交法に基づいて免許取得から1年未満の者に対して掲示が義務付けられているもので、日本の公道ではお馴染みだが、世界選手権のレース車両に貼られているということでもの珍しさを感じた人も少なくないだろう。
ではなぜ、海外からやってきたブラシアの車両に初心者マークが貼られているのか? それは決しておふざけなどではなく、れっきとした理由がある。
そもそも、ラリーという競技はその性質上、競技区間と競技区間の間や、サービスパークまでの道中(いわゆるリエゾン)は、その国の法令に従って走行しなければならない。従ってリエゾンの走行にはその国で有効な運転免許が必要となるため、基本的にWRCドライバーは国際免許を取得している。
ブラシアも国際免許自体は取得しているのだが、実は国際免許の中には日本において有効なものとそうでないものがある。
警察庁のホームページには、日本の運転免許を取得せずに日本国内で運転をするためには「ジュネーヴ条約に定められた様式に合致した国際運転免許証を所持すること」が必要だとされている。しかしブラシアの出身国であるボリビアはジュネーヴ条約を締結しておらず、同国で発行される国際免許は日本で使用することができない。
つまりブラシアは、ラリージャパンを戦うために日本の運転免許を取得する必要があったのだ。とはいえ、我々と同じようにわざわざ教習所に通って学科や技能の試験を受けなければいけないかと言われればそうではなく、母国で免許を取得しているブラシアの場合は、視力検査など簡易的な手続きを日本の免許センターで行なうだけで済んだようだ。かつて北海道でラリージャパンが開催されていた時も、彼と同じ理由で同様の手続きを踏んだドライバーもいた。
もちろん、車両後部にも
Photo by: Motorsport.com / Japan
「視力検査とか色々あると言われていたので、書類に目を通したり確認したり……それだけだよ」とブラシア。とはいえ、来日後はレッキ(下見走行)も控える中でそういった余計な手続きが必要だったこともあり「楽だったとは言えないね」とのことだ。初心者マークはチームの日本人コーディネーターが100円ショップで購入してきたという。
ちなみに、このようなケースではリエゾンだけコ・ドライバーに運転させるということもできなくはないが、あいにくブラシアのコ・ドライバーであるガブリエル・モラレスもジュネーブ条約を締結していないブラジル出身である。
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