タイガー魔法瓶が“ずっと冷たい”レース用ドリンクシステムを開発! きっかけは酷暑のF1カタールGP……SF参戦Jujuの車両に搭載
タイガー魔法瓶は、レーシングカーに搭載するドリンクシステム『Cool-Flow HYDRATION』を開発。スーパーフォーミュラに参戦するJujuのマシンに既に搭載されているという。
Cool-Flow HYDRATION
写真:: タイガー魔法瓶
水筒や炊飯器などの製品で知られるタイガー魔法瓶株式会社が、NODAレーシングコンサルタンツ株式会社と共同開発したレース用ドリンクシステム『Cool-Flow HYDRATION』をお披露目。都内で説明会を実施した。
熱制御テクノロジーを応用した様々な製品を手がける、創業100年を超える老舗のタイガー魔法瓶。同社のR&Dマーケティンググループの村田勝則氏が、昨年の年初に、スーパーフォーミュラに参戦するJuju(野田樹潤)の母でNODAレーシングコンサルタンツの代表である野田雅惠氏と知り合ったことからこのプロジェクトは始まった。
クルマ好きの村田氏は、2023年のF1カタールGPで猛暑により多くのドライバーが脱水症状などの体調不良に見舞われたというmotorsport.comの記事を見て、この縁を通じてレース専用のドリンクシステムの開発ができないかと思案していたという。そこで村田氏から雅惠氏に“逆提案”をした結果、今回の共同開発に繋がった。
製品説明をするタイガー魔法瓶 村田勝則氏
写真: Motorsport.com Japan
昨年のスーパーフォーミュラ公式テストに赴いた村田氏は、レースにおけるドリンクシステムの課題を知ることになる。一般的なドリンクシステムは、ステアリングのボタンを押すことで、ボトルからチューブを介してドライバーの口へとドリンクが運ばれる形だが、一旦吸い出されたドリンクがチューブ内に滞留してしまうことで、それが70℃にも達すると言われるコクピット内で温められてしまい、冷たいドリンクを飲めないという問題があった。
村田氏はこの課題に取り組むことにした。ただ、様々試行錯誤するもうまくいかず。それでも諦めずに思案を続けていたところ、たどり着いたのが“コーヒーメーカー”の技術転用だった。
タイガー魔法瓶でコーヒーメーカーの開発に携わってきた村田氏は、最近のコーヒーメーカーはバリスタの仕事を再現するべく注水量や速度を調整する機構が備わっていると説明する。ここに着想を得て、コーヒーメーカーの部品を取り付けてドリンクの流れを制御。ボタンを離すと、チューブを通るドリンクがボトルに戻るようなシステムを構築した。
具体的な流れとしては、ドリンクボタンをオンにした時は電動ポンプが駆動して送水、エアーバルブからボトル内に空気を送ることで、ボトル内が負圧になることを防ぎ、送水力を保てる仕組み。そしてボタンをオフにすると、逆流経路の電動バルブが開くことで容器内にドリンクが戻るようになっているという。また、ボールバルブが弁として機能することで、走行中のGによってドリンクが逆流してくることも防げるのだ。
Cool-Flow HYDRATIONの送水制御
写真: タイガー魔法瓶
ボトルはタイガー魔法瓶の真空断熱ボトルを採用。これを使うことでボトル内に氷を入れずともドリンクが冷たい状態を保てている。また、880mlサイズで約390gと軽いため、今回のドリンクシステムが重量的に負荷になることもない。ボトルサイズはバリエーションがあるため、レースの開催時期や気候条件に合わせて変更することができる。
このドリンクシステムがJujuの車両に搭載されており、ボタンを押してドリンクが流れるまでのタイムラグ改善など、現在も様々な点で改善・改良が続けられているが、一連の開発が一定の成果を得たことから今回のお披露目に至ったという。
Juju本人も今回の発表に際して次のようにコメントを寄せた。
「この1年、わがままを言って色々なリクエストをさせていただきましたが、毎回すぐに要望に応えていただきました」
「昨年はドリンクが出てきちゃうこともありましたが、今は全くなくなり、集中して走ることができています。私のレースを支えてくださっているのですごく感謝しています」
今後の市販計画などは未定だというが、既にレース現場では関係者から問い合わせを受けているとのこと。そしてこの技術はレースにとどまらず、介護などの他分野で活用されることも期待できそうだ。
写真: Motorsport.com Japan
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