F1ベルギーGP決勝:ハミルトン、タイヤに苦しみながらも今季5勝目。フェルスタッペンは3位
メルセデスのルイス・ハミルトンが、ベルギーGPを完勝。今季5勝目を挙げた。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが3位に入った。

F1第7戦ベルギーGPの決勝レースが行なわれ、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウィン。通算89勝目、今季5勝目となった。
スパ・フランコルシャンは心配されていた雨もなく、気温18度、路面温度30度のドライコンディション。各車が路面状況を確かめるレコノサンスラップに出ていくが、カルロス・サインツJr.(マクラーレン)はマシン後部から白煙を吹き、緊急ピットイン。排気系に問題が起きてしまったようで、クルーはエンジンカウルを開けマシンをチェックしたが修復を早々に諦め、サインツJr.がつく予定だった7番グリッドは空席となった。
レース前には、人種差別に対する抗議の後、昨年スパでのF2レース1で亡くなったアントワーヌ・ユベールに対して黙祷が捧げられた。
予選でスタートタイヤが決まるグリッドトップ10のうち、ハミルトン、バルテリ・ボッタスのメルセデス勢、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のトップ3はミディアムタイヤでスタート。11番手以降では、12番手のピエール・ガスリー(アルファタウリ)がハードタイヤ、13番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)がソフトタイヤでのスタートを選択したが、ミディアムタイヤスタートが多数派となった。
ポールのハミルトンが順調にスタートを決めトップをキープ。今回抜群のストレートスピードを誇るルノー勢は、エステバン・オコン(ルノー)がアレクサンダー・アルボン(レッドブル)を交わし5番手。4番手のダニエル・リカルドもフェルスタッペンへと迫り、ケメルストレートで横並びに。しかしなんとかフェルスタッペンがこれを抑え、3番手をキープした。
ルクレールはタイヤ選択が功を奏したか、ルクレールが9番手までポジションアップすると、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)も交わして8番手とした。しかし3周目、ハードタイヤのガスリーはDRSを使い、ルクレールを楽々オーバーテイクすることに成功。ルクレールは『ストレートで苦労している』と無線で報告し、ペレスやランド・ノリス(マクラーレン)、ダニール・クビアト(アルファタウリ)にもなす術なく抜かれてしまった。
メルセデス勢は1分50秒台前半のファステストタイムを連発。フェルスタッペンは少しずつ離されていく。ボッタスは懸命にハミルトンをプッシュするが、1.7秒前後のギャップのままラップを重ねていった。
中団争いで元気がいいのはガスリー。ハードタイヤながらペースが良いのか、7番手のランス・ストロール(レーシングポイント)を追った。
すると10周目、ターン13出口でアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)がスピンしクラッシュ。これを避けようとしたジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)のマシンに、ジョビナッツィのマシンから脱落したタイヤが接触し、こちらもクラッシュを喫した。これによりセーフティカーが出動した。
これを受けて各車が続々とピットイン。そのままフィニッシュを目指すべく、多くのマシンがハードタイヤに履き替えた。ガスリーはすでにハードタイヤを履いているためか、ピットインせず4番手。5番手ペレスもソフトタイヤスタートながらピットインしなかった。
6番手にはリカルドが続き、7番手はミディアムタイヤへと履き変えたアルボン。ルノーが2台同時にピットインを実施したため、オコンはタイムロスしアルボンにピットで逆転される形となった。
15周目からレースが再開。上位陣には大きなポジション変動はなかったものの、ベッテルはキミ・ライコネン(アルファロメオ)にオーバーテイクを許し、13番手に下がった。16周目にはハミルトンが”ロストパワー!”と訴えたものの、エネルギー管理上の問題だったようで、その後も好ペースでラップを刻んだ。
スタートからソフトタイヤで走り続けているペレスは、リカルド、アルボンに相次いで抜かれポジションダウン。18周を終えたところでピットに入ったが、これで最後尾17番手まで後退した。フェラーリの2台はベッテルとルクレールが12番手を争い、軽く接触。幸い大事には至らなかったが、危ないシーンだった。
ハミルトンは徐々にボッタスとの差を広げていき、20周を終えたところでその差は2.7秒。フェルスタッペンはミディアムタイヤよりもハードタイヤの方がペースが良いのか、ボッタスの1.3秒ほど後方につけレースを進めた。
ガスリーはリカルドにこそ抜かれたものの、後続を抑え粘りの走りで5番手をキープ。アルボンは数周ガスリーのペースに付き合わされたが、24周目にDRSを使ってようやく前に出た。
24周を終え、ルクレールが2度目のピットイン。チームからの指示でピットインしたようで、ルクレールはその理由をチームに訊いたが、チームは『後で教える』と煙に巻いた。ただ、ピットインの際にマシン側面にホースを繋いでいたシーンが国際映像に捉えられていた。
ガスリーは26周を走り終えてピットイン。ミディアムタイヤへと履き替えたが、これで16番手まで後退。レース序盤はいい走りを見せていたが、セーフティカーによって大きく戦略が狂った形だ。
一時はボッタスに接近していたフェルスタッペンだが、レース30周目を迎える頃に両者の差が2.7秒ほどまで開いた。
遅れてピットインしたペレスとガスリーは、次々とオーバーテイクを決めていく。ペレスは33周目、ガスリーは34周目にライコネンをパスし、これでペレスが10番手、ガスリーが11番手となった。9番手にいたクビアトをペレスがパスすると、クビアトはペースの速いガスリーにポジションを譲った。
フェルスタッペンはタイヤのバイブレーションが酷くなっていると報告し、ハミルトンもシケインへのブレーキングでタイヤをロックさせるなど、タイヤ的に各車予断を許さない状況のまま、レースは残り5周。トップ3は6秒間隔、4番手リカルドは前後に10秒以上のギャップがある単独走行。アルボンにはオコンが迫るという状態だ。
一方、タイヤに多少余裕があるペレスとガスリーとのバトルは、ガスリーに軍配。セクター1で全体ベストを更新し、DRSを使ってペレスをオーバーテイクし、ガスリーが9番手に上がった。
右フロントタイヤの感触がないとこぼしながら、ハミルトンは縁石を避けて慎重にドライブ。リカルドは1分48秒前半の自己ベストを更新するが、トップ3は1分50秒台までペースダウンし、フィニッシュを目指した。
終盤にパンクが続発したイギリスGPの悪夢が頭をよぎる中、ハミルトンはボッタスに8.448秒差でトップチェッカー。3位はフェルスタッペンで、ボッタスとは7.007秒差だった。
4位リカルドはファイナルラップにファステストラップを叩き出し、フェルスタッペンの3.4秒後ろでフィニッシュした。
5位はオコンで、ルノー勢が揃って好結果を残した。オコンをなんとか抑えてフィニッシュを目指したアルボンは、ファイナルラップにオーバーテイクを許し6位となった。
7位以下ノリス、ガスリー、ストロール、ペレスまでがポイント獲得。後方からの追い上げを見せたガスリーは、ドライバー・オブ・ザ・デイを獲得した。
フェラーリ製パワーユニットを搭載したマシンはポイントを獲得できず。苦しいレースとなったフェラーリはベッテルが13位、ルクレールが14位だった。
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