F1

15歳で脅威のプレゼン能力。そして熱い想い……ウイリアムズF1育成としてカートに挑む松井沙麗の可能性

まずはF1アカデミー参戦を目指すウイリアムズ育成の松井沙麗。目標はさらにその先……F1に挑むことだ。彼女の可能性はどれほどのものなのか?

田中 健一

編集: 2025/11/26 9:31

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Sara Matsui

Sara Matsui

写真:: Sara Matsui

 先日行なわれたAthTAG GENKIDAMA AWARDで、最優秀賞にあたるGOLD PRIZEに選ばれた松井沙麗。ウイリアムズの育成ドライバーとして、今は欧州を中心にカートレースに挑む15歳である。

 松井は来季からフォーミュラカーでのレースに挑むことを目指しており、その参戦には年間6500万円もの費用がかかると見込まれている。それを自己資金だけで賄うのは不可能であり、多くのスポンサーを獲得する必要がある。その一環として、彼女は今回AthTAG GENKIDAMA AWARDに挑んだのだ。

 このAthTAG GENKIDAMA AWARDでは、若いアスリートたちが自らの夢や希望をプレゼンし、そこで素晴らしいという評価を得た者が、活動応援資金を手にする。松井のライバルとなったのはいずれも松井よりも年長のアスリートたちであり、オリンピックに出場した経験を持つアスリートもいた。

 そんな中で松井がGOLD PRIZEに選ばれたのは素晴らしいこと。それだけ彼女のスピーチは、自分の熱意を伝えることができる内容に仕上がっていたのだ。審査員を務めた野村忠宏(柔道)、伊達公子(テニス)、古田敦也(野球)、潮田玲子(バドミントン)というレジェンドアスリートたちも、その内容に舌を巻き、高い評価を下した。

松井沙麗, Sara Matsui, GENKIDAMA AWARD

松井沙麗, Sara Matsui, GENKIDAMA AWARD

写真: Motorsport.com Japan

「来年の活動費が本当に苦しいというところでこのアワードのことを知り、挑戦することにしました。ファイナリストになることが決まってから準備・練習をしたんですが、私はずっと(カートレースに参戦するために)イタリアにいたので、なかなか練習できませんでした」

 受賞が決まった後、松井はそう語っていた。

「それでもGOLD PRIZEに選んでいただいて、この300万円を手にできたということは、今後の自分の成長にも繋がっていくと思います」

「私はF1ドライバーになりたいという夢を絶対に叶えたい……その気持ちは、何があっても消えないと思います。絶対にF1ドライバーになって、これまで応援してきださった皆さんに、必ず恩返しをしたいと思います」

 なぜそんなにも、モータースポーツに魅了されたのか? そう尋ねると、松井は次のように語ってくれた。

「モータースポーツは、日本ではあまり知られていないスポーツかもしれません。でも少し見ると、本当に面白いと思います」

「私が一番魅力だと思うのはスピードです。どんなスポーツも命がかかっていると思いますが、モータースポーツは他のスポーツに比べると危険と隣り合わせの部分も大きいです。でも私としては、そこも魅力のひとつだと思っています」

「もうひとつ、F1にはイケメンドライバーも多いので、そこも魅力かもしれませんね。そういう人間性、外観もそうですが、モータースポーツには色々な魅力が詰まっています」

 今回GOLD PRIZEに選ばれたことで、松井にはその評価に応えるだけの活躍が今後求められる。特に日本におけるモータースポーツ人気を高めるというのも、松井に課された使命と言えよう。

「日本でモータースポーツがもっと人気になるということが、私の夢のひとつでもあります。そして女性がモータースポーツで活躍できる場を、日本でも世界でも、もっと増やしていくことを目指していきたい……それはかならず達成したいと思っています」

Sara Matsui

Sara Matsui

写真: Sara Matsui

 繰り返すが、松井はまだ15歳。中学生である。実にしっかりとした受け答えで、時折年齢のことを忘れてしまうほどだ。私が15歳の頃はどんなだったか……思い返すと大変おぞましい。

 なおこのAthTAG GENKIDAMA AWARDでファイナリスト(8名)に選ばれると、最終のプレゼンに向けた準備を整えるため、AthReebo社の社員がメンターとしてつく。そしてふたりで協力して、プレゼンの内容を整えていくわけだ。

 松井のメンターを担当したのは馬渡華那さん。彼女もモータースポーツのファンであり、普段からDAZNでF1を観戦しているという。そして来年のF1日本GPの観戦チケットをしっかり購入できたらしい。

 その馬渡さんも、松井は15歳とは思えないほどしっかりしていて、驚いたという。

「彼女は中学生とは思えないほどしっかりしています。海外から、しかもひとりで面談に参加したのは、彼女ひとりだと思います。その点で素晴らしいと思いました」

 そう馬渡さんは言う。

「彼女は、自信を持っているのが素晴らしいなと思います。しかも、自分の技術に確固たる自信があるんです」

「そして物事を客観視できているのがすごいですね。1ヵ月の間に複数回ミーティングをしましたが、その度に成長を感じています」

 しかし松井はそもそも、本格的にカートレースを始めることを、親から反対されていた。しかしどうしてもやりたいと自らの意見を貫いてカートに挑み、そしてウイリアムズの育成ドライバーとなるところまでたどり着いた。

「ご両親の反対を押し切って、カートを始めた強さはすごいと思います。しかも面談などにご両親が出てこず、ご自身のみで進めてきたことも、素晴らしいですね」

 なお馬渡さんは、前職キャビンアテンダントという経歴の持ち主。松井にはプレゼンをするにあたり、機内アナウンスなどで培った話術を伝授したようだ。

「15歳なので、プレゼンの経験はないと思います。パワーポイントだって使ったことないでしょうし、その中でスライドも自分で作らなければいけません」

「私は客室乗務員だったので、機内アナウンスの経験がプレゼンの際にも活きると思います。その経験をお知らせしたりしました」

 プレゼンはひとり10分。10分間自分の想いを話すのは、実に難しいことである。しかし松井には、伝えたいことがたくさんありすぎた。当初組み上げたプランでは10分では到底収まらず、ブラッシュアップする作業も馬渡さんと繰り返した。

「プレゼンは10分間なのですが、10分も喋るのって、難しいです。でも松井さんには、中学生とは思えないくらい伝えたいことがたくさんありました」

「これだけしっかり話ができる若いアスリートは、なかなかいないと思います。ほとんどのアスリートは、競技しかやってこなかったので、プレゼン能力が課題となることが多いです。それで、スポンサー営業がうまくいかないということもあります」

「スポンサー営業する上では、本人の言葉で語った方が説得力が上がると思います。企業としても、応援のしがいが上がると思います」

 今はスポンサーを見つけることに苦労しているという松井。しかしあのプレゼン能力、そしてその熱い想いがあれば、きっと共鳴してくれる企業があるはずだ。

 読者の皆様の中に、彼女のスポンサーになることに興味をお持ちの方はいらっしゃらないだろうか?

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