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ニッポンのファンが選ぶ”美しい”F1マシンベスト10

あなたが好きなF1マシンはどれ? ニッポンのF1ファンが選ぶ”美しい”F1マシントップ10。

Ayrton Senna, McLaren MP4/7A, Riccardo Patrese, Williams FW14B

Ayrton Senna, McLaren MP4/7A, Riccardo Patrese, Williams FW14B

Sutton Images

 先日お送りしたmotorsport.comのグローバル版編集部が選んだ”美しい”F1マシントップ50。大きな反響をいただきました。そのため日本の読者の皆様にも、美しいと思うF1マシンを選んでいただきました。その投票結果を一挙紹介。

 
10位:レッドブルRB5(2009年)

10位:レッドブルRB5(2009年)

写真:: Sutton Images

レッドブルが初勝利を挙げたマシン。ブラウンGPと激しいタイトル争いを繰り広げ、それまでとは勢力図を一変させることになった。 この年はKERSが導入された初年度。しかし非メーカー系チームであるレッドブルは、KERSを搭載することはなかった。 当初は細いノーズだったが、シーズン中盤からは太いノーズに変更されその印象がガラリと変わった。また、ブラウンGPやトヨタが使っていたダブルディフューザーも採用し、戦闘力が向上。セバスチャン・ベッテルが4勝、マーク・ウェーバーが2勝の合計6勝を挙げた。
10位:フェラーリF92A(1992年)

10位:フェラーリF92A(1992年)

写真:: LAT Images

ジェット戦闘機を彷彿とさせるノーズとサイドポッドが印象的なフェラーリF92A。そのフォルムは美しく、今もファンが多い1台。しかしその一方で、成績面はフェラーリの中で最低ランク。コンストラクターズランキングこそ4位を確保したものの、最高成績はジャン・アレジの3位2回(スペインGPとカナダGP)だった。 空力面で言えば、現在のトレンドに通じるダブルフロアを採用した意欲作だったが、当時は時期尚早。狙ったような空力効果を発揮することはできず、単に重心が上がるという結果となり、パフォーマンスに悪影響を及ぼした。シーズン終盤にはアクティブサスペンションも搭載したが、戦闘力を上げるには至らなかった。
10位:スーパーアグリSA07(2007年)

10位:スーパーアグリSA07(2007年)

写真:: XPB Images

スーパーアグリが2007年シーズンに走らせたマシン。佐藤琢磨とアンソニー・デビッドソンが搭乗し、佐藤が2度の入賞を果たした。カナダGPで、フェルナンド・アロンソが駆るマクラーレンを抜いたのは、あまりにも有名だ。 ホンダ(ホンダF1チームではなく、本田技術研究所)の協力により開発されたマシンであり、ホンダF1チームの2006年マシンRA106に酷似していた。これについてライバルチームから「カスタマーシャシーではないか」と抗議が寄せられたが、使用が認められて前述の結果を残した。
10位:ロータス107(1992年)

10位:ロータス107(1992年)

写真:: Sutton Images

ロータスが1992年のサンマリノGPに投入したマシン。同チームが完全な新車を投入したのは、1990年以来のことであった(つまり前代の102は、2年半にわたって使われていた。その間、ランボルギーニV12、ジャッドV8、フォードV8と様々なエンジンを搭載。102CにはいすゞV12エンジンが載った)。 この107は高いパフォーマンスを誇り、ミカ・ハッキネンが5回、ジョニー・ハーバートが1回の入賞を記録(当時は6位までが入賞)。苦しんでいたトップ4チームの一角であるフェラーリを追い詰めた。
9位:ミナルディM192(1992年)

9位:ミナルディM192(1992年)

写真:: Sutton Images

クリスチャン・フィッティパルディとジャンニ・モルビデリがドライブしたミナルディM192。サンマリノGPから実戦投入された。漆黒のボディにウイングなどに黄色が入れられたカラーリングは、ひと際目立つ存在だった。 エンジンはランボルギーニ製V12。ノーズはこの頃からトレンドとなった処理に併せて若干持ち上げられ、マシン底面に気流を取り込んだ。 日本GPではフィッティパルディが6位に入賞し、貴重な1ポイントを持ち帰った。
8位:ベネトンB192(1992年)

8位:ベネトンB192(1992年)

写真:: LAT Images

ベネトンが1992年用に用意したマシンで、スペインGPで初投入された。 ベネトンは前モデルのB191で初めてハイノーズを採用。このB192はさらにノーズ先端の位置を高め、その黄色のカラーリングも併せて”バナナノーズ”と呼ばれた。 ドライバーはミハエル・シューマッハーとマーティン・ブランドル。シューマッハーはデビューからちょうど1年となったベルギーGPで自身初優勝を遂げた。エンジンはフォードHB V8。チームはこの年91ポイントを獲得し、フェラーリを上回ったばかりか、マクラーレン・ホンダにも8ポイント差まで迫った。 翌年用マシンB193も、このB192によく似たデザインとなった。
7位:マクラーレン・ホンダMP4/4(1988年)

7位:マクラーレン・ホンダMP4/4(1988年)

写真:: Sutton Images

世代最強を欲しいままにした1台。16戦中15勝を挙げるという、無類の強さを発揮した。F1の長い歴史上、ここまでの強さを誇ったマシンは他にほとんどない。 ゴードン・マーレイ設計のシャシーは、徹底的に低重心化され、ハンドリングに好影響を与えた。また、それに搭載されたホンダのV6ターボエンジンも最強……まさに付け入る隙がなかった。 ドライバーはアイルトン・セナとアラン・プロスト。この年はセナが初載冠を果たしたが、後々ふたりの軋轢は悪化していくことになる。
5位:フェラーリ640(1989年)

5位:フェラーリ640(1989年)

写真:: LAT Images

フェラーリが1989年シーズン用に用意した640。デザイナーはジョン・バーナードである。ステアリング裏にパドルシフトを設けた、いわゆるセミ・オートマチック・トランスミッションを初搭載したF1マシンで、エンジンはパワフルなV12エンジンを採用。それだけではなくマシンは非常に細く造られ、史上最も美しいマシンとの呼び声も高い。 しかしこのマシンは信頼性が低く、表彰台もしくはリタイアという極端な成績。それでも3勝を挙げ、コンストラクターズランキング3位となった。ドライバーはナイジェル・マンセルとゲルハルト・ベルガー。
5位:ティレル020(1991年)

5位:ティレル020(1991年)

写真:: LAT Images

中嶋悟とステファノ・モデナが駆ったティレル020。前モデルの019同様ハイノーズ&ハの字型のアンヘドラルウイングを採用し、ホンダV10(RA101E)を搭載した。 タイヤが当時主流であったグッドイヤーではなくピレリだったこともあり、苦労するシーンもあったが、開幕戦アメリカGPではダブル入賞、カナダGPではモデナが2位に入るなど活躍した。モナコGPでは、モデナが予選でフロントロウを獲得している。 中嶋悟にとっては、F1で最後のパートナーとなったマシンである。 020はその後1993年前半まで使われ、その間にイルモアV10、ヤマハV10、無限ホンダV10(テストのみ)など様々なエンジンを載せた。
4位:フェラーリ641/2(1990年)

4位:フェラーリ641/2(1990年)

写真:: Sutton Images

1990年のフェラーリF1マシン「641」の改良版で、同年第3戦のサンマリノGPから登場した。641の基本デザインは前年640と同じジョン・バーナードだが、641/2はエンリケ・スカラブローニとスティーブ・ニコルズが変更を施した。 640の問題点となっていた信頼性も改善され、アラン・プロストとナイジェル・マンセルの手により計6勝。合計110ポイントを獲得し、マクラーレン・ホンダ(MP4/5B)を11ポイント差まで追い詰めた。 プロストがセナとスタート直後に接触、リタイアに終わった日本GPのシーンは、あまりにも有名である。 なおフェラーリはこの年以降、3年以上にわたって未勝利という暗黒時代に突入していくことになる。
3位:ジョーダン191(1991年)

3位:ジョーダン191(1991年)

写真:: Sutton Images

現在のレーシングポイント・フォースインディアの前身であるジョーダンの初年度マシン。ゲイリー・アンダーソンがデザインしたマシン191は、チーム初年度ながら高いパフォーマンスを発揮した。 マシン自体はコンサバなものであるものの、空力面では当時トレンドになりつつあったハイノーズを採用するなどしていた。 第5戦カナダGPでアンドレア・デ・チェザリスが4位、ベルトラン・ガショーが5位に入ったのを皮切りに、入賞の常連となる。そしてベルギーGPでは、ミハエル・シューマッハーがガショーのマシンに乗る形でF1デビュー。いきなり予選7位に入る活躍を見せた。 シーズン終盤には入賞を果たすことができなかったものの、合計13ポイントを獲得してコンストラクターズランキング5位となった。
2位:ウイリアムズFW14B(1992年)

2位:ウイリアムズFW14B(1992年)

写真:: Sutton Images

ナイジェル・マンセルに初のドライバーズタイトルをもたらした、1992年シーズンのチャンピオンマシン。 リ・アクティブサスペンション、セミオートマチックギヤボックス、トラクションコントロールなど様々なハイテクデバイスを搭載。これにより、エイドリアン・ニューウェイがデザインした空力パッケージをフルに活かすこととなり、圧倒的な強さを誇った。 マンセルは結局16戦中14戦でポールポジションを獲得。年間9勝を挙げてチャンピオンとなった。しかも第11戦ハンガリーGPでこれを決めてしまったのだ。チームメイトのパトレーゼは、アクティブサスの挙動に慣れるのに苦労したとも言われていて、日本GPの1勝のみに終わった。 勝率ではマクラーレンMP4/4などに及ばないものの、その圧勝劇から歴代最強との印象も強い1台。
1位:マクラーレンMP4/6(1991年)

1位:マクラーレンMP4/6(1991年)

写真:: LAT Images

1991年のチャンピオンマシン。ホンダV12(RA121E)を搭載し、アイルトン・ セナとゲルハルト・ベルガーの手により合計8勝を挙げて、ダブルタイトルを獲得した。 セナはMP4/6を駆り開幕4連勝。しかしシーズン中盤には、ウイリアムズがFW14の信頼性を確保してきたことで、マクラーレン勢は大いに苦しめられた。ウイリアムズやフェラーリがセミ・オートマチック・ギヤボックスなどを採用したのに対し、マクラーレンMP4/6は従来のHパターンのギヤボックス。時代遅れの傾向が顕著に現れ始めていた。 シーズン終盤のウイリアムズにはリタイアが相次いだため、なんとかタイトル防衛に成功するが、最終的なコンストラクターズポイントの差は14ポイントと僅差だった。 タイトルを決めた後、セナがベルガーに勝利を譲った日本GPは、ファンの涙も誘った(実際にはベルガーは、セナにトラブルが発生したと思い、してやったりと思いながらチェッカーを受けたという)。 マクラーレンは翌年序盤にも改良版であるMP4/6Bを使うが、ウイリアムズFW14Bに全く歯が立たず、ブラジルGPからは新型のMP4/7Aを投入。しかしそれでも、ウイリアムズとの差は歴然だった。
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