フォーミュラE、新たな戦略的要素”アタックチャージ”をテストへ。ピットでの高速充電を活用

フォーミュラEは、第3世代マシンが導入されるシーズン9でファンブーストを廃止。急速充電を使ったピットストップをシーズン途中から導入し、新たな戦略的要素とする可能性が出てきた。

Stoffel Vandoorne, Mercedes Benz EQ, EQ Silver Arrow 02, Sergio Sette Camara, Dragon Penske Autosport, Penske EV-5, Mitch Evans, Jaguar TCS Racing, Jaguar I-TYPE 5, the reminader of the field at the start

Stoffel Vandoorne, Mercedes Benz EQ, EQ Silver Arrow 02, Sergio Sette Camara, Dragon Penske Autosport, Penske EV-5, Mitch Evans, Jaguar TCS Racing, Jaguar I-TYPE 5, the reminader of the field at the start

Sam Bloxham / Motorsport Images

 フォーミュラEは、創設9年目となる2022-23年シーズンに、第3世代マシン『Gen3』を導入する。Gen3マシンのレースモード出力は300kWに設定され、予選時とアタックモードが起動すると350kWまで上昇する。それぞれ一気に100kWアップと、Gen2からは大幅なパワーアップを果たしている。

 これに伴い、いくつかそのフォーマットにも変更が加えられている。そのひとつが、フォーミュラEの初年度から導入されてきたファンブーストの廃止だ。当初はファンとの関係を深めるために導入されたものだが、その役割は果たしたと判断されたようだ。

 ファンブーストはファンからの投票上位5名のドライバーに、5秒間最大パワーを与えるブースト使用の権利を与えるものだったが、そのドライバーが固定化されつつあったこともあって、好評を得ているとは言えないモノだった。

 一方で、新たに導入が検討されているのが、”アタックチャージ”システムだ。ピットでの高速充電と、従来のアタックモードを組み合わせることで、フォーミュラEは戦略的な要素を追加しようとしているようだ。

 ドライバーはレース中にピットに入り、30秒間の”チャージストップ”を完了することで高出力モードにアクセスできるようにするという形だ。

 アタックチャージが採用されるレースでは、ライン外を通ってアタックモードを起動するのではなく、ピットインしてバッテリーを高速充電をする。その後、レース前にFIAが定めた時間アタックモードを使用できるようになり、600kWの充電器”ブースター”から供給される電力でレース後半は4kWhのエネルギーを追加で使えるようになるという。

 ダブルヘッダーのラウンドでは、1レース目は従来のフォーミュラEフォーマットで行なわれ、2レース目をアタックチャージレースとして戦略的なバリエーションを持たせるという選択も可能だ。

 急速充電機能は、バレンシアの公式テストで試され、各チームがそのシステムとフォーマットに慣れることになる。

Attack mode, Fanboost logos on the dry track

Attack mode, Fanboost logos on the dry track

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

 フォーミュラEのCEOであるジェイミー・ライグルは、シーズン9の開幕戦メキシコからアタックチャージを採用することもできるが、チームやオーガナイザーがスムーズに実施できると確信できるまで待つことがより賢明であるとmotorsport.comに説明している。

 これは、各チームに供給される標準バッテリーパックにテストが問題が起きたためだが、ライグルはこの問題は解決したと付け加えた。

「我々の課題はレース中の充電器、ブースターと呼んでいるが、そのセルのサプライヤーがバッテリーのセルパックと同じであることだ」

「メキシコまでには準備できるだろうが、結局のところ色々なことが変化しているんだ。そのタイミングに間に合うようにバレンシアで耐久テストをして、メキシコでレースに使うことは、スポーツにとって本当に望ましいことなのだろうか?」

「それとも、シーズン9をかなり性能がアップしたGen3マシンの能力を示すために使い、それから新しいレースモードを導入するべきなんだろうか」

「テクノロジーはあるけれど、1月までに無理に導入するのではなく、適切に導入できるという高い確信が得られてから導入しようということだ。ダブルヘッダーがあるので、それを活用できる」

 また、フォーミュラEは近年、45分プラス1周の時間制でレースを行なっていたが、シーズン9からは一定周回数のレースに変更される。一方で、セーフティカーやフルコースイエローでの走行距離に応じた”ロスタイム”に近いシステムは維持される。

 セーフティカー先導のもとで走行した距離の4分の3が、最終的にラップ数に加算されるという。

 
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