今シーズンからフォーミュラEに挑戦するヤマハ。量産に活かせる技術はあるのか? そしてMotoGP開発との協調も視野に
フォーミュラEへの挑戦をスタートさせたヤマハ。この世界最高峰の電気自動車シリーズに挑むことで、量産開発に向けてどんな効果が期待できるのか?
Lucas di Grassi, Lola Yamaha ABT Formula E Team
写真:: Andreas Beil
今シーズンからローラ、アプトと組んでフォーミュラEへの挑戦をスタートさせたヤマハ。フォーミュラEに挑むことで、市販領域にどんなフィードバックをもただすことができるのだろうか? ヤマハ発動機の技術・研究本部の原隆チーフストラテジーリードに訊いた。
フォーミュラEは2024-2025シーズンから、マシンがGEN3 Evoに進化。最大出力は前モデル同様350kWのままだが、アタックモード使用時などは前輪も駆動させ、四輪が駆動するようになった。また、マシンのリヤにジャックを挿し込み、急速充電できるようにもなっている。
フォーミュラEは2014年に最初のシーズンがスタート。当初はレース中にマシンを乗り換えるという前代未聞のレーススタイルだったが、そこからマシンは急速に進歩してきたわけだ。
ただフォーミュラEマシンは、モノコックはもちろんバッテリーもワンメイク。そんな中でどんな開発ができるのか? そして市販品にその知見をどう活かすのだろうか?
「十分活かせると思います」
原氏はそう語った。
「コンポーネントのパーツの種類、パーツの数の少なさというのが課題で、差別化しにくいという部分もあります。でもその中で極めている人たちがフォーミュラEの世界にいたので、それを参考にできると思います」
「それをいかに商品ラインに展開するかというのは、我々にとって課題でした。でも、何かができるんじゃないかと思います」
ヤマハは以前から高性能モーターを開催している。2021年に開発が発表されたハイパーEV用のモーターも、フォーミュラEのGEN3 Evoと同じ出力350kWのものだ。
原氏はさらに続ける。
「また開発の仕方も、モータースポーツだからこそ、非常に短い期間で開発を完成させるんです。そういうところも、非常に参考になると思います」
「ヨーロッパでは、モータースポーツ発信で開発効率が向上されてきています。そういう仕組みが出来上がってきています。それがフォーミュラEを通じて見えた世界だったので、そこは本当に良いことだったと思っています」
現在のフォーミュラEで最も差がつく部分は何なのか? そう尋ねると、制御の部分だと原氏は説明する。
「制御だと思いますね。コンポーネントの効率もありますけど、ソフトウェアが一番大きいです」
「現在のフォーミュラEは、レースが順調に進めば、本当にすごい差が少ない中でのフィニッシュです。本当にちょっとしたところの取りシロで勝負が決まってくるんです。そこに色々な工夫をしていますので、そういうところは少しでも将来の量産品の開発に活かせると思います」
なお電気自動車の将来は、バッテリーの開発にかかっていると言っても過言ではない。小型大容量のバッテリーが開発されれば、その分EVの開発の自由度が広がり、現時点では弱点のひとつとも言える航続距離についても解決できる可能性があるわけだ。
しかしフォーミュラEのバッテリーは、前述の通りワンメイク。開発を自由化すべきとの声もあるが、原氏としてはバッテリー開発を自由化すべきではないと考えている。
「バッテリーの自由化はしない方がいいと思います」
「開発の規模感、費用も含めて莫大になってしまいます。すると、バッテリーも含めて開発できるマニュファクチャラーは、1社か2社くらいに絞られてしまうのではないでしょうか」
「予算も含めて、バッテリーの開発はかなり大変です。そこまで行くのであれば、我々としては手をださないかなと思います。現状では、バッテリーは共通の方がいいんじゃないかと思います」
ただ原氏は、EVの将来に向けては、バッテリーの開発は欠かせないとして、次のように続けた。
「EVの将来に向けては、バッテリーの開発は重要だと思っています。ただレースで競い合わせると、費用や規模感が無限になってしまいます。予算制限をいくらかけたとしてもメーカーの体力勝負の部分が出てきてしまいます。なので、そういう部分にまではいかないと思います」
「F1では今、バッテリーの開発が自由になっています。でも、バッテリーの開発は大変ですからね」
なおヤマハは、フォーミュラEだけではなくMotoGPにも参戦中。今後はそのMotoGPの開発チームと、技術開発やブランディングなどの面で協調していく可能性があるという。
Yamaha YZR-M1, Lola Yamaha Formula E
写真: Motorsport.com Japan
「今でも情報共有はしています。ブランディングも含めて、もう少し協力しようということを、これからやろうとしています。技術開発の部分は、先ほど申し上げた開発効率の面でうまく協力していこうという話を進めています」
「電動モーターとエンジンだと、交わらない部分もあったりします。でも、一緒に出来る部分もあります」
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