日産フォーミュラE、来季からドライバーの“脳トレ”プログラムを採用。電気的刺激によるパフォーマンス向上を目指す
日産はフォーミュラEシーズン10から、脳の潜在能力を引き出す「プレイン・トゥ・パフォーマンス」をドライバーのトレーニングプログラムに採用すると発表した。
フォーミュラEに参戦する日産は、シーズン10となる2023-24シーズンから新たに、脳の潜在能力を引き出す「プレイン・トゥ・パフォーマンス」をドライバーのトレーニングプログラムに採用する。
このプレイン・トゥ・パフォーマンスは、プロドライバーの脳機能を解剖学的な見地から明らかにすることを目的に2017年から始まったプログラム。将来的な民生転用を目指しつつ、日産でUXイノベーションを担当するシニアマネージャーのルチアン・ギョルゲと共にフォーミュラEチームは脳への電気的刺激によってドライバーのサーキットでのパフォーマンスが向上するかどうかに関する研究を行なってきた。
シーズン8の段階では、イギリス・エセックス大学とキャンパス・バイオテック社のレースシミュレータを使用した検証実験を実施。一般ドライバーが初めてコースを10回走るテストの中で、脳への刺激を受けたグループは、脳への刺激を受けなかったグループと比較して半分のタイムで走行し、半分の時間でコースを覚えたことが明らかになったという。
この結果から、ギョルゲはアメリカのウェーブ・ニューロ社やテキサス大学オースティン校の協力を得て、脳の特定の領域を刺激するソナル装置を用いたトレーニングプログラムを作成。ドライバーの認知能力の向上やパフォーマンスの最適化において効果が得られると結論が出たため、チームはシーズン10からドライバーに“脳トレ”プログラムを採用することとなった。
日産フォーミュラEチームのゼネラルマネージャー兼マネージングダイレクターであるトマソ・ヴォルペは、今回の発表について次のように語った。
「『他がやらぬことをやる』という精神のもと、我々は過去3シーズンにおいて、プロのドライバーと一般ドライバーの脳の違いを研究してきた」
「シーズン10から日産フォーミュラEチームにブレイン・トゥ・パフォーマンス・プログラムを採用することで、ドライバーと日産チーム全体がどのように進化していくのか、大いに期待している」
Sacha Fenestraz, Nissan Formula E Team
Photo by: Nissan
またプロジェクトの中核であるギョルゲは、ブレイン・トゥ・パフォーマンスがドライバーに与える効果に自信を見せた。
「ブレイン・トゥ・パフォーマンス・プログラムが始まった当初から、この技術がドライバーの能力を向上させる可能性に自信を持っていた」
「シーズン7と8における研究では、学習能力と知識保持能力が大きく向上し、ドライバーの認知機能が向上したことが示された。これまでの研究をサポートしてくれた全てのパートナーに感謝するとともに、今後の発展を楽しみにしている」
日産フォーミュラEチームはシーズン10の正ドライバーとして、サッシャ・フェネストラズを継続起用。そのチームメイトとしてオリバー・ローランドが3シーズンぶりにチームにカムバックを果たすこととなった。
フェネストラズは昨シーズンがフォーミュラEフル参戦1年目ながらも、ケープタウンePrixでポールポジションを獲得するなど速さを見せた。チームへ復帰するローランドはフォーミュラEでの最初の3シーズンにあたる2018年から2021年を日産・e.ダムスで過ごし、5回のポールポジションと5回の表彰台、そして2020年にはベルリンePrixで初優勝を挙げた。
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