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スーパーフォーミュラが盛り上がるほど、通信負荷は増えるというジレンマ。『SFgo』アプリが抱える課題と、次なるステップ

スーパーフォーミュラが今季から正式に導入しているデジタルプラットフォーム『SFgo』は、現状どんな課題を抱えているのか? そして今後に向けてはどんな構想があるのか? 開発担当者に聞いた。

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 スーパーフォーミュラでは今季からデジタルプラットフォーム『SFgo』が導入され、レースの中継映像に加えて各車の車載映像や無線交信がスマートフォンやタブレット、PCなどを通して楽しめるようになった。しかしそのSFgoは、まだ様々な課題を抱えているという。

 SFgoにとって最も大きなハードルは、やはり通信面。「高速で走っているマシンのオンボード映像を22台同時に流すというのは本当に難しいことです」と語るのは、ホンダからスーパーフォーミュラを主催する日本レースプロモーション(JRP)に出向し、SFgoのプロジェクトを率いた横野翔太氏(注:2023年7月よりホンダ・レーシングに帰任)だ。

■最大の課題は通信面「一般客と回線を共有するのは限界がある」

 日本における電波の利用は、電波法の範囲内で行なう必要があるが、F1などの国際レースでは特例によって強力な電波を使うことができている。しかしスーパーフォーミュラではそうもいかないため、来場者達と同じ携帯電話回線を使い、4GのSIMカードを各車両に搭載することで映像を飛ばしているのが実情だ。

 したがって、オートポリスやスポーツランドSUGO、モビリティリゾートもてぎのような山奥にあるサーキットでは、特に通信環境が厳しいという。横野氏自身も昨年、オートポリス、SUGOで行なわれたスーパーGTのレースに出向き、オンボードカメラと通信ユニットを携えてコース付近の外周路を歩き、観客の入った状況下での通信環境をチェック。こういった細やかな作業を通して、データ量等をチューニングしてきたという。

 シリーズの人気・知名度の向上を目指して様々な改革を行なっているスーパーフォーミュラにとっては、サーキットに来場するファンの数が増えれば増えるほど、通信負荷は大きくなってしまうというジレンマを抱えており、シリーズの盛り上げと並行して通信対策も加速させていく必要がある。このことはJRPも痛感している。

「我々JRPはお客様を増やしてスタンドを満員にしたいという思いがある一方で、お客様が増えれば増えるほど電波環境は厳しくなります」と横野氏は言う。

「もしF1日本GPや、(ゴールデンウィークに開催される)富士でのスーパーGTほどお客様が入った時に電波が飛ばないということは見えてしまっているので、一般のスタンドに来ている方と回線を共有するのは限界があると感じています」

 そんな中で将来的な選択肢として挙げられるのが、“ローカル5G”のような、一般の回線とは切り離された専用の通信設備だ。これが構築されれば「理論上はお客様が何万人増えても問題ない」といい、オンボードカメラ以外にもヘルメットカムや後方カメラなど、複数のカメラを設置して映像を送受信できるようになるという。ただ、ローカル5G自体が新興技術ということもあって未知数な部分も多い上、もちろん導入には相応の原資が必要となるため、今すぐ導入できるというものでもない。

■SFgoで出来ることはまだまだたくさん?

 課題の通信面以外にも、今なお様々な開発が進行しているSFgo。JRPとして「今後は提供したい」というものもいくつかあるようだ。

 例えば好評を博している無線交信に関しては、ドライバーの全ての無線交信を自動で切り抜くシステムを導入して配信しているが、実はそのシステム内で自動での文字起こしも行なわれている。中継スタッフはその文字起こしを見て、中継映像に載せるに値する無線交信をスピーディに選別しているわけだ。

 固有名詞などを自動で正確に文字起こしするのは容易ではないため、現在はユーザー向けには配信されていないが、将来的にはこの文字情報も提供できるようにしたいという。

 そんな無線交信が決勝レースのみでしか配信されないという点も、ユーザーにとって気になっている点ではなかろうか。横野氏によると、フリー走行や公式予選では、決勝に向けたセッティングや戦略など、より込み入ったやり取りをすることが多いこともあり、公開には至っていないとのこと。ただJRPとしては「色んなストーリーを届けたい」という思いがあることから、予選なども含めての無線公開を「ぜひやりたい」との構えだ。

 また、データとして車両から飛ばすことはできるものの、SFgoには採用されていない情報も複数あるという。そのひとつが心拍数データで、そういったドライバーの“アスリート”的要素があらわになれば、非常に興味深いと言えるだろう。

 そして横野氏が今後に向けて重要だと強調するのは、SFgoでの様々な情報を通して「いかに分かりやすく伝えるか」ということだ。

 タイヤ温度や燃料消費量、オーバーテイクシステムの残量といった数値は既に確認することができる。しかし、タイヤはどのくらい劣化しているのか? このドライバーは今優勢なのか、劣勢なのか? そういったことをわずかなデータから読み解くのは玄人の領域。新規のファン層を取り込もうとしているスーパーフォーミュラにとっては、SFgoのデータをいかに分かりやすいものとしてユーザーに提供するかが次なるステップとなるだろう。

 ちなみにJRPは、スーパーフォーミュラの公式サイトやSFgoなど様々なシステムでクラウドサービスを提供していた『さくらインターネット株式会社』とITソリューションパートナーシップを締結したことを、最近になって発表した。これにより、SFgoのサーバーや監視システムの安定稼働を強化していくといい、ユーザーの利便性向上に繋がることになるだろう。

 SFgoの開発は今日も続く。

 
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