【コラム】スーパーフォーミュラもてぎ戦に行ってきた。来場客へのホスピタリティは改善の必要アリ……運営サイドに立っているだけでは分からない”気付き”が重要
年々盛り上がりを見せているスーパーフォーミュラを、ひとりの観客として訪れたらどう見えるのか?
Ayumu Iwasa, TEAM MUGEN AUTOBACS
写真:: Masahide Kamio
2026年のスーパーフォーミュラ開幕戦(もてぎ2&4レース)が、4月4日から5日にかけて、モビリティリゾートもてぎで行なわれた。3日間合計で4万6000人ものお客様が訪れ、大盛況であった。これは昨年比で146%となる動員数であり、近年のスーパーフォーミュラの人気が拡大している、その証左となる数字だったと言えよう。
さて我々取材陣は、レースの現場に行く時にはメディア専用の駐車場をご用意いただき、メディアセンターの中で仕事をさせていただくことになる。随分と恵まれた環境だ。しかし最近、ふと思った。一般のお客様がどのような形で観戦されているのか、それについてはあまり理解できていないのではないかと。取材に赴く際、グランドスタンド裏にお邪魔させていただくことはあれど、観戦客の皆さまと同じようにサーキットにアクセスし、観戦するという機会はほとんどない。実際に“観戦”としてサーキットに行ったのは、気づけばもう何年も前のことだ……。
それならばということで、今回は一般客として、もてぎで開催された2&4レースの観戦に赴いてみることにした。その体験をしたことによって、観客の皆さんのご苦労の一端を知ることができ、主催者が改善すべき点が多々あるように思えた。
まず躓いたのが、チケットを買う部分だ。モビリティリゾートもてぎは、鈴鹿サーキットと同じホンダモビリティランドが運営している。そのため観戦チケットは、モビリティステーションというWEBサイトで買うことになる。
観戦券は簡単に買うことができた。しかし問題は駐車券である。
開催数日前の段階で、前売りの駐車券は「予定枚数終了」の表示であった。この時点で「なるほど、かなりの人手が予想されるな」と考えた。同じように思われた方は、少なくなかったのではないだろうか。
ただ、開催初日(4日)の0時からは当日券が売り出されるというアナウンスもなされていた。ならば、0時を回った段階で当日券を買えばいいと考えたが、0時になっても売り出されず……クルマで行くのは諦めて電車で行こうか、いや宇都宮や水戸からバスで行ったら、一体何時間かかるんだ?? などと、色々なアイデアが頭を駆け巡った。そして最終的には車に自転車を積み込み、サーキットにクルマで入れなければ近隣の駐車場から自転車でサーキットへ向かえばいいか……などと計画を立て、寝床に就いた。
私はこれまで何度ももてぎに行った経験がある。だから様々なアクセス方法を検討できるのだと思う。しかし初心者にとってそれは難しかろう。たしかにもてぎは、自動車以外でアクセスするのが非常に難しいサーキットのひとつ。代替のアクセス手段を効率的に機能させるのは難しいだろう、しかしWEBサイトに使用可能なアクセス方法がまとめて掲載されていれば、初心者に対してもう少し優しいイベントになるはずだ。
そして4日早朝に目覚め、慌ただしく出かける身支度を整えている最中に、改めてモビリティステーションをチェックしてみた。すると今度は駐車券の当日券が売りに出されていた。「残りわずか」表示ではあったが……。
結局、かくして私は3000円の駐車券当日券をオンラインで購入でき、安堵してもてぎへと向かった。
サーキット周辺の道路が混んでいるのは、イベントの時は仕方ない。その渋滞を潜り抜け、サーキットのゲートに辿り着いて、事前購入した駐車券をスマホ画面で提示した。しかし周囲を見渡すと、多くの方がゲートで駐車券を購入している。これでは、事前購入した意味がない。駐車券はゲートでも買えるとは、やはりWEBサイトでは明言されていなかったように思う。モビリティステーションで駐車券を買えなかった方の中には、サーキットに来場することを控えることにした人もいらっしゃったかもしれない。観戦ベテランの方ならゲートで駐車券を買うのは当然かもしれないが、今のようにスーパーフォーミュラの入場者数が増えつつある状況であれば、このあたりをより明確にする必要があるだろう。公共交通機関でのアクセスが簡単ではなく、多くの方が車でいらっしゃるもてぎなどのサーキットであればなおさらだ。
■場内巡回バスはどれ? 入場ゲートは?
このバスはどこへ行く?
写真: Motorsport.com Japan
入場した後も、改善が必要だと思われる部分があった。
今回は北ゲートから入場し、N5と呼ばれる駐車場へと案内された。普段は第二交通教育センターもてぎとして使われているスペースである。
ここに車を停め、人が向かう方へと歩いていく。そこにはふたつの列があった。しかしそれぞれが何のための列なのかが分からない。よくよく見てみると、ひとつは中央エントランスに向かうシャトルバスの乗り場、もうひとつは観戦席への入場ゲートであるらしい。
事前にWEBサイトをチェックしていれば、場内にシャトルバスが運行されていることは分かる。しかしこれがそのシャトルバスなのかは確信が持てない。列の先頭には通常のバス停のような標識がひとつ置かれているだけで、「ここがN5駐車場」ということは明記されているが、さてどこ行きのバスがやってくるのかはまるで分からない。大会期間中は、もっと大きくわかりやすい標識に置き換えるなど、改善の余地はあろう。
観戦エリアへの入り口は少し寂しい
写真: Motorsport.com Japan
そして入場ゲートに関しては、「ここが入場ゲート」と分かるような表示はまったくなく、白地のテントが置かれ、そこにサーキットのスタッフの方が1〜2名いらっしゃるというだけである。せめて「ようこそ2&4レースへ!」という看板でも掲出されていれば、レースを観戦にやってきた高揚感を高めることができるのではないだろうか。
そしてそのゲートをくぐると、もうどこを歩けばいいのか分からない。右へ行ったらどこに行くことができ、左に行ったらどこに辿り着くのか……。私は結局、左のルートを選択。S字コーナーのアウト側から入場し、そこからヘアピンの外を通って、ダウンヒルストレートの横をひたすら歩き、そして90度コーナーから最終ビクトリーコーナーの外側を経て、グランドスタンド裏にたどり着いた。たいへん長い道のりであった。
歩く距離が問題なのではない。サーキットの敷地は広く、移動するためには歩く他ない。しかし、その長い道のりを楽しく過ごせるようにするための工夫はいくらでもできるはず。前述の案内表示もそうだし、例えば「こっちの道は遠いですが、良い運動になってダイエットになるかも!」などと表示するだけで、気分は大きく変わるはずだ。
そして場内には案内板が各所に設置されてはいるものの、これは常設の案内板。2&4レースの時はどこを通行できるのか、そしてどこが自由席なのかなどが書かれた案内はなかった。特に大きなイベント開催時には、この案内板を置き換えるなど、工夫は必須ではなかろうか。レースが開催されていない平常時とは、スタンドの扱いも観客の導線も異なるわけだから。
辿り着いたグランドスタンド裏は、Enjoy Hondaが併載されていたこともあり、かなり多くのブースが構えられ、多くのファンの方がいらっしゃった。飲食店のブースやキッチンカーも多く並べられ、種類も充実。それはそれは盛況であった。スーパーフォーミュラの盛り上がりを実感できる光景であるし、実に楽しい空間になっていたように思う。
そのうち雨が降り始め、その雨は次第に本降りに。屋外でのイベントであるわけだから、雨に濡れてしまうのはある程度仕方ないだろう。雨ガッパなどを携行しよう。もちろん、雨を凌ぎながら食事や休憩ができるスペースがもっと増えれば言うことはないが。
■”気付くこと”が重要
お客様が増えている今だからこそ、やるべきことをやらなければ。
写真: Mobility Land
メディアという立場ではなく、読者の皆さんと同じ観戦客として観戦に行ってみると、改めて見えてくるものが多々あった。今更何を……というお声も頂戴するだろうが、時折こういうこともやってみなければいけないと、改めて気付かされた。
なおスーパーフォーミュラを運営するJRP(日本レースプロモーション)は今後、各レースに数人のスタッフを一般の観客としてサーキットを訪れさせ、実際に観戦させる予定であるという。運営サイドに立っているだけでは分からなかった気付きを得て、それをスーパーフォーミュラという”イベント”のさらなる改善に繋げようとしているわけだ。
もちろん、今更かもしれない。しかしそれを行なうということは、今盛り上がりを見せつつあるスーパーフォーミュラが、さらにお客様に”来たい”と思ってもらえるイベントになっていく上では、とても重要なことであると思う。
観客の皆様に置かれましても、気付いたこと、もっと改善すべきと思うことなどがあれば、我々メディアでも、JRPでも構わないので、どんどんお伝えいただきたい。SNS上に書き込むだけでもいい。きっとそれが、スーパーフォーミュラがもっと素晴らしい”イベント”になっていく一助になるはずだ。
さて私が赴いた4日は既報のとおり大雨に見舞われ、ほぼセーフティカー先導のみでレースが終わってしまった。こればかりは仕方ないが、残念であった。
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