スーパーGTシーズンの幕開け告げるセパンテスト、タイム上はホンダ&日産が目立った4日間に。王者トヨタ坪井も警戒「去年のようにはいかないかも」
マレーシアのセパンでスーパーGTのテストが実施された。各メーカーの実力は拮抗しているようだが、昨年のチャンピオンである坪井翔も一筋縄ではいかないシーズンになるのではないかと予想している。
#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(写真は昨年の第4戦富士)
写真:: Masahide Kamio
2025年のスーパーGTは例年通り4月に岡山で開幕を迎えるが、参戦チーム、ドライバーたちは既に忙しい日々を迎えている。1月19日〜23日にかけては、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで今年初めてのオフシーズンテストが実施。GT500クラスに参戦するトヨタ、日産、ホンダの3メーカーの車両が数多く参加した。
スーパーGTでは3月に岡山国際サーキットと富士スピードウェイで全車参加の公式テストが実施されるが、それ以前にもレギュレーションの範囲内でオフシーズンテストを実施することができる。コロナ禍を経て復活したセパンテストは3メーカー揃い踏みとなる上にシーズン初めての走行となるため、非公式テストとは思えないほどの注目を集める。
今回のテストには計11台が参加した。ホンダ陣営からはSTANLEY TEAM KUNIMITSUの100号車、ARTAの16号車に、GT500唯一のダンロップユーザーであるModulo Nakajima Racingの64号車を加えた3台が参加。トヨタ陣営はTGR TEAM Deloitte TOM'Sの37号車、TGR TEAM ENEOS ROOKIEの14号車、TGR TEAM WedsSport BANDOHの19号車、そして開発車両である90号車の4台体制だ。日産陣営は開発車両の230号車とNISMO NDDPの3号車、TEAM IMPULの12号車、KONDO RACINGの24号車を持ち込んだ。
なお、今回のテストに名を連ねていない号車のドライバーも、複数セパン入りが確認されている。例えばトヨタ陣営は、TGR TEAM KeePer CERUMOの石浦宏明、大湯都史樹、TGR TEAM SARDの関口雄飛、サッシャ・フェネストラズも開発車両に乗り込んだ模様。リザーブドライバーの小高一斗や、育成ドライバーの平良響もテストに参加したようだ。ホンダ陣営のARTAも、16号車のレギュラードライバーである大津弘樹、佐藤蓮、僚機8号車の野尻智紀と松下信治の4名で16号車をシェアしている。
その他、今季はモノコック全車入れ替えのタイミングとなっているが、情報によると新しいモノコックでテストに臨んだチーム、時間的制約などで旧モノコックのまま持ち込んだチームと分かれていたという。
テストは中日を1日挟んで、4日間実施。最速タイムを記録したのは100号車STANLEYシビックで、3日目午前に1分48秒911をマークした。100号車は初日にも1分48秒996を出すなど、タイムシート上では最も目立っていたと言える。総合2番手は3号車NDDP NISMOの1分49秒051で、3番手は37号車Deloitteスープラの1分49秒112だった。
ただ、セパンは路面コンディションの変化が大きいことから、タイムを出せるタイミングとそうでないタイミングの差が大きく、上記のようなタイムシートの順位で勢力図は全く判断できないと主張するエンジニアも。とはいえ100号車は一発のタイムだけでなく、ロングランも印象的であったとの声が聞かれる。ホンダ陣営のエンジニアからも、ドライバーたちのコメントが揃ってきているため、シビックのセットアップの方向性が定まりつつあるのではという証言もあり、陣営にとって順調なテストとなっていることを伺わせる。
他陣営では230号車Z、37号車スープラらが印象的なペースだったという声もあるが、今季はベース車両を変更したメーカーもないため、昨年同様に3メーカー拮抗したパフォーマンスとなっているようだ。
2023年、2024年のGT500王者であり、今季は前人未到の3連覇を狙う坪井翔(TGR TEAM au TOM'S)は今回のセパンテストについて、普段はタイヤテストがメインなところがあるものの、今季はセパンでのレースがカレンダーに組み込まれたこともあり、各陣営がいつも以上にレースを見据えたセットアップ作りや「どうしたらセパンを速く走れるのか」という部分にフォーカスしていたのではないかと振り返る。
そんな坪井は勢力図に関しては分からないとしつつも、タイムを見る限りは油断できないと気を引き締めた。
「タイムだけで見ると、100号車(STANLEYシビック)や12号車(IMPUL Z)など、他メーカーが速そうでした。スープラ陣営としては、あれが仮に本当の実力だとしたらヤバいなと感じています」
「やはり各社マシンが成熟してきています。シビックは特に2年目になってデータも集まってきて、良いところを掴んできているのではと思います。去年みたいにはいかないかな、と思ったテストでしたね」
2024年シーズンのGT500は、安全対策の名目で行なわれた最低地上高の5mm引き上げが実は勢力図を左右する大きな要素となった。坪井は、トヨタ陣営が同年に向けて、鈴鹿のような高速サーキットでのパフォーマンスを上げるためにダウンフォースを増やすような空力開発をしていたことがレギュレーションとうまくマッチし、ライバルよりも車高アップの影響を抑えられたのではないかと分析する。
実際昨年を振り返ってみると、カレンダー上で最もストレートスピードが重要視される富士スピードウェイでの2レースに関しては、Zと車両変更で空気抵抗低減に成功したシビックが1勝ずつを記録しているが、残る6レースは全てスープラが勝利を挙げた。
レギュレーション変更もうまく利用し、2024年にかけて大きなパフォーマンスアップを果たしたと言えるスープラ。2025年に向けてはさらに伸びしろを埋めてくるのか? それともライバル勢とより拮抗した争いになるのか? 今後のテストも注目だ。
Additional reporting by Jamie Klein
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