フェラーリPU勢大不振で再燃する、昨年の“疑惑”。メルセデス代表も不快感あらわ
メルセデス代表のトト・ウルフは、昨年パワーユニットの不正運用を疑われていたフェラーリ勢が今季開幕戦の予選で大苦戦したことをよく思っておらず、「同じルールの下で競り合ってほしい」とコメントした。
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
2020年F1開幕戦オーストリアGPの予選で衝撃的だったのは、フェラーリが大苦戦したことだ。昨年ここでポールポジションを獲得したシャルル・ルクレールは7番手に沈み、セバスチャン・ベッテルに至ってはQ3に進むこともできず11番手に終わった。
昨年フェラーリは、パワーユニット(PU)における燃料の使用方法についての合法性を疑われ、FIAが調査に動く事態となった。今年2月にFIAとフェラーリが“和解”に至ったことでこの問題は一旦終息したが、ライバルチームたちはフェラーリが一体何をしていたのか、明確な説明を求めている。ただFIAは、フェラーリの許可なしには詳細を公表できないとしている。
メルセデスのトト・ウルフ代表は、こういった背景を考えれば、フェラーリがパワーユニットの運用方法を合法的なものに変えた結果パフォーマンスが低下した可能性があると考えており、改めて不快感をあらわにした。
昨年ルクレールが記録したポールタイムは1分03秒003であるが、今年ルクレールが予選Q3で記録したタイムは1分03秒923。実に1秒近くも遅くなっているのだ。
また、タイムの落ち込みはフェラーリのワークスチームだけでなく、同じフェラーリPUを使用するハースとアルファロメオでも顕著だ。ハースは昨年のレッドブルリンクで、ケビン・マグヌッセンが5番手を獲得するなど速さを見せたが、今年はロマン・グロージャンが辛うじてQ2に進むに留まり、昨年2台がQ3に駒を進めたアルファロメオは、一転して2台共にQ1敗退となっている。
この落ち込みは偶然のものと考えるかと問われたウルフは、次のように語った。
「これについてはもうコメントしたくない」
「もう十分話した。フェラーリの話はしたくない。その話題に戻るのはやめよう」
「彼らは今日、良いパフォーマンスを見せることができなかった。我々は彼らに、同じルールの下で競い合って欲しいと思っている。そして3、4チームが我々と互角に戦ってくれるのであれば、これ以上嬉しいことはない」
苦しい予選に終わったフェラーリのマッティア・ビノット代表を励ますならばどんな言葉をかけるか尋ねられたウルフは、こう返した。
「フェラーリは素晴らしい企業で素晴らしい人たちがいるから、皆応援したい。でもマッティアを励ます理由はない。これで十分かい?」
今後はコスト削減のためにシャシーとPUの開発が凍結されるため、開幕戦の出遅れはフェラーリにとって大きな痛手と思われるが、ウルフは他チームのことは分からないとして、その影響についての明言を避けた。
「フェラーリの開発状況については何の知識もない。もちろん新しいレギュレーションの下では、信頼性に関するアップグレードしかできないから、通常は飛躍的なパフォーマンス向上は見込めないだろう」
「ただ繰り返しにはなるが、我々はフェラーリをリスペクトしており、共にサーキットで戦いたいと思っている。そこには素晴らしい人たちがいるし、F1とメルセデスにとっても、激しい競争が必要なんだ」
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