フェラーリ、今季の新車『SF-23』は珍しく普通の名前? フェラーリF1の”千変万化”な命名規則
フェラーリは、今季のニューマシンが『SF-23』になることを明らかにした。実にオーソドックスな名前だが、それはフェラーリにとってむしろレアケースだと言える。
フェラーリは2月14日の新車発表を前に、2023年シーズンを戦うF1マシンの名称が『SF-23』になることを発表した。
この名前は、スクーデリア・フェラーリの2023年マシンという意味を持つと考えられる。フェラーリの歴史を見れば、実にオーソドックスな名前だと言えるだろう。スーパーフォーミュラが今季導入する新パッケージ車両の名前が『SF23』であり、実によく似た名前となってしまったのはややこしいが、ひとまずそれは置いておこう。
チームの頭文字と西暦を使った命名法則は、アストンマーチンやハースも採用している。また、ウイリアムズやレッドブル、メルセデスなどチームの頭文字に通し番号をつけただけの実に分かりやすい命名をしているチームも多い。
しかしフェラーリF1マシンの命名法則は一定ではなく、過去10年だけを見ても実に複雑だ。
・F14 T(2014年)
・SF15-T(2015年)
・SF16-H(2016年)
・SF70H(2017年)
・SF71(2018年)
・SF90(2019年)
・SF1000(2020年)
・SF21(2021年)
・F1-75(2022年)
一見、気まぐれに決められているようなフェラーリの命名法則だが、大別すると何パターンかに分けられる。例を挙げてみてみよう。
■エンジン形式由来のネーミング
Gilles Villeneuve, Ferrari 312T4
Photo by: Rainer W. Schlegelmilch / Motorsport Images
エンジンのフォーマットが自由だった1990年代以前に多かったパターン。たとえば1970年代や80年代初頭に使われた312シリーズは、3リッターのV12気筒エンジンを使用していたことがその由来となっている。
312シリーズの中には、BがつくモノとTがつくモノがあるが、エンジンがバンク角180度のエンジンであったことからボクサーの頭文字である”B”(ただし一般的にボクサーエンジンと呼ばれる水平対向エンジンではない)や、横置きギヤボックスの「横」を意味するTrasversale(イタリア語)のTがつけられている。
その他の例
・126CK(1981年/バンク角120度のV6エンジン、CKはKKK社のターボチャージャーを意味)
・412T1(1994年/1気筒あたり4バルブのV12エンジンと横置きギヤボックス)
・F310(1996年/3リッターV10エンジン)
・248F1(2006年/2.4リッターV8エンジンを搭載したF1マシン)
■西暦由来のネーミング
Michael Schumacher, Ferrari F2004 leads Juan Pablo Montoya, Williams BMW FW26
Photo by: Sutton Images
最も分かりやすいパターンかと思いきや、意外と難敵なのがこのパターン。2000年代は比較的分かりやすく西暦を4桁使うパターン(F1-2000やF2001など)が多いが、1992年のF92Aやその翌年のF93A、2010年のF10など西暦の下2桁を使うパターンもある。また、V8エンジン最終年となった2013年のF138のように、エンジン型式との合せ技もある。
その他の例
・156/85(1985年/1.5リッターV6ターボエンジン搭載の1985年)
・F187(1987年)
・F2003-GA(2003年/GAは同年に亡くなった元フィアット会長ジャンニ・アニェッリのイニシャル)
■様々な記念・節目を祝うネーミング
Charles Leclerc, Ferrari SF1000
Photo by: Steven Tee / Motorsport Images
フェラーリのチーム創設やモータースポーツ参戦〇〇周年などを記念して命名された例。フェラーリのF1マシン一覧を見ていて、最も混乱するのがこのパターンかもしれない。
例えば2017年のフェラーリSF70Hは、モータースポーツ参戦70周年を意味するネーミング(Hはハイブリッドの意味)だ。ところがその2年後のマシンはSF90。こちらはチーム創設90周年。さらにその翌年はF1参戦1000戦目を迎えることからSF1000と、短期間でそれぞれ別の記念を由来としたネーミングが続いている。
その他の例
・150°Italia(2011年/イタリア統一から150周年記念。商標権の関係でF-150からF150th Italiaに変更後、さらに修正しこの名前に)
・F60(2009年/F1参戦開始から60年)
■コードネーム由来のネーミング
Alain Prost, Ferrari 641
Photo by: Ercole Colombo
フェラーリは開発段階で各マシンに3桁の数字からなるコードネームをつけている。これがそのまま名前となったパターンだ。歴代のフェラーリF1でも人気が高い640(1989年)や641/2(1990年)などが該当する。
その他の例
・642(1991年序盤6戦)
・643(1991年第7戦から最終戦)
以上のように大別すれば4パターンの命名法則に分かれる。しかしこれらが入り乱れたり、スクーデリア・フェラーリを意味するSFを使ったり、ただのFやF1を使ったり、ハイフンを使ったり使わなかったり……修飾語としてのイニシャルが追加されたりして、フェラーリのマシン名は複雑になっているのだ。
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