F1メカ解説|高速パフォーマンス重視? それでも中低速性能も捨てられない……アゼルバイジャンGPピットレーン直送便
2.2kmにも及ぶ全開区間がありながら、旧市街を走る低速区間もある難しいコース”バクー市街地サーキット”。各チームはどんな空力パッケージを選ぶのか?
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
Red Bull Racing RB18 floor
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルは、RB18のフロアがたわむのを防ぐため、金属製のステーを追加。他チームよりも短いステーになっている。
Red Bull Racing RB18 floor
Photo by: Giorgio Piola
こちらはスペインGP仕様のレッドブルRB18のフロア。金属製ステーが存在しないのが確認できる。フロア自体の形状は、ほぼ同じに見える。
Ferrari F1-75 mirror
Photo by: Giorgio Piola
フェラーリは、アゼルバイジャンGPに向けてリヤビューミラーのステーを変更してきた。前回までのものと比較すると、ステーの上方後端に、壁が形作られているのが分かる。これはボーテックス・ジェネレータであり、渦を形成するはず。この渦によって、マシン後方に向かう気流を制御しているはずだ。
Alpine A522 rear wing
Photo by: Giorgio Piola
アゼルバイジャンGPの舞台となるバクー市街地サーキットは、2.2kmにも及ぶメインストレートを含めた全開区間が存在する。そのため、最高速は実に重要。アルピーヌはこのアゼルバイジャンに向け、非常に薄いリヤウイングを採用してきた。これにより、空気抵抗を極限まで減らそうとしている。ただ、旧市街を抜ける超低速区間もあり、ここでは苦労するかもしれない。
Alpine A522 side detail
Photo by: Giorgio Piola
アルピーヌは、サイドポンツーンにも大きな変更を加えてきた。前端を大きく前方に伸ばし、エアインテークをコクピット横に配置。形状もより四角くなった。これにより、フロアとの間にアンダーカットを作り、サイドポンツーン横を後方に向かう気流を整えている。
Mercedes W13 SIS fairing stay
メルセデスは、側面吸収構造(SIS)を覆うフェアリングの下に、ステーを設けてきた。これはメルセデスの小さいサイドポンツーンに沿うように配置されている。
Mercedes W13 rear wing
メルセデスがアゼルバイジャンに持ち込んだリヤウイング。これはマイアミGPで採用したのと同じ、低ドラッグ仕様のリヤウイングであるようだ。
Aston Martin AMR 22 rear wing
Photo by: Giorgio Piola
アストンマーチンAMR22は、スプーン形状ながら低ダウンフォース仕様のリヤウイングを搭載。これは、同チームが以前にも使っていたものだ。
Red Bull Racing RB18 front wing endplate
レッドブルRB18のフロントウイング翼端板。外側にはS字型のフィンが取り付けられている。
Red Bull Racing RB18 floor
レッドブルRB18のサイドポンツーンとフロアの前端部分を真横から。特にフロアは、複雑な3D形状になり、気流を下に下にと向けているのが分かる。またサイドポンツーンのインテーク下端のみ前方に突き出し、フロアとの間にアンダーカットが形作られているのが確認できる。
Red Bull Racing RB18 floor
レッドブルRB18のフロア。こちらも複雑な形状が形作られている。また、大きめの切り欠きがあるのも確認できる。これらにより、フロア下を通る気流をシールしているのだろう。
Red Bull Racing RB18 cockpit
レッドブルのリヤビューミラーのケース。複数枚によって形作られていて、後方に向かう気流をコントロールしようとしている。
Red Bull Racing RB18 rear wing
レッドブルは、フリー走行で複数のリヤウイングを試していた可能性が高い。同チームは過去にもそういう戦略を採ってきた。この写真のウイングは、車検を受ける際に取り付けられていたモノだ。
Red Bull Racing RB18 airbox
レッドブルRB18のエンジンカウルの中腹には、冷却用のルーバーが設けられている。木曜日の時点では、後ろ半分のみが開けられている状態。より積極的に冷却したい場合には、カバーを変更することでこの開口部の大きさをコントロールすることができる。
Red Bull Racing RB18 nose
レッドブルRB18のノーズコーンを後方から。なかなか見ることができない、その内部を見ることができる。下の横に長い長方形の穴は、ノーズ先端から取り入れたドライバーなどを冷却するための空気を通すダクトである。また両サイドの切り欠きの部分は、シャシーに取り付けた時にステアリングロッドが通るためのスペースになっている。
Red Bull Racing RB18 nose
レッドブルのメカニックは、フロントウイングが破損するのを避けるため、ダミーのノーズコーンをつけて、RB18を車検場へと押していく。予算上限が設けられた今では、余計なダメージを受ける可能性は排除しておきたいところだ。
Ferrari F1-75 rear wing
多くのチームが低ダウンフォース仕様のリヤウイングを選ぶ中、フェラーリはF1-75に比較的大きめのリヤウイングを取り付けている。中央部分はスプーン状になっており、ダウンフォースを生み出すのに伴い、空気抵抗も生んでしまう。これはフェラーリが、中低速区間でのパフォーマンスもしっかりと手にしようとしている証拠と言えるだろう。
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