ファン拡大進行中! ボートレースはいかにしてイメージアップ&認知向上を成功させたか。スーパーフォーミュラとのコラボもその一環?
近年、テレビCMなどでその名を聞く機会も多くなったボートレース。スーパーフォーミュラとのコラボも積極的に行なっているが、彼らが競技の認知向上・イメージアップにおいて柱としているものとは?
写真:: BOAT RACE振興会
『DYNAMITE BOAT RACE!』
このフレーズを1度は耳にしたことがあるはずだ。これはボートレースのCMで用いられているキャッチコピーのひとつである。
2025年版のCMには、俳優の神尾楓珠、矢吹奈子、江口のりこ、77歳のベテラン俳優である笹野高史、歌舞伎俳優の中村獅童と、実に幅広い層のキャストがボートレーサー役で出演。これは『だれもが躍動する、スポーツ』というもうひとつのキャッチコピーを見事に体現している。また2026年版は町田啓太、細田佳央太、ファーストサマーウイカ、生瀬勝久らにキャストが一新され、『ゼロからプロへ』として、ボートレーサー養成所の教官と訓練生という新たな切り口からストーリーが展開されている。
そんなボートレースは最近、日本最高峰のレースカテゴリーであるスーパーフォーミュラの現場にブースを出展。体験型アトラクションを構えたり、トークショーを行なったりしている。
既に一般的な認知度も高い印象のボートレースが、なぜスーパーフォーミュラとコラボするのか? そして彼らはいちイベントとしてどんな戦略で発展を重ねてきたのか? motorsport.comは昨年、都内にあるBOAT RACE振興会を訪ねた。
「ボートレースを、もっと多くの方々に、もっと身近に楽しんでいただくために」をコンセプトに、広報・宣伝活動等を行なうBOAT RACE振興会。彼らが使命としているのは、公営競技であるボートレースのイメージアップを図りつつ、競技の認知を拡大していくことだ。
BOAT RACE振興会
写真: Motorsport.com Japan
「PRをする上で『公営競技です』と言うと、受け入れられる層が狭まってしまいますからね」
そう語るのは、広報部・経営戦略本部の小澤雅之ゼネラルマネージャーだ。
彼らがイメージアップ・認知拡大の柱にしているのが、上記のCM施策。“シリーズもの”という1本の軸を通した上で、そのキービジュアルをポスターやSNSなど幅広い媒体に展開することで、より多くの人に親しみを持ってもらおうとしている。
「こちらの思いを押し付けない」
ボートレースは売り上げの75%が予想的中者への払い戻しとして還元され、残りの25%は各種交付金や経費、社会福祉費などに充てられるという仕組みだ。とはいえボートレースの年間売り上げが2兆円を優に超えていることを考えると……日本のレースカテゴリーが彼らと同じような大々的なCM戦略を打てるかというと、そう簡単な話ではないだろう。
もしモータースポーツを題材にしたテレビCMを打てるなら……レースの魅力をその中にできる限り詰め込みたい! 素人考えではそう思ってしまうが、小澤氏は「こちらの思いを押し付けない」ことがPR戦略の上で重要なのではないかと語る。
「これはどの業界でも同じだと思いますが、CMって欲張って多くを詰め込んでも『見ない人は見ない』という面があります。ですから我々は一貫してイメージアップに注力して作り続けています」
「例えば、『競技がこういうものだ』ということを広く伝えようとしても、興味がない人は見ませんよね。例えば奈子ちゃんを見て『アイドルがいるな』とか……見た人の頭に残りやすいもので、なおかつイメージとして毛嫌いされないような作りにしています」
「こちらの思いを押し付けないというのが、CMを作る上で大事なことなのかなと思っています。選手や競技を『見て!』というコンセプトにすると、刺さる人には刺さるかもしれませんが、その他大勢には見向きもされないかもしれません」
「万人に受けるものを流して、ボートレースの名前さえ記憶に残ってもらえれば、日常生活で(ボートレース関連のコンテンツを)目にした時に『見たことあるやつだ!』となるわけです。そういった“ハードル”が下がるような展開を作り出したいと思っています」
『公営競技』から“モータースポーツ”に
イメージアップ戦略として取り組んでいるのは、CM展開だけではない。ボートレースでは様々なプロスポーツとのコラボレーションを積極的に行なっている。前述のスーパーフォーミュラでの出展もその一環だ。これは公営競技のイメージからの脱却、そして『ボートレース』=『プロスポーツ』という認知を広げようとしている彼らにとっては欠かせないものなのだという。
「我々にとって、スポーツとしての認知拡大はイメージアップにおいて欠かせない要素だと思います。そしてスポーツとして認めてもらうためには、プロスポーツ界とのコラボレーションが必要でした」
写真: BOAT RACE振興会
ボートレースは現在、サッカー・Jリーグの北海道コンサドーレ札幌、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルス、バスケットボール・Bリーグの琉球ゴールデンキングスに協賛し、地域に根付いたPR活動をしている。北海道・東北・沖縄はいずれもボートレース場のないエリアであり、そういった“未開拓”の土地にアピールできるという点でも、一石二鳥と言える。
そして球場やアリーナ、サーキットではボートレーサーの募集も行なっている。様々な土地でレーサーを募ることは、競技の知名度向上にも繋がるのだという。
「ボートレーサーが輩出された地域では、ボートレースの知名度が上がると我々は思っています」
「その地域の中で『知り合いがボートレーサーで……』といったケースが増えてくると、そこでファンが生まれます。レーサーを輩出することと、その地域でのボートレースの知名度アップは、イコールで繋がりやすいと思います」
スーパーフォーミュラも現在、サーキット周辺の地域とパートナーシップを締結して様々なイベントを実施しており、ボートレースと近いアプローチをとっていると言える(スーパーフォーミュラの場合はまず、未開拓地域よりもゆかりのある地域から取り組んでいるという違いはあるが)。知名度を高めていくためにはやはり、地域との関わりは非常に重要なのだろう。
前述の通り様々なスポーツと接点を構築しているボートレースだが、自動車レースの世界は特に親和性が高い。何せボートレースは、モーターで走るボートを使った、いわば“モータースポーツ”なのだから。スーパーフォーミュラとのコラボレーションが、両者に益々のシナジーを生み出すことを期待したいところだ。
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