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ホンダ、2021年の中上貴晶への期待は“当然”優勝。「去年から目指してきたコト」

2020年のMotoGPで大きな躍進を見せた中上貴晶。HRCのレース運営室室長である桒田哲宏は、彼の成長ぶりを評価するとともに、これまでの“準備”が実を結んだと語り、2021年に向けて更なる好結果を期待していると語った。

Takaaki Nakagami, Team LCR Honda

 MotoGP2020年シーズンはホンダにとって苦しい1年間だった。第2戦スペインGPでエースのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)が大クラッシュして怪我を負うと、結果的に以後シーズン全体を欠場。その他のライダーたちをもってしてもシーズン後半まで無表彰台の状況が続き、最終的にはシーズン未勝利という結果となった。

 ただ、マルク・マルケス不在の中でホンダ陣営を背負って立つ活躍を見せたのが、LCRホンダの中上貴晶だった。

 中上は第2戦スペインGPでこそ10位に留まったが、連戦となったアンダルシアGPでは初日から一気に走りを改善。決勝で表彰台まで0.5秒に迫る4位を記録する活躍ぶりだった。この好調はその後も続き、スティリアGPでは初フロントロウを獲得、テルエルGPでは日本人ライダーとして16年ぶりのポールポジションを記録した。

 このレースでは転倒もあり優勝や表彰台こそ獲得できなかったが、一躍トップライダーの仲間入りを果たした中上。既に2021年以降の2年契約を決めていることもあり、彼には引き続き日本のファンから大きな期待が寄せられている。

 年明けに行なわれたHRC(ホンダ・レーシング)のオンライン取材会で、レース運営室室長の桒田哲宏は2021年の中上へ期待することを訊かれると「勝ってほしいですね」と、そう明確に答えてくれた。

「去年も表彰台だけを狙っていたわけではなくて、勝ちを狙っていましたからね」

「レース前に彼と話をする際、『どういう戦略でレースを戦うんだと、何を目標にするんだ』となりますが、予選順位が良くなってくると、当たり前ですが勝つためにどういう戦略にするんだと、そういう話をするようになるんですね」

「それで去年の段階から勝ちを意識してやっています。そこは(2021年も)変わらないですし、彼ならそのレベルに達してきていると思います。あとはそれを今年実現するために共に一生懸命やっていくというのが期待するところですし、やらなければいけないというところでもあります」

 桒田室長が高評価を下す中上の2020年シーズンの走りだが、躍進のキッカケは、マルク・マルケス不在という状況によるHRCからのサポートの増加という要因があると本人も言及し、周囲からもそう見られてきた。実際、HRCの横山健夫テクニカルマネージャーが中上とピット内で話す姿も多く国際映像で捉えられており、本人もそうしたサポートが役立っていると語っていた。

 しかしその影響について訊かれた桒田室長は「おそらくみなさんがそう思うのは、彼が速いことで(結果的に)TVによく(映像を)抜かれたからなんだと思うんです」と語る。

「過去に(そうしたサポートを)やっていないかというと、そんなことはないんですよ」

「19年の終わりの段階で『もう一歩前にいかなくちゃね』と話していました。彼に対するサポートという点でも、ウインターテストの前からHRCに何度か来てもらって、どういった風にやっていくか、どうマシンを作っていくかということを話していたんです」

「去年は冬の間からそういったことをしていました。なのでマルクがああいうことになったからというよりは、もっとその前から始まっていることではあったんです」

「マルクの怪我によってステファン(ブラドル/代役)が乗るようになりました。彼には開発テストという側面もあるので、リソースの使い方も変化します。そのため、中上の所にいる時間が長くなるということもあったとは思います」

 そうしたサポート体制に関しては、中上が自らの走りで掴み取ったモノだとも桒田室長は言い、2021年シーズンに関しても同じように自分の手で掴み取れるような走りをして欲しいと語った。

 あと1ヵ月と少しで、セパンでプレシーズンテストが行なわれ、その約1ヶ月後にはカタールで開幕戦を迎える。

 桒田室長は新たに陣営へ迎え入れるポル・エスパルガロやLCRホンダへ移るアレックス・マルケスも含めたライダー4人全員が表彰台争いを演じることを期待しているとした上で、中上にも大きな期待を寄せた。

「日本人ライダーは長らくMotoGPでは勝っていないので、そうした点では(中上が勝利し)実現すると、日本のファンにも喜んでもらえると思います。出光さんを始め、サポートしていただいている日本のメーカーさんも多くいますので、その期待には応えたいと思っています」

 

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