【スーパーフォーミュラ】その音色やいかに!? トヨタに続き、富士ではホンダが排気音テスト実施へ。排気管は複数用意
スーパーフォーミュラ第6戦富士の後に行なわれる開発テストでは、HRC(ホンダ・レーシング)が“白寅”に新たな排気レイアウトを組み込み、排気音テストを実施する。
写真:: Motorsport.com / Japan
スーパーフォーミュラ第5戦SUGOの翌日に行なわれた開発テストでは、TCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)開発の排気レイアウトを使った排気音テストが実施されたが、第6戦富士の後に行なわれるテストではHRC(ホンダ・レーシング)が排気音テストを実施することとなった。
現在直列4気筒エンジンを使用しているスーパーフォーミュラは、今後“より良い音”を奏でるための選択肢のひとつとして、SUGOから排気音テストを実施している。テーマは「4気筒エンジンから8気筒エンジンのような甲高い音を出す」ということであり、“ウェイストゲート”(タービンを回転させるために使う排気ガスのうち、余剰分を逃すための機構)からの排気を活かした排気レイアウトにすることで、爆発音を2倍にして8気筒相当の音を出すという方法論を駆使している。
SUGOではTCDが新開発の排気管を持ち込み、それが石浦宏明が乗る『赤寅』に取り付けられた。そして今回はHRC製の排気管が、塚越広大が乗る『白寅』に載せられることになる。なお、富士スピードウェイのクリスタルルームには、既に新たな排気管が付いた白寅が鎮座していた。ただHRCはこれだけでなく、複数の排気レイアウトを持ち込む予定だというから、その意気込みが伺える。
ホンダの国内レースを統括する佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダー(LPL)は、今回の開発は開発テストの主なプログラムであるカーボンニュートラルなどのテストに支障をきたさない範囲で行なわれたと強調しながらも、HRCのスタッフも真剣に取り組んできたと語った。
「JRP(日本レースプロモーション)さんから(エンジン音に関する)課題をもらっています。これはクルマを速くするような開発でもないので、それを真剣にやるかどうか、という部分もありましたが、余力のある人間に『やってみない?』と声をかけました」
佐伯LPLはそう語る。
「すると何人かが『やりたい』と言ってくれて、空いた時間に取り組んでくれました。そうこうしている内にトヨタさんが(SUGOで)テストをしたことで、さらに火が付きました」
SF19開発車両『白寅』
Photo by: JRP
「この排気管に関しては、モビリティリゾートもてぎの南コースを使って熱害が出ないかどうかのチェックをしましたが、音については温度変化の関係などでうまくいかないかもしれない、という心配もあります。ただ、うまくいかなかった場合のバックアップとして、長さ違いでいくつかの排気管を持ってきています。やっぱり自分たちは技術屋ですから、こういうことにも真剣になってしまいますね」
この排気音の開発に関しては、純粋な車両のパフォーマンスではなく“音”にフォーカスした開発のため、関係者やファンの間でも賛否両論なのは事実だ。そのため佐伯LPLは、今後このような排気レイアウトが実際にレースで使われるかどうかは分からないと話した。
「(新たな排気レイアウトは)けっこう重たくなりますから、実際にレースで使うかどうかはまだまだ分かりません」
「チームさんとして、性能が変わらない中で重さが数kg増えるとなると、それを使いたくないと思うのは当たり前だと思います。そこをチームさんが受け入れるかどうか、という部分もありますが、JRPさんは4気筒エンジンの音色をもっと綺麗にしたいと考えていて、我々としてもそうしたいと思っている部分もあります」
今回の開発テストは決勝翌日の18日(月)、19日(火)に実施される(両日10時〜12時と14時〜16時に実施)。現時点で排気音テストをいつ実施するかは確定していないようだが、HRCは既に新型の排気管を組み付けた状態で車両を持ち込んでいるため、1セッション目から排気音テストを実施したいと考えているとのことだ。
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