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英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記「松下信治SF復帰という喜ばしいニュース」

日本を拠点に活動するmotorsport.comグローバル版のニュース・エディター、ジェイミーがお届けするコラム。今回は急転直下で今季のスーパーフォーミュラ参戦が決まった松下信治について綴った。

Nobuharu Matsushita, B-Max Racing Team

 こんにちは! 今回もよろしくお願いします。初めてのコラムを執筆して数週間が経ちましたが、スーパーGTとスーパーフォーミュラのシーズンが本格的に始まり、忙しい日々を過ごしています。特にレースウィークでは、motorsport.comの映像チャンネルであるmotorsport.tvで日本から現地情報を担当しているので、以前よりも忙しくなりました。英国のF1実況でお馴染み故マレー・ウォーカーを崇拝していたので、以前から実況はやってみたいと思っていましたが、実際にやってみると想像以上に難しいですね!

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 日本語の勉強も順調です。実は7月に行なわれる“JLPT”(日本語能力試験)に応募しました。これには5段階のレベルがあり、最高が“N1”で、最低が“N5”。私はその中間である“N3”に挑戦することにしました。合格には漢字を約650字、単語を4000近く知っている必要があるとされています。まだまだ知らないものが多いので、これから7月にかけて、レースの合間を縫ってこれまで以上に勉強していきたいです。

 ところで、スーパーフォーミュラのファンの皆さんは、先日行なわれた鈴鹿戦で松下信治がB-Max Racingから待望の復帰を果たしたことをご存知のことでしょう。松下とチームは開幕前テスト、そして開幕戦を欠場せざるを得なかったので、鈴鹿で競争力を発揮するのは難しかったと思います。

 実は、今年の初め、ホンダがB-Max Racingへのエンジン供給を渋ったという噂がありました。その話を聞いて、私は松下を気の毒に思わずにはいられませんでした。松下は昨年、セルジオ・セッテ・カマラの後任としてB-Max Racingに加入して4レースを戦いましたが、すぐに速さを見せました。セッテ・カマラはデビュー戦でポールポジションを獲得しましたが、その後フォーミュラEに参戦することとなり、“一発屋”に終わってしまいましたね。松下は日本のファンのみならず海外のファンにも知られた存在であり、2年ぶりのスーパーフォーミュラ復帰は喜ばしいニュースと言えました。最終戦富士では表彰台に上がったこともあり、松下とチームは2021年も同じ体制を続けると思われていました。特にコロナ禍のいまは市場にいるドライバーも少ないですからね。

 昨秋に日本に帰国した松下は、スーパーフォーミュラだけでなくスーパーGTのGT500クラスにも参戦したいと考えていたようで、GT500に参戦する3自動車メーカー全てに接触したようです。その中で日産が興味を示し、2021年からTEAM IMPULと契約を結びました。2018年には千代勝正が日産陣営でスーパーGTを戦いながらB-Max Racingからスーパーフォーミュラにも参戦していたので、松下も同じような体制でスーパーフォーミュラに出たいと考えていたようです。

Nobuharu Matsushita, Buzz Racing with B-Max

Nobuharu Matsushita, Buzz Racing with B-Max

Photo by: Masahide Kamio

 また、B-MaxRacingとモトパークの関係は2020年限りで終了したものの、スポンサーであるBuzzが、ヨーロッパの名門チームであるカーリンを2021年以降のテクニカルパートナーに招き入れられるよう水面下で動いていたため、B-Max Racingの競争力も維持されることが期待されていました。

 しかし、ホンダには別の考えがあったようです。松下が日産とファクトリー契約を結んだことが、ホンダがB-Max Racingへのエンジン供給を許可しなかった理由と言われています。ホンダの技術がニッサンに漏れるんじゃないかと、ホンダのモータースポーツ部の上層部に考える人がいたからと聞いています。でも、ホンダ内部でも松下をスーパーフォーミュラで走らせたいという人も多くいました。そういう彼らが動いて技術漏洩の可能性なんかないという結論を上層部に認めさせたと言われています。

 結局Buzzは去ってしまい、カーリンとの提携も叶いませんでしたが、鈴鹿にはチームカラーである黄色に塗られたB-Max Racingのマシンが1台並びました。もう1台のマシンにはアメリカのルーキー、イブ・バルタスが乗る予定になっていますが、現在の渡航制限の影響で、彼が来日してレースを戦えるかどうかは分かりません。

 松下の鈴鹿での結果は13位。1台体制のB-Max Racingが鈴鹿で結果を残すのは難しかったでしょう。仮にもう一台のマシンにバルタスが乗っていたとしても、彼は経験に乏しく、経験豊富なふたりのドライバーで参戦していた昨年とくらべると、今年は厳しいシーズンになりそうです。

 松下の参戦が、噂されている通りホンダによって拒否され、その決定が覆されなかったなら、観客は才能のある松下の走りを観ることが出来なかったかもしれません。これは松下やチームにとっても、そしてスーパーフォーミュラのファンにとってもとても残念な結果です。社内で松下の参戦を後押しするために働いた社員の努力と、新しくモータースポーツ部長に就任した長井昌也氏の決断が正しかったことは、これから松下が証明してくれるはずです。僕も彼を応援します。

 

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