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チームオーダーなし&攻めのピット戦略……インパルらしさ全開で勝ち取ったワンツーをドライバーと星野一樹が振り返る

carenex TEAM IMPULがワンツーフィニッシュを達成したスーパーフォーミュラ第8戦。グリッド6、7番手からの逆転劇の一部始終をドライバーと星野一樹監督代行が語った。

Yuhi Sekiguchi, Ryo Hirakawa, carenex TEAM IMPUL

写真:: Masahide Kamio

 モビリティリゾートもてぎで行なわれた2022年のスーパーフォーミュラ第8戦。その結末を予想できた者は果たしてどのくらいいただろうか。

 平川亮が6番グリッド、関口雄飛が7番グリッドからスタートしたcarenex TEAM IMPUL勢が、ピット戦略もうまく活かして大きくジャンプアップし、ワンツーフィニッシュ(関口が優勝、平川が2位)を飾ったのだ。TEAM IMPULのワンツーフィニッシュは、2008年の第2戦鈴鹿でLAWSON IMPULの松田次生とTP Checker IMPULの平手晃平が達成して以来、実に14年ぶりだ。

 お互い異なるピット戦略を採りながら、最後は優勝争いという形で相見え、チェッカーまで激しいバトルを繰り広げたふたり。“これぞTEAM IMPUL”という言葉が最も相応しい今回のレースの一部始終を、彼らのコメントと共に振り返っていく。

 スタートでそれぞれ5番手、6番手にポジションを上げた平川と関口は、序盤から抜きつ抜かれつの争いを繰り広げた。一旦関口が前に立つものの、今後は平川がポジションを取り返す……チームとしては無用な接触は避けてほしいと考えがちだが、闘将・星野一義監督率いるTEAM IMPULの辞書に“チームオーダー”という言葉はなかった。

 10周目に突入し、ピットウインドウがオープンになると、真っ先にピットに飛び込んだのが関口だった。フレッシュなタイヤで飛ばし、マージンを稼ぐことでライバルを逆転する“アンダーカット”を狙った戦略だ。一方の平川は、ライバルが軒並みピットに入った後もステイアウト。ギリギリまでピットインのタイミングを引っ張ることで、終盤に逆転する“オーバーカット”を狙うという対照的な作戦を採った。

「もてぎに関しては、コース上ではなかなか抜けないので、作戦としては10周目(にピットイン)か、最後の方まで引っ張るかのどちらかしかないと思っていました。真ん中とかが一番中途半端なので、2台とも極端な作戦を採りました」

 そう語るのは、監督代行として記者会見に出席した星野一樹。彼は現在、戦略面などにおけるドライバーとエンジニアの橋渡し的役割を担っており、ピットウォールでレース全体を見渡すチームには欠かせない存在だ。

 星野が言う「お互いがベストを尽くせる作戦」を採った結果、誰よりも早くタイヤを交換した関口はトラフィックも掻き分けながらハイペースで周回、ペースの上がらない大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)を先頭とする上位集団に対するマージンを稼いでいき、後にピットインしたライバルを次々逆転した。一方、誰よりもピットを遅らせた平川は残り7周にタイヤを交換して4番手でコースに戻ると、フレッシュタイヤで野尻智紀(TEAM MUGEN)、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を次々料理して、首位を走る関口の後ろにやってきた。

 2番手を走る平川は逆転タイトルの可能性をわずかながら残している状況だが、だからといってTEAM IMPULがチームオーダーを出すことはない。それはピットウォールの総意であった。

Ryo Hirakawa, carenex TEAM IMPUL

Ryo Hirakawa, carenex TEAM IMPUL

Photo by: Masahide Kamio

「残り3周くらいの時、監督が横にいたので『このままやらせますよ』と言ったら『おう、やらせろやらせろ!』と叫んで興奮されていたので、これがチームインパルだなと思い、ちょっとウルウル来ちゃった部分もありましたね」と星野は言う。

 平川は「ピットに入るまでトップを狙えるチャンスはないと思っていた」とのこと。迅速なタイヤ交換作業にも助けられ2番手まで上がったが、関口に追い付いた頃にはタイヤのピークは過ぎていた。だからこそOTSを活かして前に出たいところだったが、残り3周で関口がOTSを起動した際、平川も誤ってOTSを起動させてしまうという“ミス”を犯した。

 OTSは使用を終了した後から100秒間は使えなくなるため、追いかける側はライバルのOTSが終了したタイミングでカウンターとして起動するという作戦が有効。しかし平川はそのチャンスを逃してしまった形だ。最終ラップにはOTS残量がなくなった関口を90度コーナーで攻め立てたが、関口にも何としても抑えるという意地があった。

「インだけは空けたくないと思っていました。インを空けてズバッと抜かれるくらいなら、自分ひとり止まれなくて飛んでいく方がいい、そのくらいの気持ちでやっています」と関口。

第8戦の表彰台

第8戦の表彰台

Photo by: Masahide Kamio

「もしかしたらF4やF3に乗っている若い時だったら、イン側のダスティなところに乗ってロックしてタイヤを痛めたかもしれません。そこは僕も大人ですし、経験を活かしてしっかり抑えました」

 それぞれの思いが交錯するバトルを経て、ブラック&ゴールドに輝く2台のマシンがホームストレートに帰ってきた。見るものを興奮させたそのバトル、そして劇的なワンツーフィニッシュは、TEAM IMPULだからこそ見せられたものだと言えるかもしれない。

 
 
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