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【2023年SF戦線異常アリ】下克上目指すKCMGとROOKIE Racingがテストで好タイム。本気の体制拡充が実を結ぶか

2023年のスーパーフォーミュラ合同テストでは、昨年苦しんだチームが存在感を放っている。今季に向けて体制拡充を図ったROOKIE RacingとKCMGは、ダークホースとなってくる可能性もありそうだ。

ROOKIE Racing, KCMG

 新型車両『SF23』が導入された2023年のスーパーフォーミュラは鈴鹿で2日間の公式合同テストが終了。開幕戦を前に、昨年から勢力図が変わる可能性をにわかに漂わせている。

■「チームの空気も良くなっている」ROOKIE Racing

 2日間のテストで目立ったのは、昨年苦戦したチームの好調。まず昨年無得点に終わったdocomo business ROOKIEは、2日目午前のセッション3で大嶋和也がトップタイムを記録。午後のセッション4でもトップ10に食い込んでみせた。

「走り出しから調子も良いですし、それに比例してチームの空気も良くなっています」

 そう語るのは、今季からチーム監督に就任した石浦宏明。大嶋がセッション3で記録したトップタイムはライバルとは異なり朝の気温が低い時間帯で記録したものではあるが、セッション終盤には他チームと同条件でアタックしてトップ10相当のタイムを出しているといい、その順調ぶりが伺える。

 昨年はベテランの東條力エンジニアを獲得するなど体制拡充に務めてきたROOKIE Racingだが、今年は大嶋と古くからの付き合いである石浦を監督として迎え入れた。開発ドライバーとしてSF23をテストしてきた石浦の加入はチームにとっても心強いところだろうが、それ以外にもデータエンジニアを増員して1台体制のウィークポイントを補うなど、様々な補強を行なってきた。

石浦宏明監督

石浦宏明監督

Photo by: Masahide Kamio

「時代が変わってきたのかなと思います。接戦になるほどデータ分析が大事になってきたし、エンジニアもひとりの力に頼るのではなく、エンジニアリングチームとして強くするということが重要になると思います」と石浦監督は語る。

 また、かつて2度のスーパーフォーミュラ王座を経験した石浦監督は、自身の経験からドライバーが実力を発揮できる環境を作ることが重要だと考えている。

「自分もSFのシートを失って2年乗っていなかったところからセルモ・インギングに乗せていただいて、自分の力を出し切れる環境で乗れたらチャンピオンになれた、という経験をしています」

 

Photo by: Masahide Kamio

「僕は大嶋選手の実力を身近で知っているので、彼が実力を出し切れればトップ争いができることは分かっています。彼が本来の実力を発揮できるようにサポートしたいです」

 石浦監督曰く、チームの当面の目標は予選Q1突破とポイント獲得。チームが軌道に乗れば士気も上がり、好循環が生まれることを理解しているからこそ、まずは着実にステップアップしたい構えだ。

■「これでダメなら……」という体制で臨むKCMG

 そしてもうひとつ、存在感を見せているチームがある。Kids com Team KCMGだ。

 KCMGは小林可夢偉と国本雄資の2台体制だが、昨年はランキング10位。2台体制のチームでは最下位に終わった。しかし今回のテストでは頻繁にタイムシートの上位に顔を出しており、各セッションで必ず小林か国本がトップ6以内に食い込み、2日目午後のセッションでは小林が1分36秒183の好タイムでトップに立った。

 そんなKCMGも、苦しい結果に終わった2022年シーズンを経て体制を大きくテコ入れした。「今年は勝つことを意識した体制にしてもらいました。『これでダメだったらもうダメなんじゃないか』というくらいの気持ちで頑張ります」という小林のコメントからも、並々ならぬ意気込みを感じさせる。

小林可夢偉, Kids com Team KCMG

小林可夢偉, Kids com Team KCMG

Photo by: Masahide Kamio

 これについて土居隆二代表は次のように語る。

「13年トップフォーミュラをやってきた中で、昨年は準備してきたことに対して最も結果が出なかったシーズンでした。2台体制のチームの中では最下位ですから。まずはその結果を各部門が認める……このまま同じことをやっていたら同じだよね、変えないといけないよね、というところから始めました」

 具体的にはメンテナンス面とオペレーション面を強化した。メンテナンス面では、KONDO RACINGから五十嵐一成氏をクルーチーフとして獲得。自社スタッフも増員してより手が行き届きやすい環境とした。

 そしてオペレーション面で松田次生監督に加えて田中哲也氏を“レースマネージャー”に据えたことも大きい。

 データ量、情報量がモノを言う昨今のスーパーフォーミュラでは、ドライバーひとりに対していかに多くの人材を割くかが鍵になっているような風潮がある。KCMGはセッション中に小林を田中レースマネージャー、国本を松田監督が担当するという形で役割分担し、より綿密なサポートができる体制を実現させたのだ。

「今は順調にテストを進められているだけ。順位なんてこれからいくらでも変わりますからね」と語る土居代表。ただ、新車の挙動に頭を悩ませているというドライバーやチームのコメントも多く聞かれている中で、順調にプログラムを進められているというKCMGは不気味な存在だと言える。

国本雄資, Kids com Team KCMG

国本雄資, Kids com Team KCMG

Photo by: Masahide Kamio

 もちろん開幕前テストということもあり、現在の序列は当てにならないことも多々あるだろう。しかし、これまでの開幕前テストとは少し違った様相を呈しているのも、また事実だ。

 
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