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スーパーGTがマレーシアの4輪レース界を牽引する存在に? 復活のセパン戦が7.5万人集めた要因と、現地関係者が寄せる期待

12年ぶりの開催となり、7万人を超える観衆を集めたスーパーGTセパンラウンド。現地の関係者も、マレーシアでは日本のスポーツカー・カスタムカーが人気であることから、スーパーGTはF1開催が終了したマレーシアの4輪モータースポーツ界を引っ張る存在になると期待している。

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写真:: Masahide Kamio

 日本最高峰のツーリングカーレースとして、今も高い人気を誇るスーパーGT。コロナ禍以降は国内サーキットでの開催が続いてきたが、2025年は久々に海を渡り、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキット(SIC)でシリーズ第3戦を開催した。海外戦の開催は6年ぶり、マレーシアでの開催は12年ぶりであった。

 そして今回のセパンラウンドは、盛況だったと言って差し支えないだろう。予選日の6月27日(金)、決勝日の28日(土)を合わせた2日間の来場者数は75,977人(現地プロモーター発表)。10万人超えを記録した2013年大会には及ばなかったものの、それでも日本国内大会で最も観客を集めるゴールデンウィークの富士戦(2025年大会は82,500人)に匹敵する客入りであった。

 セパンラウンド復活が決まる前から、スーパーGTのプロモーターであるGTアソシエイション(GTA)は、特にマレーシアからレース開催に向けた熱心なアプローチが来ていることを明かしていた。ではマレーシア側は、日本のスーパーGTにどんなポテンシャルを感じていて、どんなことを期待しているのか? 現地で関係者たちに話を聞いた。

MotoGPマレーシアGPに次ぐ“2番手”のイベントに

 まずは前提知識として、マレーシアにおけるモータースポーツの歴史を紐解く。

 同国のレース文化は2輪のバイクレースからスタートした。1980年代頃から本格化、1990年にはロードレース世界選手権(今のMotoGP)が、バトゥ・ティガ・サーキット(シャー・アラム・サーキット)やジョホール・サーキットで開催された。転機となったのは1999年。政府主導により、SICが開業した。その直前に建設されたクアラルンプール国際空港と並んで、国の一大事業であった。そしてセパンでは開業初年度から、F1とMotoGPという、4輪と2輪の世界最高峰レースが開催された。

 SICのアザン・シャフリマン・ハニフCEOはmotorsport.comの独占インタビューに対し、こう語った。

「セパン開業を通してのビジョンは、F1とMotoGPというふたつのカテゴリーによってモータースポーツを根付かせることだった。実際にこのサーキットが開業してから、この国のモータースポーツは発展した。2輪のレースも4輪のレースも、たくさん開催されたからね」

 ただF1マレーシアGPに関しては、次第に客足が遠のいたことで政府の支援を得られなくなり、2017年を最後に開催が終了した。今はMotoGPマレーシアGPがセパンにおける最大のレースイベントとなっており、昨年も18万人を超える観衆を集めた。

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 そして今、セパンで2番目に規模の大きいレースイベント、そして4輪カテゴリー最大のレースイベントは、スーパーGTとなっている。サーキットCEOのハニフ氏はこう語る。

写真: Masahide Kamio

「我々は他にもGTワールドチャレンジ・アジアや、アジアン・ル・マン、初開催の中東ミシュラン耐久シリーズなど、国際的レースを開催しているが、今(のMotoGPに次ぐイベント)はスーパーGTということになる」

「ファンにとっては、自動車レースよりも2輪のレースが身近な存在だったりもするが、今回これだけのお客さんが応援に来てくれているのを見られて本当に嬉しい。私はCOVID(コロナ禍)の2020年からここにいるが、このイベントは動員という面でも、質という面でも最高のイベントのひとつだ」

背景に“JDM人気”

 F1やMotoGPといった世界選手権とは違い、スーパーGTは日本国外での露出、知名度はまだまだ限定的と言わざるを得ない。にもかかわらず、前述の通り6月のセパンラウンドには多くの観客が集まったわけだ。しかも現地の観客を見渡すと、とにかく10代、20代の若年層の観客が多かった。それらの背景には、マレーシアにおける日本のスポーツカー・カスタムカー人気が大きく関わっているようだ。

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 “JDMカルチャー”とも称される日本の車文化は、映画『ワイルドスピード』なども火付け役となり、アジアや欧米諸国で高い人気を誇る。マレーシアも例外ではないというわけだ。

 セパン大会の現地プロモーターであるHALOスポーツ&エンターテインメントのマネージング・パートナー、ファリザル・ハサン氏は、会見でマレーシアにおけるスーパーGTの知名度について次のように語っていた。

「マレーシアでの知名度は非常に高い。特にGT500はホンダのシビック・タイプRや、トヨタ・GRスープラ、日産Zのシルエットをしているが、これらの車は、この地域の自動車愛好家にとって非常に魅力的なモデルだ。だからこそスーパーGTは、アジアの一般層にとっても非常に魅力的な存在となっている」

 そしてセパンのハニフCEOにも、同イベントの客層が非常に若かったことについて尋ねると、それはJDM文化の影響も大きいだろうと述べた。

イベントエリアも盛況

イベントエリアも盛況

写真: Motorsport.com Japan

「今回、若い人たちがたくさん来てくれているのを見て、本当に嬉しく思う。その年代の客層は、小さい頃から日本の巨大なカーカルチャー、JDMに親しんできた人が多い」

「それに、子供を連れた多くの家族連れを見られたのも喜ばしい。スーパーGTがファミリー向けのイベントにしようとしている点は非常に良い方向性だと思う。なぜなら、子供たちの『スーパーGTを見た』という思い出が、次の世代のファンづくりに繋がるからだ」

“あなたと私”という距離感

 現地の関係者たちは、マレーシアからF1という大きなマーケットがなくなったという喪失感が少なからずあるのかと思いきや、むしろスーパーGTがマレーシア国内における4輪モータースポーツ界を引っ張る存在になるという期待感を持っているようだった。

「確かにこれまでは、F1とMotoGPがマレーシアでのレース人気を引っ張ってきた。でもF1が去った今、スーパーGTがマレーシアの4輪モータースポーツにおけるトップランナーになると思う」

 そう語ったのは、今回現地参加枠としてGT300クラスに参戦したマレーシア人ドライバーのジャズマン・ジャファー。F1の開催終了は、自国のモータースポーツ界にとって致命的な打撃にはならなかったのかと直球で質問をぶつけると、「そんなことはないよ」とキッパリ否定。スーパーGTはマレーシアにおける人材育成という点でも分があると述べた。

「F1はどちらかというと、観光客を呼び込むためのイベントという側面が強かった。でもスーパーGTのような選手権だと、ワイルドカード(現地参戦枠)のチャンスが与えられる。それによって、マレーシアのチームやメカニック、エンジニアたちがそこで働き、モータースポーツでのキャリアを成長させるチャンスが与えられるんだ」

 また現地プロモーターHALOのハサン氏も、会見後の独占インタビューの中で、スーパーGTはF1にはない良さがあると力説した。

「私にとって、F1とスーパーGTの最大の違いは、“あなたと私”(=身近さ)という要素だ」

「言うまでもなくF1はハイテクで全てが最高峰だ。でもスーパーGTでは、シビックやスープラなど、一般の人たちに身近な車両が見られる。『いつか俺もシビック・タイプRに乗ってみたい!』という人はファンになってくれるだろう。ファンとマシン・チーム・ドライバーとの関係性は特別なんだ」

GT500リバリーが施されたロードカーたち

GT500リバリーが施されたロードカーたち

写真: Motorsport.com Japan

「私もレッドブル(F1のレッドブル・レーシング)が好きなんだ。でも自分たちはF1マシンを買えるわけではないし、そのブランドを背負うことだってできない。でもシビック・タイプRのオーナーになれば、ある意味チームの一員になれるし、ホンダに直接的に貢献できる。そこが最大の違いであり、モータースポーツファンにとっての(スーパーGTの)最大の魅力だと思う」

 スーパーGTは、HALOとスーパーGTマレーシア大会の開催について2027年までの契約にサインしている。2026年大会はGT500クラスでマレーシア系チームによるワイルドカード参戦が実現する見込みであり、サーキットのイベントエリアで行なわれた“NIHON MATSURI”ら各種イベントも強化されていきそうだ。

 セパンのハニフCEOも、GTAやHALOのプロモーター陣に期待を寄せた。

「今回スーパーGTとHALOが取り組んだのは、レースとライフスタイルの融合。私も現地を見て回ったが、文化、食べ物、ライフスタイル、JDMなどを組み合わせて、このイベントに来てもらうというミッションにうまく合致していたと思う。将来的にこれをもっと大きくしてほしい。来年は日本からもアーティストが来てライブをしてほしいね!」

日本風情漂うフォトスポットで記念撮影

日本風情漂うフォトスポットで記念撮影

写真: Motorsport.com Japan

「そして今回発表があったように、GT500のワイルドカードも楽しみだ。マレーシア人ドライバーがGT500で見られたら嬉しい。マレーシアにも才能あるドライバーがたくさんいるし、この国の若手がもっとスーパーGTで走って欲しいと思っている」

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