F1の新車がギリギリまで隠されるのは「当然のこと」とチーム関係者。現代では数週間でコピー可能
アルピーヌF1の技術責任者を務めるパット・フライは、F1チームが新車発表の際にデザインを隠すことに躍起になるのは至極普通のことだと語った。
写真:: Sam Bloxham / Motorsport Images
2021年のF1新車発表の際に話題となったのは、多くのチームが新たなデザインを隠そうとしていたことだ。メルセデスやマクラーレンはフロアなどマシンの特定のエリアを公開せず、アルファタウリもノーズとサスペンションが実車とは異なる画像を最初に公開した。
さらにレッドブルの場合は新車RB16Bのフィルミングデーを実施した際に、RB16Bの画像を一切公開しないなど、徹底した情報統制を行なっていた。
こういった動きは一部から驚きの声も上がっていたが、F1チームの関係者にとっては至極当たり前といったことのようだ。アルピーヌのシャシー・テクニカルディレクターのパット・フライは、ライバルがアイデアを模倣するスピードは非常に速いため、良いアイデアはギリギリまで見せないことが当然だと語った。
「正直なところ、原理原則に従っているだけなのだ」とフライは言う。
「バレてしまってはいけない。30年にわたってそう教えられてきたので、それを今更変えるのは難しい」
「実際問題、私が誰かのマシンを見て異なる形のフロアを発見したなら、2日後には風洞で実験をして1週間後にはマシンに搭載することができる。そういうこともあると思う」
「大きな規則変更があったが、それはマシンの非常に限られた部分だった。誰かが他よりも良いものを作ってきていたなら、それに反応するのは極めて簡単だろう」
マクラーレンは、そういった規則変更に巧妙に対処したチームのひとつだ。今季はマシンが生むダウンフォース量を減少させるためにディフューザーの形状にも規制がかけられたが、彼らの新車MCL35Mに取り付けられたディフューザーはライバルよりもストレーキが大きくなっており、多くのダウンフォースを稼ぐことができると予想される。
マクラーレンのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーは、プレシーズンテストで明らかとなったこのアイデアについて、ライバルチームはすぐにこのコンセプトを風洞で試し、数週間のうちにデザインを調整できるだろうと考えている。
「最近では、どんなアイデアでもまずはCFD(数値流体力学=コンピュータによる流体シミュレーション)を行なう。そのため、他のチームが思い付いたものに1週間で追従することができる」
キーはそう語った。
「そしてその1週間を終えて、それでも関心を持ち続けていれば、我々のディフューザーであれメルセデスのフロア後端であれ何であれ、すぐに搭載することができるだろう。1週間で風洞実験をして2週間で製造まで持っていく……これらのステップは非常に簡単なのだ」
「あとは自分たちのマシンでどのように機能させるかを理解しないといけない。それが重要だ。その原理を理解できたとしても、マシンに合わせて調整することができなければ、それは結果的に独自の形状になってしまう」
「そういった意味では、それを本気でやり遂げようとするのならば、写真をとってからマシンに取り付けるまで3〜5週間ほどかかるだろう」
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