【コラム】苦戦続くハミルトン……フェラーリ加入は”終わりの始まり”なのか?
今季からフェラーリに加入した7回王者獲得者のルイス・ハミルトンは、ここまで大いに苦戦。これが彼の終焉の始まりなのではないかと疑問視する声も上がっている。
「ルイスはもうダメダメだよね?」
今週、熱烈なルイス・ハミルトンのファンの友人から、こんなメッセージが届いた。
そのタイミングが実に興味深かった。その少し前に、元F1ドライバーで今は解説者となったジョニー・ハーバートの、同じようなコメントを目にしたばかりだったからだ。
ハーバートの主張は、ハミルトンはフェラーリに移籍して道を見失っており、フェラーリとしてはそのチームメイトであるシャルル・ルクレールに全力を注ぐべきだというモノだった。これはある意味妥当な評価だとも言える。ハミルトンは先日のスペインGPで6位フィニッシュしており、もしレッドブルのマックス・フェルスタッペンにペナルティが出ていなければ7位だったはずだ。
Charles Leclerc, Ferrari, Lewis Hamilton, Ferrari
Photo by: Clive Rose / Getty Images
ハミルトンはこのスペインGPを、「これまでで最悪のレースだった」と評価した。彼にとってはF1で365回目のレース。それが「最悪」というのは、あまり歓迎できることではないだろう。
今年からフェラーリに加入したハミルトンは、新たな環境に適応を進めている最中。しかしレースを重ねるごとにフラストレーションが募っており、それは無視できないほどになってきている。
ハミルトンの献身的な姿勢は疑うべくもない。彼はフェラーリのイタリア・マラネロのファクトリーで多くの時間を過ごし、グランプリ開催週には夜遅くまでサーキットに残ってデータを分析し、まだ見つかっていない苦戦の原因を見つけ出そうとしている。
苦戦の原因は、正直に言ってまだ誰にも分かっていない。しかし彼の周囲にいる人たちは、ハミルトンがパフォーマンスとリザルトの向上を目指し、不断の努力を重ねているのを目にしている。
しかし衝撃的だったハミルトンのフェラーリ加入発表は、もはや遠い記憶のようにも感じる。彼が目指す8回目のF1ワールドチャンピオン獲得という目標は、もはや叶わぬことではないかと考える人も増えている。
Lewis Hamilton, Ferrari SF-25
Photo by: Andrej Isakovic / AFP via Getty Images
中国のスプリントレースでは、フェラーリ加入後初優勝を手にして、大いに世転んだハミルトン。しかしそれは一時的なモノであり、熱狂的なハミルトンファンであっても、今や最悪の事態が訪れることを恐れている。
ただそれは驚くべきことではない。ハミルトンと同様に、アラン・プロストやフェルナンド・アロンソ、そしてセバスチャン・ベッテルが、栄光を求めてフェラーリ入りした。しかし、そこでチャンピオンを獲得することはなかった。
では、なぜハミルトンはなかなか良い流れに乗れないのだろうか?
その状況は実に複雑だ。明確な要因はひとつもない。シーズン開幕当初、フェラーリの問題はセットアップに起因していた。特に車高が問題であり、実際に中国GPの決勝では、車高が低すぎでスキッドブロックを削ってしまい、規定以上に削れてしまったことで失格となった。
さらにハミルトンは、固めの足回りを好むドライバー。しかしフェラーリのリヤサスペンションのセッティングが柔らかすぎ、マシンの挙動を把握するのに苦労した。さらにフェラーリはアップデートの投入が遅れ、相対的なポジションを下げた。
しかもフェラーリは戦略ミスが比較的頻発し、さらにハミルトンは、新しいレースエンジニアとの関係を築くのにも苦労している。言葉の壁にも悩まされた。
イギリスのチームとイタリアのチームの、文化的な違いも無視できない。そういう意味でもハミルトンが適応するには、当然時間がかかるだろう。
Lewis Hamilton, Ferrari
Photo by: Peter Fox / Getty Images
周囲から見れば、ハミルトンは転落していっているように見えるだろう。スペインGPでの彼の態度や成績からすれば、それも無理からぬ話だ。そしてドライバーズランキングでは6番手に沈んでおり、チームメイトのルクレールとの差は23と大きい。さらに過去を振り返ると、フェラーリがチャンピオン経験者のキャリアにハッピーエンドを用意するということもない。
ただハミルトンは、2025年に好成績を手にするためにフェラーリに加入したわけではない。新レギュレーションが導入される2026年の最高の成績をてにするため、今年から加入したわけだ。
これがハミルトンにとっての、F1キャリアの終わりの始まりなのだろうか? 通算では、歴代最高の成績を記録してきたドライバーが、裏口からひっそりと抜け出すように、F1を去ることになるのだろうか?
私はそうならないことを、心から祈っている。しかし、現実問題としてどうなるかは分からない。
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