小林可夢偉WECチーム代表、中嶋一貴TGRヨーロッパ副会長は何に取り組んでいくのか? 背景にトヨタが目指す“未来志向”
WECのドライバー兼チーム代表に就任する小林可夢偉と、ドライバーを引退したTGR-Eの副会長に就任する中嶋一貴。彼らは具体的にどういったことに取り組んでいくのか?
12月5日、TOYOTA GAZOO Racingの体制発表の中で、小林可夢偉がWEC(世界耐久選手権)のチーム代表に就任してドライバーと兼務していくこと、そして中嶋一貴がレーシングドライバーを引退し、TOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ(TGR-E)の副会長に就任することが発表された。2022年から新たな挑戦をスタートすることになる彼らはそれぞれ、自らに課された“使命”について語った。
まず、プレイングマネージャーとしてチームを指揮することになる小林は「ドライバーとしても責任を取らないといけないし、チーム全体の責任も取らないといけないし、辛いですよね」と漏らしたが、ドライバーとマネジメント陣の橋渡し役となることで、より良いチームづくりをしていきたいと語った。
「チーム代表だからといって、何かの決め事を僕の独断で決めることはありません。TGRの佐藤(恒治)プレジデント、パスカル(バセロン)らをはじめとするいつものメンバーでミーティングをして、チームの運営について決めていこうと思います。そこには一貴も入ってくることになると思います」
「耐久レースはコミュニケーションが本当に重要だと思います。ですから、僕がドライバーにマネジメントの状況をしっかり説明して、ドライバーからマネジメント陣へのリクエストに関してもいい落とし所を見つけていく……それがドライバーファーストの良いチームを作っていくためのひとつのプロセスかなと思います」
そしてTGR-E副会長としてヨーロッパに常駐することになる中嶋は、自らが携わってきたWECとどまらず、様々な課題に取り組んでいくことになるとして、こう語った。
「基本的に(仕事の範囲)はTGR-Eが受け持つもの全般になると思います」
「耐久レースに参戦するにあたっては、レギュレーションづくりに携わるオーガナイザーとのコミュニケーションも大切になってきます。そういったところも僕の仕事になります。これまではドライバーとしてFIAやACOとも一緒にレースをしてきましたので、多少は話しやすい部分もあると思います」
「自分自身のバックボーンがWECなので、WECに関することはインプットしやすいと思いますが、ラリーもTGR-Eの守備範囲ですし、WECとラリーが相乗効果を生めるような体制にしていかなきゃいけないと考えています」
「そして若いドライバーを育てていける環境づくりをすることも僕の課題です」
上記のコメントから、今後はFIAなどとコミュニケーションを取る渉外担当のような位置付けとなるのかという質問が飛ぶと、中嶋は「それも役割のひとつにはなると思いますが、それだけではありません」と答えた。
またGAZOO Racing Companyの佐藤プレジデントは、小林と中嶋に新たな役割が与えられたことに絡めて、トヨタは中長期的な視点でのチームづくりを目指していると語った。
「我々は未来志向のチームづくりをやっていこうと思います」
「可夢偉さんが現場でチームづくりをする中で、一貴さんと僕は中長期的に『耐久レースとトヨタの関わりをどうするか』という点を考えていきます。景気の変動など短期的なものに左右されないためにはどういう活動をしていけばいいのか、考えていきたいです」
「ル・マンの連覇を目指すことももちろんですが、短期的な思考に陥らず、未来に向けて今やるべきことをやらないといけないと、(豊田)章男社長もおっしゃっています」
「またチームの運営自体も来季は大きく変更し、メカニック、エンジニアの若手育成をやっていきます。平川(亮)選手が若いメカニックやエンジニアたちと切磋琢磨しながら未来を作っていく……そんなことにも期待しています」
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