マクラーレン、2022年から電動SUVのオフロードレース「エクストリームE」参戦決定
マクラーレン・レーシングは、電動SUVを用いたオフロードレースを行なう『エクストリームE』に2022年から参戦することを決定した。同シリーズの2シーズン目を迎える来年は、10チーム以上が争うことになる。
写真:: McLaren
F1やインディカー・シリーズに参戦するマクラーレン・レーシングは、2022年シーズンの『エクストリームE』に参戦することを発表した。マクラーレン・レーシングは、2021年に始まった電動SUVを用いて世界各地でオフロードレースを行なう同シリーズの、10番目のエントラントとなる。
またマクラーレン・レーシングはクプラとGMCに次いで、同シリーズに参戦する3社目の自動車メーカーとなる。なおロータス・エンジニアリングも、F1とスーパーGTでもタイトルを獲ったジェンソン・バトンがオーナーを務める『JBXE』と技術提携を結んでいる。
バトンの他にも、エクストリームEにはF1界からチャンピオン経験者が参画しており、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がオーナーを務める『X44』や、ハミルトンの元チームメイトのニコ・ロズベルグの『ロズベルグ・Xレーシング(RXR)』がエントリーしている。また、インディカー・シリーズからは名門『チップ・ガナッシ・レーシング』などが参戦している。
2021年に開幕したエクストリームEの1シーズン目は、サウジアラビアでの『デザート X-Prix』とセネガルで行なわれた『オーシャン X-Prix』の2戦を終え、RXRが2連勝をあげている。
マクラーレン・レーシングは自らの「持続可能性と多様性の課題」を改善すべく、参戦チームには、F1プログラム以外の既存の人材に加え、「専門家のリソース」を動員するとしている。
「エクストリームEが発表された瞬間から、我々はこのシリーズの動向を注意深く追ってきた」とマクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンは語る。
「特に、脱炭素化、廃棄物削減、多様性、平等といった(エクストリームEと)同じ優先事項を持つ私たちは、包括的な持続可能性への課題解決を加速させ、後押ししてくれるこのモータースポーツシリーズの革新的なカタチに、すぐに注目していた」
「我々の世界の中心には常にフォーミュラ1が君臨しており、インディカーやeスポーツと同様に、エクストリームEへの参戦はマクラーレン・レーシングのフランチャイズとしての付随的なものであり、我々が抱えるプログラムを互いに補完し、支え合うものだ」
「我々は、F1やインディカーで馴染みのあるビッグネームたちと競い合うことになる。しかし、我々が出場している全てのシリーズ同様に、レースの目的は明確だ。勝つためにそこにいるのだ」
電動モータースポーツの魁とも言えるフォーミュラEのCEOを務め、エクストリームEの共同創設者のひとりであるアレハンドロ・アガグは、マクラーレン・レーシングの参戦を「エクストリームEの短い歴史のなかでも、恐らく最大のニュースだ」と表現した。
「最高レベルのレースと自動車の革新を象徴するマクラーレンが参加してくれたことで、我々がシーズン1の最初の2レースで成し遂げたことが、既にモータースポーツ界に真のインパクトを与えていることを証明した」とアガグは付け加えた。
マクラーレン・レーシングのエクストリームEへの参戦決定は、同社が行なった「シリーズの精査」を経たものであり、第3世代マシンが導入される2022-2023年シーズンのフォーミュラEへの参戦に向けたプロセスとは異なるものだ。
マクラーレンはこれまで、傘下のマクラーレン・アプライド・テクノロジーズ(MAT)がフォーミュラEの第2世代マシンへバッテリーを供給していたため、フォーミュラEの参戦を禁じられていたという。しかし、その契約は2021-2022年シーズンをもって終了する予定であり、アウディやBMWが撤退を決めたことでエントリー枠に空席が生まれたこともあって、マクラーレン・レーシングは今年1月にフォーミュラEと2022-2023年シーズンに向けてのエントリー枠確保の合意を行なった。
なおMATは当初、エクストリームE標準のバッテリーシステムを供給する計画を立てていたが、結果的にフォーミュラEの第1世代マシン、第3世代マシンへのバッテリー供給を行なうウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングがエクストリームEにもバッテリーを供給する運びとなった。
マクラーレン・レーシングはこれまで、FIA世界耐久選手権(WEC)とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権双方に出場できるLMDh規定や、ハイパーカー規定にも関心を示してきたが、ブラウンは、motorsport.comを含む一部のメディアに対し、フォーミュラEやWECに関しての最終的な判断は下していないと語っていた。
一方、X-Prix会場へ物資を運ぶ「RMSセントヘレナ号」の有効荷重の制約により、エクストリームEの参戦上限を12チームとするとアガグが明らかにしていたこともあり、ブラウンは同シリーズへの参加枠は「すぐに完売する」と予想していたようで、マクラーレン・レーシングには「あと6ヵ月待つ余裕はない」と述べた。
電動SUVを用いるエクストリームEへの参戦は、TopGear.comに対し「SUVはマクラーレンとしてのブランド力を希薄にするだけだ」と語ったマクラーレン・オートモーティブ(市販車部門)のマイク・フルウィットCEOの意見と相反するものではある。
しかし、マクラーレン・レーシングにとしては、エクストリームEは「戦略的、経済的、運営上の基準」を満たしており、同シリーズへの参戦が、新たな「ファンとパートナー」をチームにもたらすと考えている。
また現在、ブラウンはエクストリームEに対して個人出資を行なっており、彼が共同経営するユナイテッド・オートスポーツは、元マクラーレンのF1ドライバーであるマイケル・アンドレッティのアンドレッティ・オートスポーツと提携してエクストリームEに参戦している。
しかし、ブラウンはアンドレッティ・ユナイテッドでの自分の役割を“サイレント・パートナー”のようなものだとし、「彼らに仕事を任せ続ける」一方で、自分はマクラーレン・レーシングの参戦に「100%」集中することを明らかにしている。
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