ホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクター、今季初勝利を喜ぶも「ここで安心することは許されない」
ホンダF1の田辺豊治F1テクニカルディレクターは、マックス・フェルスタッペンが優勝したエミリア・ロマーニャGPを振り返り、この勝利で「安心することは許されない」と語った。

イモラ・サーキットで行われた2021年のF1第2戦エミリア・ロマーニャGPで優勝を手にしたのは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。この優勝は、ホンダにとってはF1活動最終年の最初の勝利ということになる。
「2戦目にして今季初優勝をマックス・フェルスタッペン選手が獲得したということで、シーズンを良い形でスタートできたと思います」
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、レース後のオンライン会見でそう語った。
「開幕戦はポールポジションを獲得しながら2位になり、勝利を手にすることはできませんでした。しかし今回は、フェルスタッペン選手が3番グリッドからスタートダッシュを決めて優勝してくれました。良い形のシーズン1勝目になったと思います」
「ただ今回のレースは、スタート前にコースの一部分で激しい雨が降り、それが乾いていくという難しいコンディションでした。いつドライタイヤに変えるのか、ハミルトン(ルイス・ハミルトン/メルセデス)との差がどれくらいなのかということを考えながらのレースでした。全体的には難しいレースだったと思います」
「スピンやクラッシュが相次ぐ中、安定してきっちりと走りきり、優勝してくれたフェルスタッペン選手は、やはりさすがだなと思いました」
ただホンダPUを使う4人のうち、フェルスタッペン以外の3人にとっては、うまくいかないレースとなった。
「(セルジオ)ペレス選手は、難しい路面に足を取られてコースアウトするなどして、残念な結果に終わりました。2番手グリッドからのスタートでしたから、フェルスタッペン選手としっかりフォーメーションを組んでレースを展開することができていれば、もう少し力強いレースができていたと思います。そこは今後、チームとしてしっかりやっていきたいです」
「(ピエール)ガスリー選手はウエットタイヤでのスタートを選択しました。しかしその後は雨が降らず、路面がどんどん乾き、タイヤが劣化していくことになりました。しかしタイヤを変えた後は良いペースで走り、最終的に8位になりました。残念な結果ではありましたが、アルファタウリのマシンの戦闘力と、ガスリー選手の安定した走りを確認できたと思います」
「角田(裕毅)選手は最後尾からのスタートでした。水煙が上がる中難しかったと思いますが、それでも徐々に順位を上げ、良いポジションまで浮上していました。ただその後で今日もスピンしてしまい、ポイント圏外のフィニッシュとなりました」
結果はフェルスタッペンの優勝とガスリーの8位(後に繰り上がりで7位)のみの入賞に終わったが、田辺TDはPUのセッティングはうまくいったと語る。
「PUとしては、コンディションが変わっていく中、全車がしっかりと完走することができました。そして、エネルギーマネジメント等の設定もしっかりできたと思います。そういう意味では、PUとしてはきっちりとレースができたと思います」
「今回のデータをしっかり確認した上で、我々としてもパフォーマンスを上げるための検討を進め、次のポルトガルGPに臨みたいと思います」
なお今回と同じウエットコンディションでのスタートとなった昨年のトルコGPでは、レッドブル勢は大きく出遅れることになった。この点も解消してきたと田辺TDは語る。
「チームと共にスタートの設定を検討し、去年のトルコの何が悪かったのかというところをしっかり検証してきました。車体側ではクラッチのコントロールなど、そしてPUではトルクなどを見直してきました。そういう合わせ技で実現してきたんです」
「スタートシステムは実に複雑ですが、チームとの開発の結果を今回のレースで証明することができました。フェルスタッペン選手のスタートダッシュを見ると、やった甲斐があったと思います」
今季初勝利を手にしたものの、まだまだ油断することなく、開発を進めていきたいと田辺TDは語る。
「去年に比べると、メルセデスとの差は近付いてきていると思います。非常に拮抗した戦闘力であると思います。しかし今回の勝利は、開発を続けていく上でも、レースチームにとっても、とてもポジティブなことだと思います」
「でも、ここで安心することは一切許されません。メルセデスは当然強いですが、マクラーレンやフェラーリも、グングン速くなっています。さらに前進できるように、開発を続けていきたいと思います」
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