F1 フランスGP

アルファタウリがF1フランスGPで投入したアップデート。弱点にどう対処した?

今季のアルファタウリは、特定のサーキットでは速さを見せつつも、それ以外のサーキットでは苦戦するといった、浮き沈みの激しいシーズンを送ってきた。しかしフランスでアップデートを投入。これは、弱点にどう対処することになったのか?

AlphaTauri AT03 side detail

 アルファタウリは、F1フランスGPでマシンをアップデート。彼らが悩まされていた弱点にどのように対処したのだろうか?

 今季のアルファタウリは、モナコやバクーといったストップ&ゴータイプのサーキットでは強さを発揮してきた。しかしその一方で、高速コーナーでは苦戦しており、ピエール・ガスリーと角田裕毅は、思うようにポイントを獲得することができていない。

 チームもこの問題は認識しており、先週末のフランスGPで投入されたアップデートにより、特定のコーナーだけではなく、あらゆるコーナーでのパフォーマンスを向上させることを目指している。

 アルファタウリのビークル・パフォーマンス責任者であるギヨーム・デゾテウスは、アップデートについて次のように説明する。

「今回のアップデートは、主にフロア周辺とフロア自体で行なわれた」

 そうデゾテウスは語る。

「インレットから始まり、フェンスの形状、フロア端の形状、そしてその周囲のボディワークまでに及んでいる。マシンの下にあるフロアの構造は完全に異なっていて、これによってマシンがどんな姿勢でもダウンフォースを生み出すことが目的になっている」

「その点で、今回のアップデートは期待通りだ。低速や中速のコーナー、そしてロールの大小に伴わず、ほとんどのコンディションで荷重が増加している」

Yuki Tsunoda, AlphaTauri AT03

Yuki Tsunoda, AlphaTauri AT03

Photo by: Alastair Staley / Motorsport Images

 新しいパーツが投入されたものの、AT03のDNAを大幅に変更することはなく、機械面の変更もなかった。チームは、すでに走らせてきたものを最適化しようとしたのだ。

 外観で最も大きな変更は、レッドブルを彷彿とさせるサイドポンツーン上面と、エンジンカバーのショルダー部分だろう。これにより気流を後方に導くための流路を確保している。

 この変更は、局所的な改善を目指しているだけではない。サイドポンツーン上を通ってコークボトル部分に向かう気流を、エンジンカウルに設けられた隆起部分によってガイドしているモノと見られる。

Alpha Tauri AT03 outer floor fence comparison

Alpha Tauri AT03 outer floor fence comparison

Photo by: Giorgio Piola

Alpha Tauri AT03 floor comparison

Alpha Tauri AT03 floor comparison

Photo by: Giorgio Piola

 フロアに関しては、ヴェンチュリ・トンネル入口の形状と位置を変更し、外側のフェンスに関してはかなり短くなった。

 これは両方が作用し合い、フロントタイヤが生み出す乱流をマネジメントするための空気の渦を作り出そうとしているのだろう。

 フロアエッジのウイングも変更された。気流の上流のパフォーマンスが上がっていることを活用するために、設計を微調整してきたのだ。具体的には、フロア本体から持ち上げられ、フロアとの間がガーニーフラップ(赤い矢印)で繋がれている。なお、○の中が旧仕様のエッジウイングである。

Alpha Tauri AT03 diffuser comparison

Alpha Tauri AT03 diffuser comparison

Photo by: Giorgio Piola

 アルファタウリはこれらの変更により、フロアの端で作られる渦の形状を改善し、結果としてフロア後端部やディフューザーによって、より多くのダウンフォースを引き出すことになると信じている。

 この渦がパワーアップし、ディフューザー方面に送られる。ディフューザーの側壁には切り欠き(○内の拡大写真の赤い矢印の部分)が設けられた。これは、ディフューザーがより多くのダウンフォースを発生するため、気流を改善させるのに役立っているとみられる。

 フランスGPの金曜日の段階では、このアップデートはかなり効果があるように見えた。しかし土曜日になると、角田はQ3に進出したものの、ガスリーはQ1敗退。その後決勝でも、ガスリーは期待通りのペースを発揮することができず、入賞圏外でレースを終えた。一方の角田は、1周目の接触によりマシンに大ダメージを負い、その後リタイア……アップデートの効果を最終的に確認することはできなかった。

 今週末のハンガリーGPでは、アルファタウリのアップデートに関するより細かい写真が撮影されるだろうし、そのパフォーマンスも改めて確認できるだろう。

 
Read Also:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 ポルシェのF1参戦計画が見えてきた。レッドブルのF1事業を50%買収へ……公式発表日も明らかに
次の記事 メルセデス、勝利まではまだまだ遠い? フランスで今季ベストリザルトもウルフ代表「努力を続けているが、まだ差がある」

Top Comments

最新ニュース

FIA、“縁の下の力持ち”レースオフィシャルの教育部門開設へ。ベン・スレイエム会長「Amazonでは注文できない。自ら育てなくては」

FIA、“縁の下の力持ち”レースオフィシャルの教育部門開設へ。ベン・スレイエム会長「Amazonでは注文できない。自ら育てなくては」

F1 F1
アゼルバイジャンGP
FIA、“縁の下の力持ち”レースオフィシャルの教育部門開設へ。ベン・スレイエム会長「Amazonでは注文できない。自ら育てなくては」
アレックス・パロウ、参戦5年目にして早くも3度目の王座に輝く。逆転狙ったパワーはベルトが外れ終戦|インディカー最終戦ナッシュビル

アレックス・パロウ、参戦5年目にして早くも3度目の王座に輝く。逆転狙ったパワーはベルトが外れ終戦|インディカー最終戦ナッシュビル

Indy IndyCar
Nashville
アレックス・パロウ、参戦5年目にして早くも3度目の王座に輝く。逆転狙ったパワーはベルトが外れ終戦|インディカー最終戦ナッシュビル
悔しいトラブルも……82号車コルベットの小泉洋史「まだまだですけど、知ってるコースだとちゃんと勝負になる」

悔しいトラブルも……82号車コルベットの小泉洋史「まだまだですけど、知ってるコースだとちゃんと勝負になる」

WEC WEC
富士6時間
悔しいトラブルも……82号車コルベットの小泉洋史「まだまだですけど、知ってるコースだとちゃんと勝負になる」
F1分析|ほんの僅かしかなかったピアストリ勝利のシナリオ……その”一瞬”の隙を突いた超ファインプレイ

F1分析|ほんの僅かしかなかったピアストリ勝利のシナリオ……その”一瞬”の隙を突いた超ファインプレイ

F1 F1
アゼルバイジャンGP
F1分析|ほんの僅かしかなかったピアストリ勝利のシナリオ……その”一瞬”の隙を突いた超ファインプレイ

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

エディション

日本 日本