F1ハンガリーGP決勝:ハミルトン完勝。フェルスタッペン、レース前クラッシュから奇跡の2位
F1第3戦ハンガリーGPの決勝レースは、メルセデスのルイス・ハミルトンが完璧なレース運びで2勝目を挙げた。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
F1第3戦ハンガリーGPの決勝レースがハンガロリンクで行なわれ、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウィンを果たした。
予選ではメルセデス勢が圧倒しフロントロウを独占。ハミルトンがポールポジション、バルテリ・ボッタスが2番手となった。グリッド2列目に並んだレーシングポイント勢も含めた上位4台が予選Q2をミディアムタイヤで通過し、戦略的に優位な形でレースに臨むかと思われた。
しかし、決勝前にハンガロリンクを通り雨が襲った。これにより路面はしっかりと濡れたものの、雨自体はほぼ止み、時折青空が覗くという難しいコンディションに。各車はインターミディエイトタイヤでレコノサンスラップを走った。
ここでまさかの事態が発生。7番手スタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がレコノサンスラップ中にターン12でコースオフ。バリアにクラッシュし、フロントウイングと左フロントのサスペンションにダメージを負ってしまったのだ。
フェルスタッペンはそのままダミーグリッドまでマシンを運び、レッドブルのメカニックはタイヤ装着の期限であるスタート5分前までの約15分間でなんとかマシンを修復しようと、急いで作業を開始した。
レッドブルはなんとか作業を間に合わせたようで、リミットぎりぎりのタイミングでタイヤを装着。フェルスタッペンを含め、ほとんどのマシンがインターミディエイトタイヤを装着したが、ハースのケビン・マグヌッセンだけがウエットタイヤを履いた。
フォーメーションラップを終え、ハースの2台がピットインしスリックタイヤへ交換する中、70周のレースがスタート。ハミルトンが好スタートを決めた一方、ボッタスやセルジオ・ペレス(レーシングポイント)が出遅れ後退。2番手にランス・ストロール(レーシングポイント)、好スタートを決めたフェルスタッペンが3番手に続いた。4番手にセバスチャン・ベッテル、5番手にシャルル・ルクレールとフェラーリ勢が続いた。
路面はスリックタイヤで十分走れるコンディションのようで、2周目にダニール・クビアト(アルファタウリ)がピットに入り、ソフトタイヤにスイッチ。さらに翌周にはルクレールやボッタスもスリックタイヤへと履き替えた。
ハミルトン、ストロールも続々とスリックタイヤに交換する中、フェルスタッペンは彼らから1周遅れでピットイン。それでも、フェルスタッペンはハミルトンに次ぐ2番手でコースに復帰。真っ先にスリックタイヤに履き替える戦略が当たったハースの2台はジャンプアップ。マグヌッセン、ロマン・グロージャンが3、4番手に続いた。
ミディアムタイヤへと履き替えたマシンが多いが、6番手のルクレールはソフトタイヤを履いた。しかしルクレールのペースが悪く、10周目のターン1でボッタスにオーバーテイクを許した。一方、ストロールは3番手マグヌッセンをなかなか攻略できず、ハミルトンやフェルスタッペンから離されていった。
雨雲が近づいているという情報がそれぞれのチームからドライバーにもたらされる中、ハミルトンは順調にギャップを築き上げていき、15周目にはフェルスタッペンに対し10秒差をつけた。後方では、ルクレール、アレクサンダー・アルボン(レッドブル)、ベッテルが3台数珠つなぎで7番手争いを展開。18周目のターン1でアルボンがルクレールをオーバーテイク。翌周にはベッテルもルクレールの前に出ている。
早くタイヤを履き替えたいルクレールは懸命に後続のマシンを抑えていたが、20周を走りきったところで耐えきれずにピットイン。雨が来ないことを願って、ハードタイヤへと履き替え15番手まで下がった。
いつ雨が降ってくるのか、空を見つつレースを進める各チーム。『〇〇分後に雨が降るぞ』という無線が乱れ飛んだ。25周を終えたところで、ハミルトンのリードは13秒弱。ハース勢を抜いたストロールとボッタスが接近した。徐々に各車のミディアムタイヤの摩耗が厳しくなっていく我慢のレース展開が続いた。
8番手のベッテルは、30周を終えたところでピットイン。こちらもハードタイヤへと履き替え12番手でコースに復帰。カルロス・サインツJr.(マクラーレン)とサイド・バイ・サイドのバトルを展開し、危うく接触しかけるシーンもあった。
カメラに雨粒がつくシーンもあるものの、路面を濡らすには至らず。後続に大きなギャップがあるボッタスは、33周目を走りきったところでピットインしミディアムタイヤを装着。アルボンもピットインするなど、徐々にタイヤを交換するマシンが出始めた。
フェルスタッペンは37周目にハードタイヤに交換、ハミルトンは38周目にピットインしミディアムタイヤに履き替えた。3番手ボッタスはファステストを連発しており、フェルスタッペンがコースに復帰した時点で両車の差は7秒ほどとなった。
タイヤの違いはあるものの、ボッタスはフェルスタッペンよりも1周1秒近く速いペースで接近。47周目には、フェルスタッペンのDRS圏内に足を踏み入れた。
ボッタスはそのままフェルスタッペンに攻撃を仕掛けるかと思われたが、50周目にピットインしハードタイヤに交換。残り20周で21秒ほどまで開いた差を詰めることを目指す、昨年のハンガリーGP、ハミルトン対フェルスタッペンの優勝争いを彷彿とさせる展開となった。
5番手ベッテルに20秒以上のギャップを作っている4番手ストロールも、54周目にピットインし新たなタイヤを手にした。
懸命にペースを保ちながら周回を重ねるフェルスタッペンに対し、トラフィックを交わしながら追い上げるボッタス。その差はおおよそ1周1秒縮まっていき、残り3周でその差は3秒を切った。
ボッタスは、残り2周のところでフェルスタッペンを完全に射程圏内に捕らえた。両車はテール・トゥ・ノーズでファイナルラップに突入。しかしボッタスはターン1、ターン3でフェルスタッペンにオーバーテイクを仕掛けることはできず、0.750秒差で抑えきってフェルスタッペンが2位を獲得した。
首位のハミルトンは67周目にピットイン。ソフトタイヤに交換してファステストラップを狙いに行った。
1分17秒497までファステストを更新したハミルトンは悠々トップチェッカー。これでポイントリーダーに立つと共に、ハンガリーGP8勝目を記録。ミハエル・シューマッハーが持つ、同一グランプリ最多勝利記録に並んだ。
レース出走すら危ぶまれたフェルスタッペンは、2位獲得に笑顔。苦しい週末を乗り切った。
好調レーシングポイントは、ストロールが4位。ペレスが7位。しかし表彰台には届かなかった。
アルボンは終始ベッテルとバトルを展開するレースとなったが、終盤にオーバーテイク成功。アルボン5位、ベッテル6位となった。
7位以下、ダニエル・リカルド(ルノー)、マグヌッセン、サインツJr.までが入賞。ルクレールはタイヤ選択がうまくいかず、ポイント獲得を逃した。
アルファタウリは、クビアトが12位。ピエール・ガスリーは決勝前にパワーユニットを交換していたが、トラブルが発生し序盤でレースを終えた。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ルイス ハミルトン | 70 | 1:36'12.473 | 26 | |||
2 | マックス フェルスタッペン | 70 | 1:36'21.175 | 8.702 | 8.702 | 18 | |
3 | バルテリ ボッタス | 70 | 1:36'21.925 | 9.452 | 0.750 | 15 | |
4 | ランス ストロール | 70 | 1:37'10.052 | 57.579 | 48.127 | 12 | |
5 | アレクサンダー アルボン | 70 | 1:37'30.789 | 1'18.316 | 20.737 | 10 | |
6 | セバスチャン ベッテル | 69 | 1 lap | 8 | |||
7 | セルジオ ペレス | 69 | 1 lap | 6 | |||
8 | ダニエル リカルド | 69 | 1 lap | 4 | |||
9 | ケビン マグヌッセン | 69 | 1 lap | 2 | |||
10 | カルロス サインツ Jr. | 69 | 1 lap | 1 | |||
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