ドゥーハン&ロベンペラの参戦叶わず……開幕前から激動のスーパーフォーミュラトヨタ陣営。TGR加地ディレクターに聞く
スーパーフォーミュラのトヨタ陣営は、KONDO RACINGへの加入が濃厚と見られていたジャック・ドゥーハン、KCMGからの参戦が決定していたカッレ・ロバンペラがいずれも参戦しない事になった。これらの顛末について、加地雅哉TGRグローバルモータースポーツディレクターに聞いた。
写真:: Masahide Kamio
2026年のスーパーフォーミュラには、6人の外国籍ドライバーを含めた24人のドライバーがエントリーしている。しかし当初は、この24台のラインアップの中にもうふたり外国人が加わると見られていた。それがジャック・ドゥーハンとカッレ・ロバンペラだ。
特にWRC(世界ラリー選手権)からサーキットレースへの本格転向で大いに注目を集めていたロバンペラに関しては、KCMGからの参戦が正式に決定した状態でテストにも参加していたため、開幕2週間前になっての突然の参戦取り止めは衝撃のニュースと言えた。
これについて本人は「しばらくの間、健康上の問題を抱えながら活動してきたが、それが今年に入って悪化している」と説明。彼の元チームメイトで親友でもある勝田貴元も、筋力不足やフォーミュラレースへの適応失敗による参戦中止ではないとSNSで投稿し、駆け巡る憶測を否定した。
Kalle Rovanpera, KCMG
写真: JRP
TOYOTA GAZOO Racingのグローバルモータースポーツディレクターである加地雅哉氏はmotorsport.com/英Autosportの取材に応え、ロバンペラのスーパーフォーミュラ挑戦を休止するという決断は、医師の助言に基づき、モリゾウこと豊田章男トヨタ会長が責任をもって下したものであると説明した。
「この決断はモリゾウさんが強いリーダーシップの下、責任を持って下したものです」
「関係者全員にとって難しい判断でしたが、最終的にはモリゾウさんがリーダーシップを発揮してくださりました。このレベルのレースは、精神的にも肉体的にも万全な状態でない中で参戦しても意味がありませんから、心身共に万全な準備ができた状態で次の挑戦に共に臨むことになります」
「今回については、準備期間が理想より短かったのは事実ですが、次の機会に向けてはしっかり準備できると思います」
また加地ディレクター曰く、ロバンペラが今シーズンを全休するという異例の決断をしたのは、休養に入ってしまうと途中参戦に向けた万全な準備ができないからであり、医師の助言にも従い、十分な回復期間を設ける事を優先したという。今後復帰する際にどのカテゴリーを戦うのかは現時点では何も決まっていないというが、スーパーフォーミュラに再挑戦する可能性も十分にあるとした。
ドゥーハンは「SF最優先ではなかったように思う」
Jack Doohan, Haas F1 Team
写真: Sam Bloxham / LAT Images via Getty Images
そしてもう一件、周囲を驚かせたのが、KONDO RACINGからの参戦が濃厚と見られていたジャック・ドゥーハンがチームとの契約に至らなかったということ。昨年12月のテストにはドゥーハンが3日間参加していたが、2月のテストを前に笹原右京の起用が発表。笹原本人もこのオファーが土壇場で来たものだと認めており、それまでドゥーハン起用の線で交渉が進められていた可能性が示唆されていた。
加地ディレクターも、ドゥーハンとチームの交渉に一部関わっていたとしたが、ドゥーハンはスーパーフォーミュラ参戦を最優先としていたような印象ではなかったと述べた。結局ドゥーハンはリザーブドライバーとしてハースF1チームと契約した。
「KONDO RACINGとジャックの交渉には私も関わりましたが、それも実際にはごく初期の段階と最終段階だけでした。その間にジャックとチームは踏み込んだ議論をしていたようです。最終的な決断は関係者全員で下されたものであり、トヨタが一方的に決めるものではありません」
「彼の目標は常にF1でした。もちろん(国内レースで)トヨタのドライバーになるという可能性もありましたが、私の印象では、彼にとってスーパーフォーミュラは最優先事項ではなかったように思います」
またドゥーハンは昨冬のテストで3日間続けて鈴鹿サーキットのデグナーでクラッシュを喫してしまい、これがスーパーフォーミュラでの契約破談に繋がったのではないかと見る向きもあるが、加地ディレクターはそれが理由ではないと語る。
「確かにクラッシュはありましたが、それが理由ではありません。KONDO RACINGもクラッシュに対して怒っているということは全くなく、彼をサポートする準備ができていました」
「彼自身が進むべき最善の道について迷いがあったのだと思います。資金面ももちろん一因でしたし、他にも多くの要素がありました。ただ、彼がスーパーフォーミュラだけに専念するつもりだったとは思えませんし、優先順位を整理する必要があったのでしょう」
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