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環境面でもレース面でも利点が多い? カーボンニュートラル燃料の究極形“eフューエル”は実現可能なのか

モータースポーツ界でも導入が目指されているカーボンニュートラルフューエル。その中でも“eフューエル”が最終目標とされている風潮があるが、実現には超えるべき壁もいくつかあるようだ。

SF19開発車両

写真:: Masahide Kamio

 二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする“カーボンニュートラル”の必要性が叫ばれる昨今、日本のモータースポーツ界でも、次世代燃料“カーボンニュートラルフューエル”の導入に向けた動きが進んでいる。

 カーボンニュートラルフューエルは、二酸化炭素の排出量を抑える、環境に優しい燃料の呼称。これは特定の燃料のことを指したものではなく、様々な選択肢を引っくるめた総称と言って差し支えないだろう。ただその中でも、水を電気分解した水素と二酸化炭素を合成して作られる合成燃料、『eフューエル』に関しては、これを最終目標にしたいと考える者も多い。

 スーパーGTは、2023年シーズンからカーボンニュートラルフューエルを導入予定。その燃料は、非食用のバイオマスを使用したものになるようだが、スーパーGTのプロモーターであるGTアソシエイションの坂東正明代表は「将来的には合成燃料を使いたい」との意思を示している。また、同じくカーボンニュートラルフューエルの導入に向けてテストを実施しているスーパーフォーミュラも、開発テストを率いる永井洋治テクニカルディレクター(TD)が「ゴールはeフューエル」と言及している。

 ではなぜ、eフューエルがカーボンニュートラルフューエルの“ゴール”と捉えられているのか? そしてそのゴールにたどり着くことは可能なのか? 関係者の証言から紐解いていく。

 スーパーGTは前述の通り、非可食のバイオマスを使用した燃料を来季に導入する。その中にはバイオエタノールが5%添加される予定で、いわゆる“E5”の燃料となる。

 E5、E10、E85……この数字が大きいほど環境に良い。そう漠然と考えてしまいがちだが、ホンダの佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダー(LPL)は、スーパーGTで使用される燃料はバイオエタノール以外の部分もバイオマスを使用しているということをしっかりと伝えていきたいと考えている。

「Eという部分に皆さん反応しがちですが、(スーパーGTで使用する燃料は)E5の場合、残りの95%もバイオ燃料なんですよ。ですから地下から吸い上げた化石燃料は一切使っていません」

「エタノールというのは、オクタン価(異常燃焼の起こりにくさを示した値)などの最後の調整のために使っているものです。エタノールは発熱量が少なく燃費が悪くなってしまうので、Eの数字は小さければ小さいほど良いんです。その方がよりハイオクガソリンに近付きますから。ただ、少なくし過ぎてしまうとコストが上がってしまいますけどね」

 化石燃料を一切使わない燃料……そう聞くと、十分カーボンニュートラル燃料としての“ゴール”に近いようにも感じられる。しかし佐伯LPLは、確かにバイオ燃料を使うことで実質的な二酸化炭素排出量は大きく減ることになるだろうとしつつも、次のように指摘する。

「地下から吸い上げたものを燃やすと(大気中の)CO2(=二酸化炭素)が増えていきます。ただ地上でCO2を吸収したものをベースに燃料を作ると、そこ(レース)でCO2を排出しても(大気中の総量は)増えていかない……そういった理由でバイオ燃料が使われています」

「ただバイオ燃料に関しては、その原材料まで追いかけきれないところもあります。(バイオマスが)二酸化炭素を吸収しているのは間違いないと思いますが、その吸収した量と排出した量が合っているのか、という話をするのは難しいと思います」

「それらを正確に数値化するためには、CO2を抽出してきて、そこから(合成)燃料を作るという形でないといけません」

 つまり、二酸化炭素から直接燃料を作るeフューエルを導入することによって、“真のカーボンニュートラル”に近付く、ということだろうか。

 eフューエルの利点は環境面だけではない。永井TDは以前、「エタノールを入れると発熱量の関係で物理的に出力が落ちるが、eフューエルだと逆に(出力を)上げることもできる。またeフューエルは異常燃焼を抑えやすい」として、パフォーマンス面でも利点があると語っていた。そして「本当の意味でのカーボンニュートラルフューエルが開発できれば、V8エンジンやV10エンジンの開発など、思い切ったこともできると思う。その可能性があるのがeフューエル」とコメントしていた。

 佐伯LPLも、現代のモータースポーツはエンジンのダウンサイジングが主流になっているものの、カーボンニュートラルフューエルを開発することで、甲高いサウンドを発生させる大排気量エンジンの開発に再シフトしても良いのではないかと考えているひとり。とはいえ、カーボンニュートラルフューエルの“ゴール”であるeフューエルを実戦に投入するにはまだまだ課題が多いと語った。

「(eフューエルは)試験管で作ろうと思えばすぐ作れるんですよ」

「CO2と水素を持って来てそれを合成すれば、ガソリンとほぼ同じ成分が抽出できます。ただ、レースに使う分を大量に作るとなると、その設備はどうするのか、CO2を誰がどうやって集めてくるのかという話になります。そういう意味では、車1台走らせるのにリッター何円かかるのか分かりません」

「eフューエルはカーボンニュートラル燃料の頂点にあります。でもすぐにはイベントに使うレベルにできないので、今すぐにでも環境対応をするため、バイオ燃料をカーボンニュートラルフューエルとして開発しているのです」

 
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