昔はロボットみたいだった……人生の”楽しみ方”を見つけたボッタス。自転車、コミカルなCM「僕らは人間だから、楽しくないと!」
自転車にコミカルなプロモーション動画……今や自分の殻を破った感のあるバルテリ・ボッタスは、人生の楽しみ方を見つけたようだ。
Valtteri Bottas, Stake F1 Team Kick Sauber
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
キック・ザウバーのバルテリ・ボッタスは、かつて「ロボットのように」F1に挑んでいたものの、そこから抜け出すことができ、今では趣味の自転車やスポンサー活動などにより”楽しさ”を見つけられるようになったと語った。
2013年にウイリアムズからF1デビューを果たしたボッタスは、2017年には前年チャンピオンに輝いたニコ・ロズベルグが電撃的にF1引退を決めたことで、急遽メルセデスのシートを手にすることになった。
そのメルセデスでは、切れのある速さを見せつつも、絶対的エースのルイス・ハミルトンをサポートする役割に徹することを強いられた。しかし2021年を最後にメルセデスを離脱し、ザウバー(当時のチーム名称はアルファロメオ)に加入。今季はザウバーでの3年目のシーズンを過ごしている。
ザウバーに移ってからのボッタスは、以前とは別人のようにも見える。趣味となった自転車に勤しみ、日本GPの決勝日にも鈴鹿サーキット周辺をロードバイクで走っている姿が目撃された。自身が立ち上げた自転車レースもある。また、スポンサー活動やチームのSNSなどではコミカルな姿も見せる。まさに自由奔放という感じだ。メルセデス時代では考えられなかったようなキャラクターとなった。
「はっきり言って、F1が僕にとっての一番の情熱であるのは間違いないよ。それはこれまでも、これからもそうだ」
そうボッタスは言う。
「でも一旦そこから離れれば、サイクリングはたくさんの人が集まる慌ただしくで忙しい世界から逃れる、素晴らしい方法なんだ」
「山の中を誰にも会わずに何時間も走り、いろいろなモノを見ることができる。僕にとってはバランスを取るために必要なことだし、健康維持にも繋がる」
自転車には様々な種類がある。オリンピックでは、ロードレースやトラック競技、そしてBMXなどが行なわれた。ボッタスはロードバイクにも好んで乗っているものの、未舗装路を走るグラベルロードバイクが一番のお気に入りだという。
「グラベルバイクのイベントが好きなんだ。ロードバイクは、それほど真剣にはやっていない。だから全体的な雰囲気は少し落ち着いたモノだよ」
「僕は自分自身に挑戦するのが好きだ。自分の身体を痛めつける(つまり身体を鍛え上げる)のが好きなんだ。そういうのは、僕に何か問題があるからかもしれないけどね!」
またスポンサーのプロモーションムービーでは、コミカルな演技も見せた。今年話題になったのは、オーストラリアのUberが公開した動画だ。これにはエメラルドグリーンの半袖・短パンの衣装を着たボッタスが登場。F1ドライバーだとは信じられないような、ユーモアあふれたセリフ、表情を見せた。
「このアイデアは、Uberから来たモノなんだ。彼らは僕らにアプローチしてきた時、オーストラリアでカーシェアのプラットフォームを立ち上げようと考えていた。彼らは広告塔として様々な人を検討する中で、僕の名前が上がったらしい」
「僕は脚本を見て、すぐに参加を決めた。とても楽しかったよ」
F1で結果を出すためには、F1に全精力を集中する必要があると、多くの人が考えているだろう。しかしボッタスは、そうは考えていないようだ。
楽しむこと、常に深刻になりすぎないようにすることが重要なのか? そう尋ねられたボッタスは、次のように語った。
「僕にとってはそうだ。もちろん、人それぞれだけどね。でも、僕は自分を許し、自分を軽んじて、特定のことをあまり真剣に考えすぎない方法を見つけた」
「もちろん、レースに対して僕は常に真剣に取り組んでいるよ。でも僕らは結局のところ人間なんだ。だから何らかのこと、特に自分自身について、楽しさを見つけることが重要だと思うんだ」
「おそらく僕も昔は、ロボットみたいだった。そこから抜け出すことができてよかった。成熟し、経験を積んだからそうできたと思う。本当の自分を理解して、それに気付くのには時間がかかったんだ」
しかしボッタスはまだ、来季のシートを確保できていない。このことについてリラックスできているのかと尋ねると、ボッタスは次のように語った。
「僕にとって、これまでのキャリアの中で何度もそういう状況に陥ったことがある。新しいことでもなんでもない」
「もちろん、時にはストレスを感じることもある。でも現時点では、今みたいな対処方法が僕にとっては刺激的で、ストレスを軽減してくれるんだ」
Interview by Ben Hurt
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