トランプ政権が発動させた関税大幅引き上げ策。F1にはどんな影響が及ぶのか?
2009年の金融危機や、新型コロナウイルスの危機を乗り越えてきたF1。しかしアメリカが世界的に厳しい関税をかけることを決めたため、新たな課題に直面することになるかもしれない。
Mohammed Ben Sulayem, President, FIA, Lando Norris, McLaren F1 Team, 1st position, Donald Trump
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
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アメリカのドナルド・トランプ大統領が発表した関税引き上げの影響に、F1は備えなければならない。
トランプ大統領は、各国に対する関税を大幅に引き上げる決定を下し、すでに適用が始められている。数十カ国に対する関税引き上げは90日間停止すると発表したものの、これにより世界市場は大きな影響を受けており、株価も乱高下している。F1も、この影響を確実に受けることになるだろう。
現時点でどんな影響が出るかは、ほとんど分かっていない。しかし、自動車業界全体が、関税の影響を受けるのは間違いないだろう。この関税が導入されることになった理由の一部は、トランプ大統領と彼を補佐する面々が、自動車および自動車部品の輸出入に関して、アメリカが不利益を被っていると考えたことが発端となっている。
ジョーダン・グランプリのマーケティングディレクターや、レッドブルの商務責任者を経て、現在はパフォーマンス・インサイツのCEOを務めるマーク・ギャラガー氏は、チームが関税の影響に巻き込まれる可能性について、専門家としての見解を示した。
「まだ初期段階であり、これがF1にどのような影響を与えるかまだ分からない」
そうギャラガー氏は語った。
「F1に参戦する自動車メーカーを見てみると、メルセデス・ベンツは昨年、アメリカで32万5000台を販売した。メルセデスは昨年200万台、合計では250〜260万台を販売した。アメリカにおける数字は、メルセデスの販売台数に占める割合としては妥当な数字だ」
「しかしフェラーリやマクラーレンを見ると、劇的な変化が見えてくる。マクラーレンの販売先の46%は北米で、そのほとんどがカナダではなくアメリカだ」
「これは非常に興味深い課題だと思う。マラネロ(フェラーリ)から出荷されるクルマの約25%がアメリカに輸出されており、カリフォルニアはフェラーリにとて最大の市場のひとつである」
「今回のことは、F1に参戦する全てのメーカーにとって、非常に大きな影響を及ぼす。ただ、ルノーは例外だ。ルノーは1987年にアメリカ市場から撤退し、アルピーヌも2027年までアメリカ市場に参入する予定はない。彼らは際立った例外的な存在である」
「しかし他のメーカーにとっては、現時点では大きな課題だ。ご存じの通り、新加入するキャデラックを率いるゼネラルモーターズも含まれる」
なおホンダは、2024年の累計で9万台を輸出しているが、そのうちアメリカが占める割合は5379台に限られている。ただホンダが世界中で生産している373万台のうちアメリカでの生産台数は100万台あまりと発表されている。
またハースF1のオーナーであるジーン・ハースが経営するハース・オートメーションは、関税の影響を早くも受けており、生産を削減したり、新規雇用を停止するなどの処置を講じているという。ただ、motorsport.comの取材によれば、現状ではF1チームに影響が及ぶ可能性はないと見込んでいるようだ。
Donald Trump, 45th President of the United States, Zak Brown, CEO, McLaren Racing
Photo by: Steven Tee / Motorsport Images
チーム内部に与える影響に加え、今後はパートナーやスポンサーの資金繰りに影響が出る可能性もある。
「F1の全スポンサー、そしてチーム、世界選手権、そして各レースの分析を行なったところだ」とギャラガー氏は語る。
「F1におけるアメリカの影響力は、至る所で見受けられる。それはそもそも様々な決断がアメリカで行なわれているから、あるいはアメリカが企業にとって重要な市場だからであろう」
「私が言っているのは、F1と10年契約を結んだばかりのLVMHのような企業のことだ、現実的には、今回のことで短期的には確かに影響を及ぼすだろう。ただその影響については括弧をつけておくが、トランプ政権による関税に関する決定がどのような結果をもたらすかを見極める中で、今後3〜6ヵ月は影響が出ると考えている」
「今の不確実性と不安が夏、あるいは秋まで続くようであれば、2026年シーズンの交渉に深刻な影響を与え始める可能性がある」
「一歩引いてみると、アメリカと世界の関係を巡る不確実性、そしてトランプ政権による関税の経済的な影響は、極めて深刻である」
ただ、F1のオーナー企業であるリバティ・メディアが、今すぐパニックになる必要はないと考えている。
「今回のことは、F1にも影響を及ぼすだろう。自動車メーカーであれ、スポンサーであれ……率直に言って、世界経済全体への影響だ」
「F1は過去20年間、非常に大きな複数の試練に直面してきた。欧州連合(EU)におけるタバコブランドのスポンサーシップの禁止、2008年の金融危機、そして世界的な(新型コロナウイルスの)パンデミックは言うまでもない」
「金融危機の際には、ホンダ、トヨタ、BMWの撤退に繋がった。これはフォードがF1から撤退してから、わずか数年後のことだった。だから我々は、以前にも大きな困難に直面してきたのだ」
「リバティメディア、そしてもちろんその株主は、ウォール街で何が起きているかを非常に注意深く見守っているだろう」
「リバティメディアは、ニューヨーク証券取引所に上場している。アメリカでは、3つの大きなイベントが控えている。トランプ政権と世界の指導者たちが新たな世界秩序を模索する中、今後数週間は目まぐるしいジェットコースターのような展開になると見られている。企業は冷静さを保つ必要がある」
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