マクラーレン、テクニカルディレクターの”クビ”によってチームのポテンシャルが解放される?「これまでは限界があった」
マクラーレンF1チームのアンドレア・ステラ代表は、新たな技術体制が充分に活用できていなかったリソースを「解き放つ」と語っている。
マクラーレン・レーシングは2023年シーズン第3戦オーストラリアGPを前に、テクニカルディレクターを務めたジェームズ・キーの離脱を発表。今季からチーム代表に就任したアンドレア・ステラ直下に、新体制として部門別に3名のテクニカルディレクターを敷くこととなった。
スクーデリア・フェラーリから合流することとなる大物エンジニアのデビッド・サンチェスが「車両コンセプト&パーフォーマンス担当テクニカルディレクター」、ピーター・プロドロモーが「空力担当テクニカルディレクター」、ニール・ホールディが「エンジニアリング・デザイン担当テクニカルディレクター」を務めることとなる。
ステラは、以前の体制では特にプロドロモーの貢献が制限される状態にあったと示唆した。
「あの体制では、何らかの制約があったと思う」
そうステラは言う。
「空力部門では、空力をリードするテクニカルディレクターを置きたいと考えていた。このテクニカルディレクターに全権を委ねることになる」
「そして、社内にある非常に強力なリソースを解放したかったのだ。F1で最も有能な空力専門家のひとりでありながらも、活用されてこなかったピーター・プロドロモーのようにね」
「本来あるべき姿ほど効率的には行なわれてこなかった。我々はここを直したかったのだ」
「同時に、強力で明確なリーダーシップを与え、我々が開発してマシンに反映させたいコンセプトについて明確な指針を示すことができるため、この体制は完全に状況と合致している」
またステラは、マシン改善に向けて、科学と常識を組み合わせることに焦点を当てたと強調している。
「この体制は、パフォーマンスに対するアプローチも重要な要素だ」と彼は言う。
「科学的な根拠を持つという点で、我々は改善したいと思った。しかし、同時にF1はスピード感が重要なスポーツだ。もちろん、速度も速いがね」
「時には現実的で、冷静な常識を活用する必要がある。以前はそれがあまり得意ではなかったように思う」
「そしてもうひとつ、我々が改善したかったのは権限移譲だ。空力部門にはシニアスタッフがいるが、彼らが専門性を発揮し、自分たちで意思決定できるようにする必要があったのだ」
「そうすることで、チーム全体がより素早く動けるようになる。このことは、体制という観点からも特に再編成やリーダーの任命を通じて取り組む必要があったのだ」
Lando Norris, McLaren MCL60
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
そしてステラは、キーの技術的リーダーシップの下では、アイデアに限界があったことを示唆した。
「F1での意思決定に関しては誤解があると思う」とステラは言う。
「F1では、常に誰かしらが意思決定を行なっているとみんなは考えているだろう。しかし実際は、競争力のあるアイデアを生み出すことの方がはるかに重要で、それが自然な意思決定に繋がる」
「これが、マクラーレンの将来的な理想像だ。誰かが全ての決定を下していて、自分たちの手元には競争力のないアイデアしかないという形にはしたくはなかったのだ」
「あるいは、実際に責任者を務める者が、グループが生み出すアイデアのレベルやクオリティに制限を設けてしまうようなことは避けたい」
テクニカルディレクターだけでなく、技術部門の刷新に向けて他チームから多くの人材を囲い入れているマクラーレンだが、注目のサンチェスはフェラーリ離脱後の”ガーデニング休暇”によって来年1月までチームに合流できない。そのため、それまでは暫定的な体制で技術部門を動かすことになるということをステラも認めている。
その一環として、マクラーレンはチームに長年在籍していたニール・オトリーをF1部門に呼び戻している。
「この空席を補うために、いくつかの対策を立てている」とステラは言う。
「車両パフォーマンスグループ、その他のパフォーマンス分析、レースエンジニアリング能力などにおいて、デビッドに報告するグループがある。彼らはコンセプトやパフォーマンス分析に貢献するという点で、ステップアップしていく」
「私自身は、マシンコンセプトの観点からテクニカルエグゼクティブをサポートすることに、より深く加わっている。そしてこの過渡期をサポートするために、ニール・オトリーを配属した」
「マクラーレンには、より強力なリソースがある。短期的にもこれらのリソースを少し戦術的に使うつもりだが、長期的には戦略的な基盤になるのは明らかだ」
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