スタート直後に野尻抜きトップ浮上、一瞬の煌めきを見せた大湯都史樹。ただ優勝までの道のりは険しい?「毎回タイヤをセーブしてるんだけど……」
スーパーフォーミュラ第2戦富士では、レース序盤に見せ場を作った大湯都史樹。目立つ速さは見せているものの、チェッカーまで優勝争いを展開できるようになるには課題解決が急務のようだ。
今季から新興チームのTGM Grand Prixに移籍してスーパーフォーミュラを戦う大湯都史樹。第1戦は4番グリッドからスタートするも、決勝はペースが上がらず7位となった。そして3番グリッドから迎えた第2戦も、うまく噛み合わないレースとなって20位に終わった。
そんな大湯も第2戦の序盤では、大いに見せ場を作った。スタートで野尻智紀(TEAM MUGEN)に次ぐ2番手に浮上すると、コカ・コーラコーナー手前で野尻も交わしてトップに浮上したのだ。
しかし大湯はセーフティカーラン中の11周目にほぼ全車がピットインする中、タイヤ交換作業で野尻に逆転され2番手に。セーフティカー明けのリスタートではTGRコーナー(1コーナー)の飛び込みで野尻に仕掛けるも、そこでブレーキをロックアップさせたことが引き金となり、27周目には右フロントタイヤのトレッド面が剥離するトラブルに見舞われ、上位戦線から離脱した。
第1戦ではややハイダウンフォース気味なセットアップの影響でストレートスピードが遅く、その一方でハイダウンフォースセットアップにより得られるはずのコーナーでのパフォーマンスもなく、「いっぱいいっぱい」なレースだったと言う大湯。第2戦は「まだマシ」な状況になったといい、実際序盤は野尻を従えて首位をキープしてみせたが、まだ満足できるレベルにはないようだ。
「僕も(第1戦と比べて)並のペースにはなりましたけど、野尻選手の方が少し速かったと思います。前の車両に近付くとダウンフォースが抜けるので、その兼ね合いで(間隔を空けて)うまくタイヤを労わりつつ、隙を伺うという魂胆だったと思います」
大湯は自らが首位を走っていたレース序盤についてそう分析する。またリスタート時に激しいロックアップをすることとなった背景については、次のように説明した。
「後ろで(野尻が)いつでも抜けそうなペースで来ていて、よくないタイミングでセーフティカーが入り、タイヤ交換で逆転され……あの時点で、抜けるイメージが持てていませんでした」
「たぶん、ジリジリ引き離されるだろうなと。そしてセーフティカー明けのリスタートをうまく決めることができたので、あそこで勝負を仕掛けました」
「あの時はお互いOTS(オーバーテイクシステム)を押していたと思いますが、スリップストリームから抜け出したら少し後退してしまったので、ブレーキングで(勝負に)いくしかありませんでした。あのくらいスリップに入れていたら、普通はスリップから抜け出した時に前に出られているはずです。でもそうではなかったので、ストレートが遅いんだと思います」
レースペースに苦しんでいる大湯のテレメトリーデータをアプリ『SFgo』で確認すると、他のドライバーよりも著しくタイヤがオーバーヒートしており、特にリヤタイヤは130℃前後となっていることが見て取れる。この数値の正確性はさておき、実際大湯がタイヤのオーバーヒートに悩まされており、それによりペースを上げられていないということは事実のようだ。
「ちなみに、僕としてはだいぶタイヤを労っているんですよ(笑)」と話す大湯。第1戦の無線交信では、もう少しペースを上げられるか尋ねるチームに対して大湯は「これ以上ペースを上げるとタイヤを使ってしまうことになる」と訴えていた。
「いわゆる、タイヤを縦に使って、温度が上がらないように、滑らせないようにしているのですが、勝手にそうなってしまう(オーバーヒートしてしまう)んです。昨日もそうでしたが、どうにもできない感じで……色々解析中です」
「NAKAJIMA RACINGの時からレースペースが悪いので、“そういう”印象になってしまうかもしれませんが……」と苦笑する大湯。今季ここまでは持ち前の速さで存在感を遺憾なく発揮しており、彼が当初から移籍の目的に掲げていた「王者TEAM MUGENに一矢報いる」という点も、刹那的にではあるが達成している感がある。しかし、優勝争いに加わり、本当の意味で一矢報いるためには、まだ課題は山積みといったところのようだ。
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