昨年と同スペックなのに? “超繊細”なスーパーフォーミュラ、ドライバーからは「今年はタイヤの雰囲気が違う」と指摘する声
スーパーフォーミュラの一部ドライバーたちは、今季のタイヤが昨年と同スペックながらも「雰囲気が違う」という印象を抱いている。
Kenta Yamashita, KCMG
写真:: JRP
富士スピードウェイで行なわれたスーパーフォーミュラのインシーズンテストでは、各陣営が序盤戦で出た課題や疑問点を解消すべく様々なテストプログラムをこなした。その中で一部のドライバーから出た証言で興味深かったのが、“タイヤの変化”である。
スーパーフォーミュラでは横浜ゴムがワンメイクタイヤサプライヤーを務めており、再生可能原料・リサイクル原料を活用したADVANブランドのレーシングタイヤを供給している。2025年にはサステナブル原料の比率が46%まで高められ、今季も引き続き同スペックのタイヤがレースで使われている。
しかしその一方で、昨年と比べてタイヤの振る舞いが変わったように感じるという声も、テスト後の取材でいくつか聞こえてきた。
今季からKCMGに移籍した山下健太は、昨年、一昨年と富士で好成績を残した8号車と田坂泰啓エンジニアのパッケージだが、7月に富士で行なわれる3回のレースに向けては、以前のセットアップはあまり参考にならないだろうと語る。その理由がタイヤにあるというのだ。
「去年のことはあまり当てにならないかなと思っています。というのも、タイヤが去年と比べて違うように感じています」
Kenta Yamashita, KCMG
写真: JRP
「もてぎではユーズドの方がニューより速かったりしましたが、路面の違いだけでこういうことが起こるのか少し疑問でした。オートポリスでも、去年は計測1周目からアタックできたところ、今年は1周目では全然無理でした」
「今日(テスト初日)も最後はコンディションが上がって新品タイヤでタイムが出ましたが、それまでは意外と新品とユーズドの差が少なかったですし、今までとタイヤの雰囲気が違うところは感じているので、それに合わせたセットアップを探していかないといけません」
またスーパーGTで山下とチームメイトである坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)は、テスト自体は順調に進んでいるというが、タイヤに関しては山下と同意見であるという。
「正直僕も感じていて、ヤマケンとも『ちょっと雰囲気違うよね』という話はしています」
「予選一発いく時のグリップ感であったり、温度の適正値だったり、(性能の)ドロップの仕方とか、色々なところで感じます。タイヤは変わっていないということですが、だとしたら僕らの感覚がおかしいのかな……と思ったりもしますが(笑)。とにかく少なくとも変化は感じています」
Sho Tsuboi, VANTELIN TEAM TOM’S
写真: JRP
今回の富士テストで際立った速さを見せたイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)も、昨年と比べてグリップ変化の仕方が違うと感じていたひとり。昨年は1勝を挙げてルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたものの、今季序盤はやや苦戦気味であり、今回のテストでようやく感覚のアジャストが進んできたようだ。
フラガは何がその要因なのかについて「思い当たるところは一応あると言えばありますが、あまり言えないかな……」と詳細な言及を避けたが、前述の山下や坪井と似たようなフィードバックを残している。
「シーズン明けてから、去年と雰囲気がガラッと変わっている部分がありました。最初はもてぎの舗装(が原因)なんじゃないかと疑っていましたが、オートポリスでもその症状が改善されていませんでした」
そんなフラガは、テスト初日を総合首位で終えた後の総括として、こう語っていた。
「(今年は)自分が想定していたところと結構違うところがたくさんあったので、時間がある今回のテストでそういったところを直していきたいと思っていました」
Kenta Yamashita, KCMG
写真: JRP
「全体的なパフォーマンスは悪くなかったですが、グリップの出方がすごく予測しにくかったです。自分が欲しい時にフロントのグリップが出て、リヤのグリップが回復してくる……みたいなところを探していました。最後の方は割と感触が良かったのですが、もう少し欲しいですね」
「クルマのセットアップは去年のコンセプトからは変えていませんでした。逆に今回結構大きく変えて、そこでうまくアジャストでき始めているのかな……と。去年のままのクルマだと、全然通用していない感じはちょっとありましたね」
なお、この件についてタイヤサプライヤーの横浜ゴムに尋ねたところ、原料、設計値、そして製造方法も昨年と同じであることを確認しているという。ただ、ドライバーの疑問の声に応えるためにも、今後も引き続き調査を行なっていくとのことだ。
スーパーフォーミュラは車体、タイヤ、エンジンが同じ(※エンジンは2メーカー存在するも同等スペック)である上に、競争レベルも非常に高いため、非常に些細なことがパフォーマンスを差別化する要因になる。例えば各種パーツに関しても、それぞれの精度が高く個体差の範囲は非常に小さくとも(工業製品として十分許容されるレベル)、そのわずかな差や組み立て方の違いでフィーリングが変わることも。今回の一件も、そんな“超繊細”なスーパーフォーミュラを象徴するような出来事なのかもしれない。
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