F1 モナコGP

F1メカ解説|モナコで大苦戦したレッドブル。その原因は”空力パフォーマンス”を追い求めすぎたことだった?

F1モナコGPで大苦戦を強いられ、マックス・フェルスタッペンをもってしても6位が精一杯だったレッドブル。その苦戦の理由を検証する。

Sergio Perez, Red Bull Racing RB20

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

Analysis provided by Giorgio Piola

 今季開幕時点では、圧倒的な強さを誇っていたはずのレッドブル。しかしモナコGPで大苦戦したことで、縁石やバンプが弱点であることが露呈した。これはサスペンションの動きよりも空力的なパフォーマンスを追求した結果である可能性もある。

 そのレッドブルRB20のサスペンションについて検証してみよう。

 モナコGPの土曜日、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、ライバルと同じように縁石を乗り越えることができず、さらにコース上の凹凸に苦しんでいることを告白した。シーズン開幕当初は最強だと誰もが信じていたレッドブルに、大きな弱点があることが明るみに出たのだ。

 この問題に対処するためにレッドブルは、サスペンションのセッティングを柔らかく変更した。しかし柔らかくすればするほど状況が悪化し、これがチームを困惑させることになった。

 しかしそんな中でチーム代表のクリスチャン・ホーナーがレース後、今年のサスペンションの調整が苦戦の原因かもしれないと語ったことは実に興味深い。

「RBのマシンは、昨年の我々のサスペンションで走っているが、同じような問題は起きていないようだ」

 そうホーナー代表は語った。

「だから、その問題が我々が今年導入したものに起因するのかどうか、それを理解する必要がある」

 確かにRBの角田裕毅は、モナコで良いパフォーマンスを発揮した。しかしホーナー代表は、今回の問題は突然発覚したものではないと認めた。

「昨年のシンガポールでも、その問題に悩まされた」

 そうホーナー代表は語った。

「それで、今回再び同じような事例が起きた。これは、我々が取り組む必要がある領域であることは分かっている」

 では、一体何が問題の原因だったのだろうか?

■デザインの改良

 レッドブルは、2022年に現行レギュレーションが導入されて以来、フロントにプルロッド、リヤにプッシュロッドを採用し続けてきた。しかしその間にも、デザインを最適化するために細かな変更を加えている。

 今回何が起きたのか……その答えは、この最適化にあるのかもしれない。サスペンションの運動性能を向上させるという点では、できることは限られている。しかしその一方で、空力面を改良するためにできることはあったはずだ。

 レッドブルは、今季のRB20でも隊列の最前列をキープするため、空力上の利益を追求……その過程でマシンの乗り心地という側面が犠牲になりすぎていた可能性がある。

 乗り心地と空力的利益は、どうバランスを取るのかということが重要だ。例えば、サスペンションの稼働範囲が僅かに低下する代わりに、より大きな空力的利益を得ることができれば、チームはそれを喜んで受け入れるはずだ。

 さらに稼動範囲を妥協することで、縁石や凹凸に苦しむことになったとしても、空力性能が重要なコースで存分にパフォーマンスを発揮できるのであれば、その苦労は耐える価値のあるモノだったかもしれない。

 そしてその弱点は、ライバルとの差が大きかった時にはそれほど目立たなかったが、今年のようにライバルのパフォーマンスが接近してきた場合には、実際にポジションを失うという結果に繋がる。

■レッドブルはどう変革を遂げたのか?

Red Bull Racing RB20 chassis section comparison

Red Bull Racing RB20 chassis section comparison

Photo by: Giorgio Piola

Red Bull Racing wheelbase comparison (Anti-dive, inset)

Red Bull Racing wheelbase comparison (Anti-dive, inset)

Photo by: Giorgio Piola

 実際にレッドブルのマシンを見てみると、彼らは明らかにパフォーマンスを向上させるために、フロントサスペンションとその周辺に変更を加えてきている。

 コンポーネントのレイアウトは、基本的には同じまま。アッパーウイッシュボーンは、前後が独立して存在するような形になっている。

 フロントレッグ(前方のアーム)は、モノコックの最も高い位置に取り付けられている。一方でリヤレッグ(後方のアーム)は、アンチダイブ(マシンのフロントエンドが沈み込むのを防ぐ)効果を高めるために低い位置にマウントされている。これは、空力的により効率的な配置と言えるだろう。

 レッドブルはここ3年、このレイアウトを採用してきた。しかしモノコックのフロントバルクヘッドの系譜を辿ると、チームが徐々にキールを削り取り、それによりマシン後方に向かう気流の状態を改善してきたことが分かる。またこの変更に伴い、ロワウイッシュボーンとステアリングアッセンブリーの位置にも変更が加えられてきた。

Red Bull RB20 rear wing comparison

Red Bull RB20 rear wing comparison

Photo by: Uncredited

 レッドブルが今直面している問題は、バンピーなストリートサーキットを低速で走行する際に、ハイダウンフォース仕様のエアロパッケージと組み合わせた時に起こるようだ。

 バンピーな路面、そして縁石を乗り越えるためにサスペンションを柔らかく設定するためには、車高を上げる必要があるはずだ。するとドライバーの操縦に対するマシンの反応が鈍り、コーナーを抜ける時にアクセルを蹴り込むのが難しくなる。

 ただ、確かにモナコでは大苦戦したものの、そのパフォーマンスが今後他のコースでも続くということではないはずだ。

 次のカナダは、縁石を乗り越える能力は確かに重要になるため、これはレッドブルに対して不利に働く可能性がある。路面も基本的にはバンピーであるが、今季のカナダGPに向けて路面が再舗装されており、それが凹凸を解消させている可能性がある。

 まずはそのカナダGPの初日、レッドブルがどんなパフォーマンスを発揮するのかというところに注目が集まる。

 

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