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ニューウェイ、クラック、コーウェル……アストンマーティンには技術系首脳陣が多数。ホンダはそれぞれとどう連携している?

アストンマーティンは、エイドリアン・ニューウェイ、マイク・クラック、アンディ・コーウェルなど、技術面の要職に就くスタッフが複数存在する。彼らと共にマシンの振動問題などに取り組むホンダは、それぞれとどのように連携をとっているのか?

Mike Krack and Shinataro Orihara

クラック(左)と折原エンジニア

写真:: Honda

 現在F1コンストラクターズランキング最下位と、苦しいシーズン序盤戦を送っているアストンマーティン・ホンダ。開幕前のテストから異常振動の問題に悩まされ、アストンマーティンとホンダはその対策に奔走してきた。

 開幕前テストで問題となったバッテリーへのダメージに関しては、対策部品が一定の効果を発揮したようで、3月に行なわれた第3戦日本GPでは追加のアップデートは行なわれなかった。一方で開幕後に話題を集めたドライバーの手に伝わる振動に関しては依然として課題があるようだが、とあるアイテムを投入した日本GPの金曜日にはフェルナンド・アロンソが「ほとんど振動はなかった」とコメント。このアイテムは信頼性の観点から予選・決勝では投入されなかったが、問題解決への確かな兆しが見えたと言える。

 ただホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長によれば、日本GPまでに投入されたのはあくまで暫定的なものであるという。日本GP終了後に渡辺社長は「とにかく振動の問題を根本から対策します」と語っている。

 この異常振動の問題は、パワーユニット(エンジン)を起振源としながらも、それが増幅してしまう背景には複合的な要因があると考えられている。HRCも“ビークルダイノ”(PUを車体に載せた状態でのテスト)での振動は許容範囲だったものの、実走状態になってはじめて問題が顕在化したと説明していた。その原因についてはレース関係者からは様々な可能性が指摘されているが、いずれにせよ、その解決に向けてはアストンマーティンとホンダが一枚岩になって取り組む必要がある。

 ホンダF1のパワーユニット開発拠点であるHRC Sakuraにはアストンマーティンのスタッフが数名常駐していることが以前から明らかにされていたが、渡辺社長はこのことについても日本GPで次のように語っていた。

「全然関係は悪くなっていません。信頼関係というものはやはり一朝一夕でできるものではなく、色々な苦労を共にして出来上がっていくものだと思います。そういう意味では、その信頼関係を作るステージなのだと思いますし、お互いに人を置いて、駐在はしないにしても長く滞在をすることで、お互い開発をやっていくべきだと思います」

HRC渡辺社長

HRC渡辺社長

写真: Sam Bloxham / LAT Images via Getty Images

「振動はPUだけで治せる話ではないので、とにかく一緒になって同じ問題意識を持って取り組む必要があると思います。実務のトップたちはうまく機能していると思いますし、すごく綿密にコミュニケーションをとっています」

 アストンマーティンには、『マネージング・テクニカル・パートナー』として昨年から正式加入し、現在ではチーム代表も兼務するエイドリアン・ニューウェイがおり、『チーフ・ストラテジー・オフィサー』をアンディ・コーウェル、『チーフ・トラックサイド・オフィサー』をマイク・クラックが、『チーフ・テクニカル・オフィサー』をエンリコ・カルディレがそれぞれ務めている。横文字ばかりで混乱しそうになるが、彼らは具体的にホンダの誰とどのように連携しているのか? その協業体制を整理すべく、渡辺社長に説明を乞うた。

 まず、ファクトリーでの車両開発業務を先導するのがチーフ・“テクニカル”・オフィサーのカルディレ。つまり彼の直接的な“相方”は、ホンダF1のPU開発責任者(LPL)を務める角田哲史氏ということになる。

「ホンダとのクルマ作りについては、エンリコ・角田の体制が基本的にはコアとなります。エンリコも(開発)実務のリーダーとして我々と一緒にやってくれているので、実務の面で一体になっています」(渡辺社長)

コーウェル(左)とカルディレ

コーウェル(左)とカルディレ

 そしてレース現場(トラックサイド)、つまりサーキットでの業務を引っ張るのが、チーフ・“トラックサイド”・オフィサーのクラック。相方は、ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア、折原伸太郎氏だ。現在はレースウィークにおけるメディア対応もクラックが行なっており、日本GPでは走行前の木曜日と日曜日の決勝レース後に、クラックと折原エンジニアによる囲み会見が実施された。

「マイクは折原と組んで、現場のレースがうまくいくような体制を構築していますが、ふたりの関係は非常に良いと思っています。腹を割って話もできていますし、良いコミュニケーションがとれていると思います」(渡辺社長)

 そして当の渡辺社長と相対する立場と言えるのが、ニューウェイだ。一時はニューウェイがホンダの組織構造について知らされていなかったなどと発言して話題となったが、渡辺社長はこれには誤解があったのだろうとしており、関係は悪くなっていないと話す。

ローレンス・ストロール(左)とニューウェイ

ローレンス・ストロール(左)とニューウェイ

写真: Joe Portlock / Getty Images

「私のカウンターパートにあたるのはニューウェイになってきますが、普通に喋っていますよ。時には彼と議論する相手はストロールさん(チームオーナーで会長のローレンス・ストロール)だったりしますが、いずれにしても関係は悪くなっていません」

 では、かつて最強メルセデスPUの開発を率いたことでも知られるコーウェルはどうだろうか? これについて渡辺代表は、チーフ・“ストラテジー(戦略)”・オフィサーのコーウェルは、パートナー各社の関係を円滑な状態に保つ役割をしていると説明した。アストンマーティンはPUサプライヤーのホンダに限らず、燃料サプライヤーのアラムコ、オイルサプライヤーのバルボリンとも協力しているのだ。

「アンディはどちらかというと、燃料、オイルも含めた4社のパートナーシップがうまくいくように取り組んでいます」

「燃料もオイルも(新規則となって)新しいチャレンジがありますから、色々なことをやって性能を上げていかないといけません。また最高出力の中に占める燃料・オイルの割合はすごく大きいですから、そこに関してのテクノロジーが蓄積されないといけません」

「そこの連携はさすがアンディといったところですし、彼はホンダのこと、燃料のことなど、全体を理解して、アストンの車体全体を上手にコーディネートしてくれていると思います」

「ストロールさんにエイドリアン、アンディも含め、次の改善に向けてどういう段取りでやっていくかという議論をしていますので、特にコミュニケーション上の問題は感じていません」

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