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TV放送の情報表示だけじゃない! アマゾンの機械学習ツールは、F1の未来にどう貢献しているのか?

2018年にアマゾン・ウェブ・サービスとの連携を開始したF1。このパートナーシップはF1の未来をどのようにサポートしているのだろうか。

Lewis Hamilton, Mercedes W12, Max Verstappen, Red Bull Racing RB16B, and Valtteri Bottas, Mercedes W12, prepare to lead the field away for the start

写真:: Steve Etherington / Motorsport Images

 F1は2018年にアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との連携を開始した。このパートナーシップの効果は、TVの放送を楽しむ視聴者に様々な情報を提供するグラフィックという形で、最も顕著に現れている。

 AWSは機械学習ツールを使用して、F1マシンが生成する膨大な量のデータを分析。パターンを解析することで、見ているレースをファンがよりよく理解できるようにするための取り組みを行なっている。

 例えばコーナーでのパフォーマンスなど、見ていて分かりにくい部分を数値化したり、テレメトリーデータを活用してファンの視聴体験を向上させようとしている。

TV Graphic: Car Performance Top5

TV Graphic: Car Performance Top5

Photo by: Formula 1

 それだけでなく、F1がルール変更のため次世代マシンのCFD(コンピュータ流体解析)を行なう際、AWSによって利用可能になった機械学習ツールは役に立ったようだ。

 F1テクニカルコンサルタントのロブ・スメドレーは、motorsport.comに次のように語った。

「よりエキサイティングなスポーツを実現するためにF1とAWSのパートナーシップの中で模索しているのは、AWSが持つ機械学習、分析、ノウハウなどを他にどこで使うことができるかということだ」

「我々はすでに、(新レギュレーションが導入される)2022年マシンのCFDで、AWSを多用していた。その際、AWSは大きな役割を果たした。そして今、サーキットの設計にもかなり深く関わっている」

 可能な限り最高のレースを提供するため、F1はサウジアラビアのジェッダやマイアミなどの新しいサーキットレイアウトを検討する際や、現行サーキットに変更を加える際にも、AWSのツールを活用しているようだ。

 何をもって”良いレース”とするかは非常に主観的だが、元フェラーリのエンジニアであり、ウイリアムズのビークルパフォーマンス部門責任者でもあったスメドレーは、全てのサーキットから得られるデータが、その助けになると考えている。

「全てのトラックからデータを収集できるシナリオを想像してみてほしい」

「オーバーテイクの軌跡やスピードプロファイルなど、その他無数のパラメーターが必要だ。そうした重要な要素を調べ、実際にトラックをどうする必要があるのか、というモデルを試すことができる」

「オーバーテイクのしやすさが予測できれば、コースデザインがより簡単になる」

 しかしサーキットのレイアウト以外にも、グリップレベルや天候、路面温度、実際にマシンがバトルできるかなどの要素が加わると、シミュレーションはますます複雑になっていく。これらの要素を完全に考慮することができるツールがあれば、F1は究極のコースを設計することができるとスメドレーは話す。

「モデルやアルゴリズムが桁違いに複雑になった時はさらに難しくなる」

「1台のマシンが他のマシンに追従したり、レース中にグリップレベルが変化したりすることもある。また、風や雨などの外的要因がある場合も同様だ」

「もし、これらの要素をすべて盛り込んだ複雑なアルゴリズムやモデルを構築でき、それによってトラックを設計できるようになれば、それは絶対的、究極的はものになるだろう」

「議題はたくさんある。私がこのパートナーシップを気に入っているのは、様々なことができるということだ。我々は常に次のイノベーションを求めており、これにはそれを実現するための能力があるんだ」

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 マシンやトラックの設計だけでなく、レース週末のフォーマット変更による影響も検討することができるはずだ。F1は以前、リバースグリッドのアイデアを検討し、シミュレーションによってレースにどのような効果があるかを予測した。

 リバースグリッドの導入は却下されたが、7月にシルバーストンで開催されるイギリスGPでは、スプリントレースを試験的に実施することになっている。このスプリントレースがどんな影響を与えるのかは興味深いが、スメドレーと彼のチームはすでにAWSと協力し、何が起きるかを理解し、どうすればファンに最高の体験をしてもらえるかを考えている。

「パット(シモンズ/F1最高技術責任者)のチームとは以前から協力してきた」と、スメドレーは語る。

「実際、20分前にもパットと電話をして、週末に起こりそうな結果やシナリオについて話し合っていた」

「言うまでもないが、もちろんゲームの先取りすることを目指している。考えてみれば、我々がチームと同じ立場に立つのは初めてだ。それはとても素晴らしいことだと思う」

「しかしスプリント予選は、ファンの皆さんに何が起きているのかを伝えることができなければ、成功したとは言えない。もしも、何が起こっているのかわからないような、ぼんやりとしたセッションになってしまったら、スプリント予選の利点が失われてしまうと思う」

「ロス(ブラウン/F1スポーティングディレクター)はこのチャンスを最大限に活かそうとしていることをはっきりと伝えてきた。だからAWSで何ができるのか、何が本当に必要なのかをもう一度検討している」

「スプリントレースで重要な部分はどこなのか? 予選で重要なのはどこなのか? 日曜日午後に行なわれる決勝レースにどう織り込んでいくか? そんなことだ」

 AWSの機械学習ツールは、その答えを予測する上で役立つが、最終的にはやってみなければその証明はできない。しかしひとつ答えが出れば更にデータが増え、また新たな疑問が生まれる。このような循環的なプロセスを、スメドレーは歓迎している。

「どんどん疑問が湧いてくる。25年前、私が最初にこの仕事を始めた時、得られるデータはほんの僅かだった。そのちょっとしたデータを手に入れれば全てを知ることができると思っていたが、それはさらに次のデータへとつながっていくだけで、決して終わりはないんだ」

「絶え間なく知識を掘り起こしていくことは、決して止められないことなんだ。なぜなら、一度”聖杯”にたどり着き、すべてを教えてくれる何かを作ることができれば、問題をすべて解決できると考えるからだ」

「しかし、知らないことの方が多いということに気づく。正直なところそれがエキサイティングなことなんだ」

 
 

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