フォーミュラE、問題が多かった予選やセーフティカーのルール変更で、より面白くなる?
マヒンドラのオリバー・ローランドは、不人気なグループ予選フォーマットを廃止するというフォーミュラEの決定を支持し、人工的な手段に頼る必要はないと語った。
写真:: Rudy Carezzevoli / Motorsport Images
フォーミュラEは、2022年シーズンに向けて予選フォーマットを一新。他シリーズでも見られるノックアウト予選と上位8台によるトーナメント方式を組み合わせた斬新なフォーマットが導入される予定だ。
フォーミュラEは2018-19シーズンから、ドライバーたちを4グループに分けて予選を実施。そのうち上位6台がスーパーポールセッションに進むという方式を採用してきた。
これも、従来の選手権とは異なる、斬新なシリーズを目指すというフォーミュラEの方針に沿った方式だったが、ランキング上位のマシンが路面コンディションの悪いグループ1に割り振られ、不利になりやすいことから、シリーズ内外から批判が集まっていた。
この予選方式の影響は大きく、ダブルヘッダーの1戦目で優勝したドライバーが、2戦目では予選下位に沈み、ポイントを獲れないほどだったのだ。
寄せられた意見に耳を傾け、フォーミュラEはコンディションの変化が影響しにくいフォーマットを考案した。22人のドライバーを2グループに分け、各グループ上位4台が”準々決勝”に進出する。その後は、1対1のアタック合戦でトーナメントを行ない、グリッドを決めていく形だ。
オリバー・ローランド(マヒンドラ)は、旧フォーマットに不満を持っていたドライバーのひとりだ。彼はこれまで6度スーパーポールを経験しているが、旧フォーマットでは自分のペースを発揮しきれていないと感じていたようだ。
新しい予選フォーマットについて訊かれ、ローランドは次のようにmotorsport.comに語った。
「彼らは結果の予測が難しくなることを求めていたけど、少しやりすぎだったんだ」
「昨年の僕は常に良いスピードを持っていた。フリー走行ではトップ5に入るくらい良くても、12番手~15番手からのスタートになることもあり、理想的ではなかった」
「プロスポーツのレベルにおいて、(フォーマット変更は)正しいことだと思う。平等な条件で戦いたいし、すでにとても僅差な状況だから、特定のポジションの人が有利になるような予選やレースのシステムは必要ないと思う」
「可能な限り公平でなければならないし、自分たちが見せるショーが面白いものになると確信できなければいけない」
「いずれにしてもフォーミュラEは競争が激しいので、F1のようにシーズンを通して誰かが圧倒的な強さを発揮するということはないと思う」
「でもレースに勝つドライバーの数は少なくなるだろう。チャンピオンシップはよりバラけると思う。最終戦でタイトル候補が14人になるのではなく、2人か3人になるはずだ」
フォーミュラEは来季に向けて、予選フォーマット以外にもルールを変更する。それはセーフティカー(SC)やフルコースイエロー(FCY)に関するルールだ。
これまでは、SCやFCY状態での走行が長引くほど、各マシンが使えるエネルギー量が差し引かれていたが、昨シーズンのバレンシア・サーキットで行なわれたレースではこのルールが原因で、多くのマシンがファイナルラップで失速する事態となってしまった。
新しいルールでは、SCやFCYでの走行が1分続くごとに、レース時間が45秒追加される。フォーミュラEは45分+1周でレースが行なわれるが、これが長くなっていくのだ。ただ、レース開始後40分以降にSCやFCYが出た場合は、このルールが適用されない。
ローランドは、この変更によってレースに新たな戦略的要素が加わることを期待している。
「これも良いアイデアだ」と、ローランドは言う。
「FCYやSCが原因でレースができなくなることは避けたいからね」
「昨年のバレンシアでは、システムの欠陥が露呈してしまった。来季はパワーが強化(200kW→250kWに出力がアップ)され、リヤタイヤへの負担が大きくなるから、レースの流れも少し変わるだろう」
「より多くのパワーを生み出し、より多くの回生を行なうことになるから、バッテリーの温度管理がより重要になる」
「45分間のレースが行なわれ、FCYやSCでさらに延長されることになるからね」
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