スーパーフォーミュラ 第4戦:オートポリス

今季SFで絶好調の坪井翔、躍進の理由はどこに? とある予選データが裏付ける“覚醒”の証

今季のスーパーフォーミュラでは第2戦から2戦連続表彰台、第4戦ではポールポジションを獲得するなど波に乗っている感がある坪井翔。彼の好調の要因は何なのか? 予選データからその一端が垣間見えた。

戎井健一郎

公開日時: 2023/05/20 12:26

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Sho Tsuboi, JMS P.MU/CERUMO・INGING

 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が乗りに乗っている。ポイントリーダー野尻智紀(TEAM MUGEN)の欠場で風雲急を告げるスーパーフォーミュラ第4戦オートポリスで、坪井はポールポジションを獲得。ここまで2戦連続の2位表彰台でランキング4番手につけているが、決勝レースの結果如何では一気に選手権首位に立つ可能性がある。

 そんな坪井は昨年も、開幕前テストで好調ぶりを見せてタイトル候補のひとりと目されていた。しかし蓋を開けてみると噛み合わないレースが続き、前半5戦を終えて8位入賞1回のみ。後半戦は盛り返したものの、ランキング11位に終わった。

 噛み合わないレースが続いた要因のひとつには、予選でのとある課題があった。坪井は予選Q1で好タイムを記録してQ2に進んでも、そのQ2でタイムを上げることに苦戦していたのだ。実際、坪井は昨年の9回のノックアウト予選の内6回Q2に進出しているが、Q1からQ2にかけてコンマ1秒以上タイムアップしたのは2度だけだった。

 Q1からQ2のコンディション変化は状況によってまちまちだが、基本的にはマシンが走行することによって路面のラバーグリップが高まり、Q2はタイムを上げられる傾向となる。しかし坪井はライバルと比べタイムを上げきれず、中団グリッドに沈んだ結果、レースで埋れてしまうというケースが多かったのだ。

 しかし今季の彼は違う。開幕富士ラウンドは第1戦が計時予選となったが、第2戦はQ2で1秒近いタイムアップを果たして5番グリッドを確保。第3戦鈴鹿、第4戦オートポリスでも着実なタイムアップでフロントロウを手にしたのだ。安定して上位グリッドからスタートすることは、トラブルや接触に巻き込まれるリスクを回避できるため、決勝での安定感に繋がると言える。

2022年〜現在にかけての、坪井のQ1→Q2タイム推移。Q2で足踏みしていた昨年と違い、今季は安定してタイムアップしている

2022年〜現在にかけての、坪井のQ1→Q2タイム推移。Q2で足踏みしていた昨年と違い、今季は安定してタイムアップしている

 昨年から坪井のQ2での走りを課題に挙げていた菅沼芳成エンジニアは、今季の予選でのタイムの上がり幅について、「(要因は)ドライバーだと思います。クルマの方は特に何かやっているわけではありません。今年の彼はうまくタイムを上げていますね」とコメント。当の坪井も、昨年の終盤から“何か”を掴んでいることを示唆し、決して偶然の産物ではないと語った。

「まだ完璧ではありませんが、昨年の鈴鹿あたりから、Q1からQ2にかけて確実にタイムを上げられる要素を自分の中で理解できるようになってきました」と坪井は言う。

「偶然ではありません。ちゃんと(原因が)理解できていて、ちゃんとタイムも出ています。たまたまコンディションが良くなったり、クルマのセットアップが決まったりしたから、ということではありません」

 具体的に、どういった部分に改善点を見出したのか? さらに詳細なコメントを求めると、彼は次のように説明した。

「ドライビングもクルマも、コンディションに対する読みも、全てがマッチしないとQ2でタイムは上がりません。どれかひとつでも欠けていてはいけないのですが、その中で自分なりに『こうしたらタイムが上げられる』という、ルーティンのようなものが見えてきました。さすがにそれが何かとまでは言えませんが、確固たる何かを手に入れられた感じがしています」

 

Photo by: Masahide Kamio

「Q1からQ2にかけて、迷わず臨めるようになりました。今までは試行錯誤して『あーやっぱりダメだった』ということを繰り返していました。ただ、それを繰り返したからこそ見えてきたものがあり、それがカタチになりつつあります」

「スーパーフォーミュラはQ1で調子が良くてもQ2も良いとは限らない、シビアな世界です。今までは『Q1が良ければQ2も良いだろう』という感覚もありましたが、そういう考え方ではダメだということで、Q1はQ1、Q2はQ2と切り分けて考えています」

 スーパーGTでは2021年にGT500クラスの王者に輝き、スーパーフォーミュラでも2020年に2勝を挙げてシリーズ3位を獲得するなど、既に国内のドライバーの中でも有数の実績を残している坪井。しかし2023年、彼はここからさらに一皮むけようとしている。

 

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